江蘇料理・苏菜镇江锅盖面

鎮江鍋蓋麺レシピ本場江蘇・鎮江の配合を徹底解説

麺の碗に浮かぶ小さなふたと、豚肉の薄切り、たけのこ、チンゲン菜をのせた鍋蓋麺のイラスト
地域
苏菜(江蘇・鎮江)
分量
2人分
公開

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「鎮江有三怪、香醋擺不壊、肴肉不当菜、麺鍋里面煮鍋蓋」――香酢は置いても腐らず、肴肉(豚肉の煮こごり)はおかずにせず、麺の鍋で鍋のふたを煮る。江蘇省鎮江に伝わるこの戯れ歌の三つ目が、「鍋蓋麺」だ。大きな麺釜の湯に、小さな木のふたをぷかりと浮かべて麺をゆでるのである。

名前の由来として語られるのは乾隆帝の伝説だ。鎮江の地元ニュースサイトによれば、乾隆16年(1751年)に南巡で鎮江の西津渡を訪れた皇帝が「張嫂子伙麺店」に立ち寄った際、女将がうっかり小さなふたを麺釜に落としてしまった。ところが麺はかえっておいしく、ふたに気づいた皇帝に「今日は鍋蓋を加えました」と答えたことから「鍋蓋麺」になったという。一方で中国新聞網は、「鍋蓋麺」という呼び名が定着したのはわずか30年余り前で、来歴については諸説あると伝えており、伝説として楽しむのがよさそうだ。製法は2009年に江蘇省の無形文化遺産に登録されている。

本サイトでは同じ江蘇の麺として昆山の「奥灶麺」を紹介した。奥灶麺が青魚のスープと爆魚の紅油で食べる「スープが主役」の麺なのに対し、鍋蓋麺は竹竿に乗って生地を踏み延ばす「跳麺」のコシの強い麺と、碗に仕込んだ蝦子醤油(干し海老の卵を煮出した甘い醤油)が主役。汁は少なめで、麺を味わう一杯だ。

ここから先は、中国語の複数の資料・レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2人分)

蝦子醤油(碗のたれ)

  • 蝦子(干した海老の卵)5g
  • 水80ml
  • 醤油35ml
  • 砂糖8g

麺と具

  • 中華麺かん水入りの細めの平打ち生麺260g
  • 豚ヒレ肉(薄切り)100g
  • たけのこ水煮(薄切り)60g
  • チンゲン菜(小青菜。ざく切り)80g
  • 葉にんにく(3cm長さに切る)20g
  • 水(麺ゆで用)2500ml
  • 水(差し水用)200ml
  • 麺のゆで汁(碗に注ぐ用)200ml

碗に入れる調味料(1人分×2)

  • ラード1碗10g20g
  • 白こしょう1碗0.2g0.4g

作り方

  1. 蝦子醤油を作る。小鍋に水80mlと蝦子5gを入れて中火にかけ、沸騰したら弱火で5分煮る。醤油35mlと砂糖8gを加え、砂糖が溶けたら火を止めて冷ます。

  2. 丼2つに蝦子醤油を半量ずつ入れ、ラード10gと白こしょう0.2gずつを加えておく。

  3. 大きめの深鍋に水2500mlを入れて強火で沸騰させ、麺をほぐしながら入れる。すぐに鍋より二回り小さい木の落としぶた(なければ小鍋のふた)を湯面に浮かべる。これが「鍋蓋」の役目で、吹きこぼれを抑えつつ麺を湯の中に沈めて均一に火を通す。

  4. 再び沸騰したら豚ヒレ肉とたけのこを加えて軽く混ぜ、落としぶたを戻す。

  5. もう一度沸騰して泡が上がってきたら、差し水200mlを入れる。チンゲン菜と葉にんにくを加え、麺の芯がなくなるまで(生麺で合計2分半〜3分)ゆでる。

  6. 落としぶたを取り、表面の泡とアクをすくう。丼にゆで汁を100mlずつ注いでたれを溶かす。

  7. 麺を箸で持ち上げて湯を切り、丼に入れる。豚肉・たけのこ・チンゲン菜・葉にんにくを網じゃくしですくって上にのせる。全体を底から混ぜて食べる。

本場と日本の違い

  • 麺のゆで方:本場の麺店では、大きな釜に杉の木の小さなふたを浮かべて麺をゆでる。ふたが沸き立つ湯の「波」を抑え、麺を押さえて均一に火を通し、麺同士がくっつくのを防ぐとされる。日本の麺のゆで方ではまず見られない工程で、家庭では落としぶたがちょうどよい代用品になる。
  • 「跳麺」のコシ:鎮江の麺師は、かん水で練った生地に竹竿を渡し、その端に座って片足で跳ねながら生地を1.5mmほどの厚さまで押し延ばし、包丁で切る。日本の製麺機で作る中華麺よりも密度が高く、強いコシが出る。
  • 汁より「たれ」:日本のラーメンのように大量のスープで食べるのではなく、碗に仕込んだ蝦子醤油とラードを少量の麺のゆで汁で溶いて食べる。甘みのある醤油味と、蝦子のうま味が麺に絡むのが鎮江の味だ。
  • 奥灶麺との違い:同じ江蘇の麺でも、昆山の奥灶麺は魚スープと紅油が主役で、極細麺をスープごと熱々ですする。鍋蓋麺はコシの強い麺と碗のたれが主役。家庭向けのレシピでは、肉や青菜も麺と同じ釜でゆでて一緒に盛る手軽な作り方が紹介されている。
  • 澆頭(トッピング)の多さ:本場では長魚(田うなぎ)・腰花(豚の腎臓)・肉絲・牛肉・豚レバー・卵などから選び、あらかじめ卤水で煮込んだ牛肉や大腸をのせる店もある。本記事は家庭で作りやすい豚ヒレとたけのこ・青菜の組み合わせにした。

参考ページ(写真)

中国鎮江金山網の記事「鎮江好風光 鍋蓋麺飄香」に、麺釜に浮かぶ鍋蓋や跳麺の工程、仕上がりの写真が掲載されています。

(https://www.jsw.com.cn/2024/1129/1876919.shtml)

代用可能な食材

  • 蝦子:中華食材店で「虾子」「虾籽」として売られている。入手できなければ、干しえび(素干し)5gを細かく刻んで同様に煮出す(香ばしさはやや強くなる)
  • 中華麺:かん水入りの平打ち細麺が近い。なければ一般的な中細の生中華麺で代用可
  • 葉にんにく:青ネギの青い部分またはニラで代用可
  • チンゲン菜:小松菜で代用可
  • ラード:ごま油10ml(1碗5ml)で代用可。本場でも猪油か香油(ごま油)のどちらかを使う
  • 落としぶた:木製の落としぶたが最適。なければ鍋より小さいステンレスのふたや耐熱の平皿でもよい(取り出す時はやけどに注意)

保存・アレンジのコツ

  • 蝦子醤油は冷蔵で2週間保存できる。倍量作っておくと、湯と麺があれば数分で一杯作れる
  • 本場の「紅湯麺」風にしたい場合は、碗に細切りの豆腐干10g・刻んだにら5g・セロリの葉のみじん切り3gを加える
  • 本場で人気の澆頭「長魚(田うなぎの炒め)」の代わりに、うなぎの白焼きを細切りにして生姜と醤油でさっと炒め、麺にのせてもよい
  • 麺はゆで置きすると特有のコシが失われるので、食べる直前にゆでること

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。