江蘇料理・苏菜叫花鸡
叫花鶏(こじき鶏)レシピ本場江蘇・常熟の配合を徹底解説

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丸鶏を蓮の葉で包み、さらに泥で塗り固めて焼き上げる――それが江蘇省常熟の名物「叫花鶏」だ。食卓で泥の殻を割ると、蓮の葉の香りとともに湯気が立ちのぼる。そんな豪快な料理の名前が「こじきの鶏」なのは、文字どおり物乞いが生みの親だと伝えられているからだ。
常熟市人民政府のサイトによれば、明末清初、常熟の虞山のふもとで一羽の鶏を手に入れた物乞いが、鍋も調理道具もないため、羽根ごと泥を塗って火の中で蒸し焼きにしたのが始まりとされる。これを見た常熟出身の詩人・銭謙益が家で調味を加えて作らせたところさらに美味で、その調理法が広まったという。一方、江南時報の記事では、清の同治末年に虞山のふもとの「王四酒家」の店主・王四が物乞いから秘訣を教わり、店の名物に仕立てたと紹介されている。起源については諸説あるが、王四酒家の叫花鶏の製法は2008年に蘇州市の無形文化遺産に登録されている。
1947年には宋慶齢・宋美齢らがわざわざ常熟まで食べに訪れたとも伝えられ、今では蘇州を代表する鶏料理の一つだ。苏菜らしく、見た目の演出と素材の持ち味を大切にする料理といえる。
とはいえ、家庭で泥を用意するのは現実的ではない。本記事では、泥の代わりに小麦粉の生地で包み、家庭のオーブンで焼ける配合に落とし込んだ。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した分量と手順を公開する。
本場の配合
材料(4人分)
- 丸鶏(中抜き)1羽(約1.2kg)
下味
詰め物
包む材料
小麦粉生地
- 薄力粉400g
- 水220ml
作り方
丸鶏は内外を洗って水気を拭く。下味の生抽・黄酒・塩・十三香を混ぜて鶏の内外にすり込み、長ねぎと生姜を腹の中と表面にまぶす。保存袋に入れて冷蔵庫で8時間(ひと晩)漬ける。
詰め物を作る。金華ハム・戻した椎茸・たけのこはそれぞれ5mm幅の細切りにする。フライパンにサラダ油10mlを熱し、ハム・椎茸・たけのこ・干しエビを中火で1分炒め、生抽10ml・黄酒10ml・砂糖3gを加えて汁気がなくなるまで1分炒める。バットに広げて冷ます。
1の鶏の長ねぎと生姜を払い落とし、2の詰め物を腹に詰めて、口を爪楊枝で縫うように閉じる。手羽は背中側に折り込み、脚は交差させてタコ糸で縛る。
鶏の表面にラード20gを薄く塗る。蓮の葉2枚を重ねて広げ、鶏を中央にのせて包み、さらにオーブンシートで包んでタコ糸を縦横に2周ずつかけて枕形に縛る。
薄力粉400gに水220mlを少しずつ加えてこね、耳たぶくらいの硬さの生地にする。打ち粉をして厚さ1cmの大きな円形にのばし、4の包みを完全に覆って継ぎ目をしっかり閉じる。
オーブンを200℃に予熱する。天板にのせて200℃で30分焼き、170℃に下げてさらに90分焼く。
取り出して10分休ませる。食卓で生地の殻を木べらなどで割り、オーブンシートと蓮の葉を開いて取り分ける。
本場と日本の違い
- 泥と小麦粉生地:本場は粘りのある黄泥を厚く塗り、じっくり焼く。常熟の老舗の製法では、強火でおよそ40分、弱火で80分、さらにとろ火で90分と段階的に火を通すと紹介されている。泥の代わりの小麦粉生地は熱の伝わり方が近く、蒸し焼きの効果は十分に得られるうえ、家庭のオーブンでも扱いやすい。生地は食べずに殻として割って捨てる。
- 網脂の有無:本場では豚の網脂(猪網油)で鶏を包んでから蓮の葉で巻き、脂の膜で肉のしっとり感を保つ。日本では網脂が手に入りにくいため、ラードを表面に塗って代用した。
- 鶏:本場は常熟特産の三黄鶏(黄色い羽・脚・くちばしの地鶏)を使い、1羽1700g前後が最適とされる。日本で扱いやすい1.2kg前後の丸鶏に合わせて焼き時間を短くしている。
- 詰め物:常熟の伝統的な詰め物は火腿(中国ハム)・椎茸・干しエビ・冬筍の薄切りで、本記事もこの組み合わせに合わせた。中国の家庭向けレシピでは腊腸や干し貝を使う例もあり、詰め物の自由度は高い。
参考ページ(写真)
美食天下の「叫花鸡——现代家庭版」レシピページに、蓮の葉で包んでから小麦粉生地で覆い、焼き上げるまでの手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-136617.html)
代用可能な食材
- 乾燥蓮の葉:手に入らない場合はオーブンシートを2重にして包む(蓮の葉の香りはなくなる)
- 金華ハム:生ハムまたはベーコンで代用可
- 十三香:五香粉2gで代用可
- 丸鶏:骨付きもも肉2本(計600g)でも作れる。その場合は焼き時間を200℃で20分、170℃で40分に短縮する
保存・アレンジのコツ
- 残った鶏は身をほぐし、腹の詰め物と一緒に冷蔵で2日ほど保存できる。温め直すときは蒸すとしっとり戻る
- 鶏から出た肉汁と蓮の葉の香りが移った詰め物は、ご飯に混ぜて蓮の葉ご飯風にするとむだなく楽しめる
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。