江蘇料理・苏菜大煮干丝
大煮干絲(大煮干丝)レシピ本場揚州の配合を徹底解説

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一皿の見た目はただの白い麺のようなのに、口に運んだ瞬間に鶏だしと火腿の香りがふわりと広がる。それが大煮干絲だ。主役は肉でも魚でもなく、豆腐を薄く薄くスライスしたあと、マッチ棒ほどの細さに刻んだ「干絲」。淮揚菜(准揚菜)を代表するこの一皿は、素材そのものより「刀工(包丁さばき)」が主役になる、めずらしい料理でもある。
その前身は「九絲湯」と呼ばれる清代の料理で、乾隆帝が好んだことで名声を得たと伝わる。その後、揚州の料理人たちが手を加え、今の形の大煮干絲へと磨き上げられていった。豆腐干を極薄に切り、さらに細く刻むこの工程は単なる下ごしらえではなく、料理人の腕そのものを試す関門とされ、切り方ひとつで食感とスープの染み込み方が大きく変わってしまう。
歴史の重みも軽くない。1949年10月1日、中華人民共和国建国を祝う「開国第一宴」の席に、淮揚菜の代表としてこの大煮干絲が並んだと伝えられている。国外でも「東アジアの名菜」として知られ、外交の場で友好の橋渡し役を果たしてきたという逸話も残る。
派手さのない一皿だからこそ、鶏スープの丁寧な下ごしらえと、干絲の細さ、そして煮る時間の見極めがすべてを決める。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。
本場式の配合
材料(2人分)
主材料
- 白豆腐干(白干)薄切りにしてから極細切りにする。市販の「干絲」があればそれを200g使ってよい200g
だし・具材
調味
- 塩小さじ1弱
- 白胡椒粉小さじ1/4
- 料理酒えびの下味用小さじ1
- サラダ油小さじ2
作り方
干絲を切る。白豆腐干を厚さ1〜2mmの薄いシート状に切り、それを重ねてさらにマッチ棒ほどの細さ(1〜2mm角)の千切りにする。市販の「干絲」を使う場合はこの工程を省略してよい。
豆腐の臭みを抜く。鍋に湯を沸かし、干絲を入れて再沸騰したら30秒〜1分ゆで、ざるに上げて流水で洗い流す。この工程で豆腐特有のえぐみが抜け、味が入りやすくなる。
えびの下味。むきえびに塩ひとつまみ(約0.5g)・白胡椒粉小さじ1/8・料理酒小さじ1をもみ込み、5分置く。
香りを出す。鍋にサラダ油小さじ2を熱し、金華ハムの細切りを弱火でさっと炒めて香りを引き出す。
スープを合わせる。鶏ガラスープ500mlと干し椎茸の戻し汁大さじ2を加えて沸かす。
干絲と椎茸を煮る。下ゆでした干絲と椎茸の細切りを加え、中火で8〜10分、干絲がスープを十分に吸うまで煮る。ときどき弱火と中火を行き来させ、じっくり味を含ませるのが本場のやり方。
具を仕上げる。鶏むね肉の細切りとえびを加え、火が通るまで2〜3分煮る。青菜を加えてさっと火を通し、塩・白胡椒粉で味を調える。
器に盛り、上にハムと鶏肉の細切りを彩りよく散らして完成。
本場と日本の違い
- 主役は「切り方」。 具の種類より、豆腐干をどれだけ細く均一に切れるかが評価の分かれ目。日本の湯豆腐感覚で厚めに切ると、まったく別の料理になってしまう。
- 必ず下ゆでして臭みを抜く。 干絲は一度湯通ししてから調理するのが基本で、これを省くと豆腐の青くささが残る。
- 「大煮」は火加減の技法を指す。 強火と弱火を交互に使い、干絲にじっくりスープを吸わせる調理法を指す言葉で、単に「大きく煮る」という意味ではない。
- スープが主役、具は脇役。 見た目は地味だが、鶏だしと火腿のうま味を丁寧に抽出できているかどうかで味が決まる。具を増やしすぎるとスープの繊細さが埋もれてしまう。
- 祝いの席の料理でもある。 家庭の惣菜のように見えて、国の祝宴に供されてきた格式ある一皿であることは、日本ではあまり知られていない。
参考ページ(写真)
下厨房の「大煮干丝」レシピページでは、干絲の切り方から鶏スープでの煮込みまでの手順が写真つきで紹介されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/256763/
代用可能な食材
- 白豆腐干を自分で切るのが難しい場合→市販の「干絲」(乾物・冷蔵の千切り豆腐干)200gで代用可
- 金華ハム→ロースハム15gで代用可(風味は軽くなる)
- 鶏ガラスープ→水500ml+鶏がらスープの素小さじ2で代用可
- むきえび→省略可(その場合は塩をやや強めにして味を補う)
保存・アレンジのコツ
- 干絲は水分を吸うとすぐにふやけるため、作り置きには向かない。食べる直前に仕上げるのがおすすめ。
- スープを控えめにして汁気を飛ばせば、炒め物寄りの「炒干絲」風にアレンジできる。
- 干し椎茸の戻し汁は捨てずにスープに加えると、うま味が一段と深まる。
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。