江蘇料理・苏菜奥灶面

奥灶麺レシピ本場江蘇・昆山の配合を徹底解説

白い碗の醤油色のスープに細麺を沈め、揚げた魚の切り身と青ねぎをのせた奥灶麺のイラスト
地域
苏菜(江蘇・昆山)
分量
2人分
公開

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上海の西隣、江蘇省昆山を代表する麺「奥灶麺」。「奥深いかまど」を思わせる格調高い名前だが、実はその由来は悪口だったとされる。

江蘇省のニュースサイト中国江蘇網によれば、奥灶麺の源流は清の咸豊年間に開かれた麺店「天香館」にさかのぼる。看板の「紅油爆魚麺」が評判を呼ぶと、同業者は店の古びた様子を昆山方言で「鏖糟(アオザオ=汚い、むさ苦しい)」とくさした。ところがその音をとった「奥灶麺」の名が逆に広まり、1956年の公私合営で店名も正式に「奥灶館」になったという。澎湃新聞の記事では、この改名に「奥妙な灶頭(かまど)の特色麺」という意味が込められたと紹介されている。店の経営者の変遷については記事によって記述が異なり、諸説ある。

味の核は、青魚(アオウオ)の身や鰓まで使って炊いた魚のスープと、爆魚(揚げてから甘辛く煮からめた魚)を揚げるうちに赤く色づいた菜種油「紅油」。麺・スープ・碗・油・具のすべてを熱々で出す「五熱」を掟とし、極細の麺をスープごと一気にすするのが昆山流だ。苏菜らしい甘みのある醤油味だが、魚の脂と香ばしさが重なり、見た目以上にコクがある。

ここから先は、中国語の複数の資料・レシピを比較して割り出した、家庭で作れる紅油爆魚麺の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2人分)

爆魚

  • 魚の切り身本来は青魚。サワラまたはブリの切り身で代用300g
  • 生抽30ml
  • 黄酒または日本酒15ml
  • 生姜(薄切り)5g
  • 長ねぎ(ぶつ切り)10g
  • 菜種油(揚げ油)500ml

爆魚の煮汁

スープ

  • 魚のアラ(頭・中骨)300g
  • 水1000ml
  • 生姜(薄切り)10g
  • 長ねぎ(ぶつ切り)15g
  • 黄酒または日本酒15ml

仕上げ(2杯分)

  • 生抽1杯15ml30ml
  • 紅油(爆魚を揚げた油)1杯15ml30ml
  • 爆魚の煮汁1杯15ml30ml
  • 青ねぎ(小口切り)10g
  • 中華細麺(生)2玉(240g)

作り方

  1. 魚の切り身を厚さ1.5cmのそぎ切りにし、生抽30ml・黄酒15ml・生姜5g・長ねぎ10gをからめて30分おく。キッチンペーパーで汁気をしっかり拭く。

  2. スープを作る。アラに熱湯を回しかけて血合いとぬめりを洗い、鍋に水1000ml・生姜10g・長ねぎ15g・黄酒15mlとともに入れて強火にかける。沸騰したらアクを取り、強火のまま10分煮てスープを白濁させ、中火に落としてさらに20分煮る。こして700mlを取り分ける(足りなければ水を足して700mlにする)。

  3. 菜種油を180℃に熱し、1の魚を入れて4分揚げ、表面が固まったら取り出す。油を200℃に上げ、魚を戻して1〜2分、表面がカリッとして濃いきつね色になるまで二度揚げする。揚げ油は火を止めて30mlを取り分けておく(これが紅油になる)。

  4. 小鍋に水100ml・生抽20ml・老抽5ml・氷砂糖30g・八角・桂皮・生姜4gを入れて中火で3分煮立て、軽くとろみがついたら3の魚を加えて両面を1分ずつからめて取り出す。残った煮汁から30mlを取り分ける。

  5. 3で取り分けた油30mlを小鍋で弱火にかけ、4の煮汁小さじ1(5ml)を加えて30秒ほど温め、赤く色づいた紅油にする。

  6. 丼2つに熱湯を張って温めておき(湯は捨てる)、それぞれに生抽15ml・紅油15ml・爆魚の煮汁15mlを入れ、沸騰させたスープを350mlずつ注ぐ。

  7. たっぷりの湯で細麺を袋の表示時間どおりにゆで、湯をよく切って6の丼に入れる。爆魚をのせ、青ねぎを散らしてすぐに食べる。

本場と日本の違い

  • 魚の種類:本場は昆山近くの青陽港でとれた大型の青魚(アオウオ)を、活け締めしたまま下ろして使う。日本では青魚がほぼ流通しないため、身が厚く揚げても崩れにくいサワラやブリで代用した。
  • スープの取り方:本場の店では青魚の身・鰓・鱗なども使って大鍋で炊き出すが、家庭ではアラから取るスープで近づけている。昆山の白湯鹵鴨麺(アヒルを煮込んだ白いスープの麺)という兄弟メニューもあり、赤いスープの爆魚麺と並ぶ二枚看板になっている。
  • 「五熱」の徹底:本場では麺・スープ・碗・油・具をすべて熱々で出すことが最重要とされる。日本の中華料理店の汁麺は具を常温でのせることも多いが、奥灶麺では丼を温め、爆魚も揚げたてを使うのが基本だ。
  • 麺:昆山では銀糸のように細い手打ち麺を使う。日本で手に入る中華細麺(そうめんより太い程度のもの)が近い。

参考ページ(写真)

下厨房の「爆鱼」レシピページに、魚の切り方から揚げ、煮汁にからめるまでの手順写真が掲載されています。

(https://m.xiachufang.com/recipe/101847511/)

代用可能な食材

  • 青魚:サワラ・ブリのほか、コイ(手に入れば)でも作れる
  • 菜種油:なければ米油・サラダ油で代用可(紅油の香ばしさはやや控えめになる)
  • 氷砂糖:上白糖25gで代用可
  • 中華細麺:なければ乾麺の細い中華麺でもよい

保存・アレンジのコツ

  • 爆魚は冷蔵で3日ほど保存できる。冷めてもおいしいので、江南ではそのまま酒の肴や冷菜としても食べられている
  • スープは冷凍で1ヶ月保存可能。爆魚を多めに作っておけば、平日でもスープを温めて麺をゆでるだけで一杯が完成する

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。