江蘇料理・苏菜平桥豆腐
平橋豆腐レシピ本場江蘇・淮安の配合を徹底解説

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豆腐のとろみスープにすぎない一皿が、皇帝から「天下第一菜」と呼ばれた――江蘇省淮安の名物「平橋豆腐」には、そんな大げさな逸話が残っている。
淮安市政協のサイトによれば、舞台は大運河沿いの町・平橋鎮。乾隆27年(1762年)、乾隆帝が南巡で運河を下る際、平橋の豪商・林秉直は沿岸の作物を青と黄に植え分けて「万寿無疆」の文字を描き、皇帝を大いに喜ばせた。3年後の4度目の南巡では、地元の名料理人・胡鏡林に「フナの脳みそと鶏スープで豆腐を煮込んだ羹」を作らせてもてなした。乾隆帝はこれを絶賛して「天下第一菜」と称え、詩まで詠んだという。この褒美で林秉直は「林百万」と呼ばれるようになり、平橋豆腐の名も江淮一帯に知れ渡ったとされる。今では淮揚料理の代表作として、江蘇省の無形文化遺産にも選ばれている。
苏菜の中でも淮揚料理は、包丁仕事の細かさとスープの澄んだうまみを重んじる系統だ。平橋豆腐も、豆腐を「瓜の種のように小さく、にんにくの薄皮のように薄く」切るのが本来の姿とされ、鶏スープとラードのコク、とろみの滑らかさで食べさせる。仕上げに油を回しかけて表面を覆うため、見た目は湯気が立たないのに中は熱々で、「食べる前に2分おいて」と注意書きが添えられるほどだ。
ここから先は、中国語の複数の資料・レシピを比較して割り出した配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(3〜4人分)
作り方
豆腐は厚さ5mm、1辺1.5cmほどのひし形の薄切りにする。鍋に湯を沸かし、豆腐を入れて弱火で1分ゆで、網じゃくしで静かにすくって水気を切る(大豆の青臭さが抜ける)。
エビは背わたを取り5mm角に切る。戻した椎茸・たけのこ・ハムは3〜5mm角に切る。
卵を溶き、サラダ油を薄く引いたフライパンで薄焼き卵を作り、1cm幅のひし形に切る。
鍋にラード15gを中火で溶かし、長ねぎ・生姜を入れて香りが立つまで20秒炒める。鶏スープ500mlを注いで沸騰させる。
椎茸・たけのこ・ハムを加えて1分煮たら、エビを加えて色が変わるまで30秒煮る。
1の豆腐を加え、塩7g・白こしょうで調味して弱火で3分煮る。豆腐が崩れないよう、お玉で鍋の縁から静かに押すように混ぜる。
水溶き片栗粉を3回に分けて回し入れ、そのつど鍋をゆすってとろみをつける。3の薄焼き卵を加えてひと煮立ちさせる。
火を止めて残りのラード5gとごま油5mlを表面に回しかけ、器に盛って香菜を散らす。油の膜で熱が逃げないので、2分ほどおいてから食べる。
本場と日本の違い
- 豆腐の切り方:本場では豆腐を「瓜の種のように小さく、にんにくの薄皮のように薄く」刻むのが伝統とされる。家庭ではひし形の薄切りにすると扱いやすく、見た目も本場の店に近くなる。日本の中華料理店の豆腐スープは角切りが多いが、平橋豆腐は薄く切ることでとろみと一体になる舌ざわりを狙う。
- フナの脳みそ:乾隆帝をもてなした元祖はフナの脳みそを鶏スープで煮込んでうまみを出したと伝わり、現在の中国の解説でも「うまみの秘伝」として鶏スープと並べて紹介されている。日本では入手が難しいため、本記事ではエビと鶏スープでうまみを補った。
- 豆腐そのもの:本場の老舗は、豆乳を油脚(油を搾ったあとのかす)で固め、生の豆乳と加熱後の豆乳をそれぞれ漉した特製の豆腐を使ったとされる。日本では、なめらかな絹ごし豆腐を使うのがいちばん近い。
- 油の膜:日本の中華スープは油を控えることが多いが、平橋豆腐は仕上げにラードやごま油で表面を覆い、熱々を保つのが特徴だ。
参考ページ(写真)
下厨房の「平桥豆腐羹(家常版)」レシピページに、豆腐を刻んでとろみをつけるまでの手順写真が掲載されています。
(https://m.xiachufang.com/recipe/104167926/)
代用可能な食材
- 無塩の鶏スープ:市販の鶏がらスープの素を使う場合は、塩を入れずに味をみてから小さじ1/4ずつ足す
- 金華ハム:ロースハムやベーコンで代用可
- ラード:サラダ油で代用可(コクはやや軽くなる)
- むきエビ:白身魚の切り身50gを5mm角に切って使ってもよい
保存・アレンジのコツ
- とろみスープは時間がたつと水っぽくなるため、作りたてを食べるのがいちばん。残った場合は冷蔵で翌日までに食べきる
- 温め直してご飯にかければ、豆腐あんかけ丼として楽しめる
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。