江蘇料理・苏菜蟹黄汤包

蟹黄湯包(蟹黄汤包)レシピ本場靖江の配合を徹底解説

湯気の立つ蒸籠に入った大きな蟹黄湯包と、ストロー、生姜の千切り入りの黒酢の小皿のイラスト
地域
苏菜(江蘇・靖江)
分量
2人分・約12個分
公開

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箸で持ち上げると、薄い皮の中でとろりとしたスープがゆらゆらと揺れる。江蘇省靖江の蟹黄湯包は、見た目こそ小籠包に似ているが、一口で終わる料理ではない。地元では食べ方に厳格な作法があり、「軽く持ち上げ、素早く移し、まず窓を開け、それからスープを吸う」という12字の要領が代々受け継がれている。焦って噛みつくと熱々のスープが飛び散り、火傷することもあるからだ。

この料理には約200年の歴史があるとされ、「中華四大名点」の一つに数えられている。秋の実りの季節、川蟹(大河蟹)が旬を迎えるころに仕込まれる新鮮な豚皮と地鶏を厳選し、「皮は薄く、スープは澄んでいながらコクがあり、とろみがあっても油っぽくない」という状態を実現するのが職人の腕の見せどころとされる。

蟹黄湯包の最大の秘密は、皮の中身にある。生の具に直接スープを注ぐのではなく、豚皮を長時間煮出して作った「皮凍(煮こごり)」を刻んで具に混ぜ込み、蒸すことでゼラチン質が溶けてスープになるという仕組みだ。この「皮凍が蒸されて熱で溶け、包みの中でスープに変わる」という構造こそが、湯包が湯包たるゆえんである。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・約12個分)

皮凍(前日に仕込む)

  • 豚皮150g
  • 水豚皮の3〜4倍の重量約500〜600ml
  • 生姜薄切り10g
  • 長ねぎ1本
  • 八角1個
  • 花椒2g
  • 桂皮1片
  • 塩小さじ1/2
  • 生抽小さじ1
  • 料理酒小さじ1
  • 白胡椒粉小さじ1/4

蟹の詰め物

  • ゆで蟹(上海蟹や毛蟹など)蟹肉と蟹味噌をほぐして合わせて約100g分1〜2杯
  • ラード(豚油)15g
  • 生姜(みじん切り)3g
  • 料理酒小さじ1
  • 白胡椒粉小さじ1/3

肉の詰め物

  • 豚ひき肉(脂身2〜3割のもの)200g
  • 塩小さじ1弱
  • 砂糖小さじ1
  • 生抽小さじ1弱
  • 生姜水(生姜のすりおろし汁)大さじ1

皮(中力粉の生地)

  • 中力粉または強力粉と薄力粉を半々150g
  • 水生地の重さの約半分75ml

作り方

  1. 皮凍を仕込む(前日)。豚皮を熱湯で10分ゆで、裏面の脂肪をきれいに削り落として細切りにする。鍋に豚皮・水・生姜・長ねぎ・八角・花椒・桂皮を入れ、弱火で3時間(または圧力鍋で1時間)じっくり煮出す。香辛料を取り除き、塩・生抽・料理酒・白胡椒粉で味を調え、粗熱を取ってから冷蔵庫で一晩冷やし固める。

  2. 蟹味噌を炒める。鍋にラード15gを溶かし、蟹味噌をほぐしながら弱火で炒め、香りが立ったら蟹肉・生姜みじん切りを加える。料理酒を回し入れ、白胡椒粉で味を調えて冷ましておく。

  3. 肉だねを作る。豚ひき肉に塩・砂糖・生抽・生姜水を加え、粘りが出るまでよく練る。

  4. 皮凍を刻んで合わせる。固まった皮凍を1cm角に刻み、肉だねと蟹の詰め物に混ぜ合わせる。冷たいまま扱うのがポイントで、常温に置きすぎると溶けて包みにくくなる。

  5. 皮を作る。中力粉に水を少しずつ加えてこね、なめらかな生地になったら濡れ布巾をかけて10分休ませる。棒状に伸ばして等分に切り、麺棒で中央を厚め・縁を薄めに直径8cmほどの円形に伸ばす。

  6. 包む。皮の中央に肉だね・蟹の詰め物・刻んだ皮凍をのせ、縁を少しずつつまみながらひだを寄せて包み、最後にひねって閉じる。仕上げに蟹味噌を少量トッピングすると見た目が華やかになる。

  7. 蒸す。蒸気の上がった蒸し器にクッキングシートを敷き、包みを間隔をあけて並べ、強火で5〜6分蒸す。蒸しすぎると皮が破れてスープが漏れるので注意。

  8. 食べ方。取り出したら熱いうちにレンゲにのせ、まず軽く皮に小さな穴を開けて(窓を開けて)中の蒸気を少し逃がし、ストローまたはレンゲの縁からスープを先に吸ってから、皮ごと食べる。

本場と日本の違い

  • スープは「注射」ではなく「溶ける」仕組み。 蟹黄湯包のスープは詰め物に直接注ぐのではなく、刻んだ皮凍が蒸気の熱で溶けて生まれる。仕組みを知らずに片栗粉でとろみをつけようとすると、まったく別のものになる。
  • 食べ方に作法がある。 「軽く持ち上げ、素早く移し、まず窓を開け、それからスープを吸う」という手順を守らないと、熱いスープが飛び散り火傷の原因になる。日本の小籠包の感覚でそのままかぶりつくのは危険。
  • 皮凍は前日仕込みが基本。 豚皮を3時間煮出し、一晩冷やし固めるという時間のかかる工程を経るため、当日だけで完成させるのは難しい。時間を見越した仕込みが本場流。
  • 蟹は「具材」であり「主役」でもある。 蟹肉だけでなく蟹味噌をラードで炒めてコクを出す工程が味の決め手で、蟹肉を混ぜるだけでは本場の風味に届かない。
  • 秋が旬の料理。 川蟹が実る秋(中秋前後)が最もおいしいとされ、一年中同じ味というわけではない。

参考ページ(写真)

下厨房の「蟹黄灌汤包」レシピページでは、皮凍の仕込みから包み方、蒸し上がりまでの手順が写真つきで紹介されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/107078241/

代用可能な食材

  • ゆで蟹が手に入らない場合→冷凍の蟹肉ほぐし身80g+市販の蟹みそ缶20gで代用可
  • ラード(豚油)→太白ごま油またはサラダ油15gで代用可(コクはやや軽くなる)
  • 皮凍を一から作るのが難しい場合→粉ゼラチン10gを熱い鶏がらスープ300mlに溶かして冷やし固めたもので簡易的に代用可(本場の風味には及ばないが手軽)
  • 中力粉→強力粉と薄力粉を1:1で混ぜたもので代用可

保存・アレンジのコツ

  • 皮凍は多めに作って冷凍しておくと、次回の仕込みが時短できる。使う分だけ刻んで使う。
  • 包んだ状態で冷凍保存も可能。凍ったまま蒸し時間を2〜3分長くすれば食べられる。
  • 具に生姜のみじん切りを増やすと、蟹の風味が引き締まり後味がすっきりする。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。