上海料理・沪菜响油鳝糊
響油鱔糊(うなぎの熱油かけ炒め)レシピ本場上海の配合を徹底解説

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皿が運ばれてきた瞬間、給仕がまだ煙の立つ熱い油を中央のにんにくの山に回しかける。「ジュワッ」「シューッ」という音とともに、にんにくと白こしょうの香りが一気に立ちのぼる――この音こそが料理名の「響油(響く油)」だ。上海の本帮菜(上海の地元料理)の店で、多くの人が必ず頼む一皿とされる。
主役は「鱔(シャン)」、つまり田うなぎ(黄鱔)。ゆでて締めた田うなぎの身を細く裂いた「鱔絲」を強火で炒め、醤油と砂糖で甘辛く味をつけ、とろみでまとめる。汁気がほとんど残らず、とろりとした「糊」のような状態で皿に盛られることから「鱔糊」の名がついたという。
発祥については諸説ある。中文版ウィキペディアは蘇州・無錫の蘇帮菜と上海本帮菜の伝統料理として紹介し、中国のレシピサイトには江南の蘇州発祥とする解説もある。蘇州・杭州にもそれぞれの鱔糊があるが、最も名が知られているのは上海の響油鱔糊だと上海の澎湃新聞は伝えている。「黄鱔は人参(朝鮮人参)に勝る」ということわざがあるほど滋養のある食材とされ、田うなぎが最も肥える初夏から夏が旬だ。
日本のうなぎ料理といえば蒲焼きだが、同じ「甘辛い醤油味」でも、こちらはにんにくと白こしょうと熱油の香りで食べさせる、まったく別の方向の一皿。田うなぎは日本では入手が難しいため、うなぎの白焼きや穴子で作る方法も代用欄で紹介する。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(2〜3人分)
鱔絲と炒め用
- 鱔絲(ゆでて裂いた田うなぎの身)300g
- サラダ油(炒め用)15ml
- ラード10g
- 生姜(みじん切り)8g
- にんにく(みじん切り・炒め用)5g
- 青ねぎの白い部分(みじん切り)5g
合わせ調味料
響油(仕上げの熱油)
- にんにく(みじん切り・トッピング用)20g
- 青ねぎの青い部分(小口切り)5g
- 白こしょう1g
- サラダ油20ml
- ごま油10ml
作り方
鱔絲は5〜6cm長さに切り、ざるに入れて熱湯を回しかけ、水気をよく切る(中国の市場で売られる鱔絲はすでに「烫殺(熱湯で締める)」されていて、八分通り火が通っている)。
片栗粉6gを水15mlで溶いておく。
中華鍋を強火で熱してサラダ油15mlとラード10gを入れ、生姜・炒め用のにんにく・ねぎの白い部分を10秒ほど炒めて香りを出す。
鱔絲を加えて強火のまま30秒ほど炒め、鍋肌から黄酒20mlを回し入れる。
生抽20ml・老抽8mlを加えて炒め合わせ、全体に色がついたら水60mlと砂糖12gを加えて30秒ほど煮立てる。
水溶き片栗粉を回し入れて手早く混ぜ、とろみがついて照りが出たら仕上げのごま油5mlを加えて火を止める。汁気が皿にほとんど残らない程度の、とろりとした状態が目安。
深めの皿に盛り、中央にくぼみを作ってトッピング用のにんにく20gを山にのせ、周りに青ねぎの青い部分を散らす。
小鍋にサラダ油20mlとごま油10mlを入れて強火にかけ、煙が立つまで(約200℃)熱する。7のにんにくの上に一気に回しかけ、「ジュワッ」と音が立ったら白こしょう1gを振る。
食卓で全体をよく混ぜ、にんにくと熱油を鱔絲に絡めて食べる。
本場と日本の違い
- 素材が違う:本場で使う黄鱔(田うなぎ)は、日本のうなぎとは別の魚。身が細く、骨を外してゆでた身は弾力が強く、脂は控えめ。日本のうなぎは脂が多いため、同じ配合で作ると重くなりやすい。
- 「糊」の加減:鱔糊は、汁気がほとんど残らないほどとろみで調味料を絡める料理。蘇州系のレシピでも「とろみが少なすぎると鱔糊と呼べない」とされ、日本のあんかけのように汁をたっぷり残すのとは違う。
- 最後の熱油は必須:卓上で熱油をかける「響油」の工程で、にんにくと白こしょうの香りが立つ。これを省くと単なる醤油炒めになってしまう。
- 地域ごとの違い:上海の本帮菜は濃い醤油色と甘み(濃油赤醤)が強く、蘇州系には金華ハムやたけのこ、香菜を加える配合もある。浙江には黄ニラを加えて熱油をかけない炒鱔糊もある。
参考ページ(写真)
美食天下の「响油鳝丝」レシピページに、鱔絲を炒めてとろみをつけ、にんにくの山に熱油をかけるまでの手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-298788.html)
代用可能な食材
- 田うなぎ(鱔絲):日本では入手が難しいため、次のいずれかで代用する
- うなぎの白焼き(市販品)300g:皮を下にして幅1cm・長さ5cmの細切りにする。すでに火が通っているので、手順4で鱔絲の代わりに加えたら炒めずに調味料を絡める程度にとどめ、砂糖は8gに減らす(脂が多いので甘みを控えるとくどくならない)
- 穴子(開いた生のもの)300g:皮目に熱湯をかけてぬめりをこそげ取り、幅1cm・長さ5cmに切る。手順4で1分30秒炒めて火を通してから調味料を加える。身が柔らかく崩れやすいので、混ぜるのは最小限に
- ラード:省いてサラダ油を25mlにしてもよい(コクはやや軽くなる)
- 黄酒:日本酒で代用可
- 老抽:なければたまり醤油8mlで色づけする
保存・アレンジのコツ
- 熱油をかけた直後がいちばんおいしい料理なので、作り置きには向かない。残ったら冷蔵で翌日までに食べきり、電子レンジで温め直す
- 鱔絲を炒めるところ(手順6)までを多めに作り、翌日は温めてにんにくの山と熱油だけを新たにかけると、香りが復活する
- 残りを麺にのせれば、上海や蘇州の麺店の定番「鱔絲麺」風になる
- たけのこの細切り50gを手順4で一緒に炒めると、蘇州系の配合に近づき、食感のアクセントにもなる
出典
- 維基百科「响油鳝糊」
- 澎湃新聞「舌尖上海丨重原味、重烹调的本帮菜」
- 機核GCORES「街头巷脚的海派风味——闲话本帮菜」
- 美食天下「苏菜经典“响油鳝糊”」レシピ
- 美食天下「响油鳝丝」レシピ
- 美食天下「上海本帮菜响油鳝丝」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。