上海料理・沪菜罗宋汤
羅宋湯(上海ロシアンスープ)レシピ本場上海の配合を徹底解説

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
「羅宋」という名前を聞いて、中国料理を連想する人は少ないだろう。実はこれ、「ロシア」を音訳した上海語だ。上海の人々はかつて西洋料理を食べることを「吃大菜」と呼び、ロシア料理を食べることは特に「吃罗宋大菜」と呼んでいた。この「罗宋」がそのままスープの名前として定着したのが羅宋湯である。
きっかけはロシア革命だった。十月革命後、白系ロシアの貴族・軍人・知識人たちが上海へ大量に流入し、1920年から1936年の間だけでロシア系住民は210人からおよそ21,000人にまで急増したと伝わる。彼らが暮らした霞飛路(現在の淮海中路)周辺には西洋料理店が次々と生まれ、その中の定番メニューがビーツを使った酸味のある煮込みスープ「ボルシチ」だった。
ところがビーツは寒冷地の作物で、温暖な江南地方の気候には向かない。当時腕を振るっていた山東省出身の料理人たちが、上海の人々の口に合うように知恵を絞り、手に入りにくいビーツを減らすかまったく使わず、代わりにトマトケチャップで赤い色を出すという独自のアレンジを編み出した。こうして生まれたのが、上海の「海派西餐(上海式洋食)」を代表する一皿、羅宋湯である。
今では上海の洋食店だけでなく、家庭料理としても広く親しまれ、ビーツを使わないという特徴だけを見れば「偽物のボルシチ」に思えるかもしれないが、実際には移民先の食材事情と現地の味覚に合わせて生まれた、れっきとした上海独自の料理といえる。
ここから先は、上海式羅宋湯の由来を踏まえたうえで割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順、そして日本の洋食メニューとの違いを解説します。
本場式の配合
材料(2人分)
作り方
牛肉は熱湯で2分ほど下茹でしてアクと臭みを取り、ざるに上げて水気を切る。
鍋に水(または牛骨スープ)800mlと牛肉を入れ、沸騰したら弱火にして40分ほど煮込む。
別のフライパンにバター15gとサラダ油を熱し、玉ねぎを中火で3分ほど炒めて香りを出す。
じゃがいも・にんじん・トマトを加えてさらに3分ほど炒め合わせる。
小麦粉は別の小鍋かフライパンで油を引かずに弱火で薄く色づくまで乾煎りし、香ばしさを出してからスープに加えるととろみと風味が増す(3の野菜に直接振り入れて炒め合わせてもよい)。
3〜5で作ったものを2の鍋に移し、トマトケチャップを加えて中火で15分ほど煮込む。
キャベツを加えてさらに10分ほど煮込み、塩・砂糖・黒こしょうで味を調えたら完成。
本場と日本の違い
- 日本の洋食店の「ロシアンスープ」やボルシチはビーツを使い、鮮やかな赤紫色をしているものが多いが、本場の上海式羅宋湯はビーツを使わず、トマトケチャップとトマトで赤色を出すのが特徴。これは山東出身の料理人が上海の気候・味覚に合わせて編み出したアレンジ。
- とろみの付け方も異なり、本場はサワークリームではなく小麦粉を乾煎りしてから加えるバタールー風の技法でとろみをつける洋食スタイル。
- 具材はキャベツ・じゃがいも・にんじん・玉ねぎ・牛肉とシンプルで、家庭料理として非常にポピュラーな位置づけにある。
- 上海の洋食店では羅宋湯単体ではなく、ポークカツやオムライスなどとセットの「上海式洋食ランチ」の一品として供されることが多い。
参考ページ(写真)
下厨房の「牛肉罗宋汤」レシピページに、牛肉の下処理から野菜を炒め合わせる工程までの手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/104288219/
代用可能な食材
- 牛すね肉→牛バラ肉や合い挽き肉(200g)でも代用可能
- トマトケチャップのみで色と酸味を調整(トマトペーストを大さじ1追加してもよい)
- 牛骨スープ→水と顆粒コンソメ小さじ1(約3g)で代用可
保存・アレンジのコツ
- 冷蔵で2〜3日保存可能。一晩置くと具材に味がなじんでより美味しくなる。
- 仕上げにバター5gを落とすと、上海の洋食店に近いコクが出る。
- パンに合わせて「上海式洋食ランチ」風に仕立てるのもおすすめ。
出典
- 百年风情:罗宋汤的历史密码(澎湃新闻)(由来(白系ロシア人の上海流入の経緯、ビーツをトマトケチャップに置き換えた山東出身料理人によるアレンジ、「罗宋」の名前の由来))
- 牛肉罗宋汤的做法(下厨房)(レシピ・具材と手順)
- 罗宋汤的做法(下厨房)(レシピ・手順のクロスチェック(バターと小麦粉でとろみをつける技法))
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。