上海料理・沪菜八宝鸭

八宝鴨レシピ本場上海の配合を徹底解説

もち米、栗、グリーンピースなどの詰め物がのぞく、照りのある八宝鴨のイラスト
地域
沪菜(上海)
分量
4人分
公開

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骨を丁寧に抜いた鴨のお腹に、もち米・干し椎茸・金華ハム・栗など八種もの具材をぎっしり詰め込み、何時間もかけて蒸し上げる——「八宝鴨」は、上海の宴席で主役を張ってきた、手間暇を惜しまない一皿です。

その原型は、実は上海ではなく蘇州にあります。清の乾隆帝が江南を南巡した際、蘇州の名物として「糯米八宝鴨」が献上されたという記録が残っており、後に宮廷料理としても珍重されるようになりました。清代の料理書『調鼎集』にもその作り方が記されているという、由緒正しい一品なのです。

「八宝」という名前の通り、詰め物の顔ぶれは店や家庭によって少しずつ異なりますが、もち米を軸に、椎茸・金華ハム・栗・干し貝柱・筍・グリーンピース・豚肉などを組み合わせるのが定番。上海の人々にとっては、中秋節など家族が集まる祝いの席に欠かせない「団円(家族の再会)」の象徴でもあります。地域タグは沪菜(上海)——甘辛く濃厚な「濃油赤醤」の味付けが特徴の菜系です。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の配合と手順を公開します。

本場のレシピ

材料(4人分)

  • 合鴨骨抜き・内臓処理済み、なければ丸鴨を精肉店で骨抜きしてもらう。正味約1,500g1羽
  • もち米150g
  • 干し椎茸水で戻す。戻し汁50mlも使用6枚(30g)
  • 金華ハムさいの目切り50g
  • 甘栗(むき甘栗)100g
  • 干し貝柱水で戻す。戻し汁50mlも使用20g
  • 筍(水煮)さいの目切り80g
  • グリーンピース(冷凍可)50g
  • 生姜薄切り20g
  • 長ねぎぶつ切り、約30g1本
  • 黄酒または日本酒大さじ3と1/3(50ml)
  • 老抽大さじ2(30ml)
  • 生抽大さじ1と1/3(20ml)
  • 氷砂糖または砂糖15g
  • 八角2個
  • 塩(鴨の下味用)小さじ1(6g)
  • 塩(詰め物用)小さじ1(6g)
  • 塩(蒸し汁・たれ用)小さじ1と1/4(7g)
  • 湯(蒸し汁・たれ用)500ml

作り方

  1. もち米は洗って2時間以上浸水し、水気を切る。干し椎茸と干し貝柱はそれぞれぬるま湯で30分ほど戻し、戻し汁は取っておく(各50ml)。戻した椎茸と金華ハム、筍はさいの目に切る。

  2. ボウルにもち米、椎茸、金華ハム、筍、ほぐした干し貝柱、グリーンピース、甘栗を入れ、塩(詰め物用)小さじ1と黄酒大さじ1(15ml)を加えてよく混ぜ合わせる。

  3. 鴨は背側に浅く切り込みを入れ、関節を残しながら胸骨・肋骨を丁寧に取り除いて骨抜きにする(手間がかかる工程のため、精肉店に依頼してもよい)。表面と内側に塩(鴨の下味用)小さじ1をまんべんなくすり込み、10分ほどおく。

  4. 鴨の腹の中に2の詰め物を、もち米が加熱で膨らむ余裕を残して8分目まで詰め、開口部を竹串またはたこ糸で縫い閉じる。

  5. 深めの鍋に鴨がかぶるくらいの熱湯(分量外)を沸かし、鴨の表面全体を2分ほどくぐらせて霜降りにし、冷水にとって水気を拭き取る。

  6. フライパンに老抽大さじ1を薄くのばし、鴨の表面全体にまんべんなく塗って10分ほどおき、焼き色の下地を作る。

  7. 生姜・長ねぎ・八角・残りの黄酒(35ml)・残りの老抽(大さじ1)・生抽・氷砂糖・塩(蒸し汁用)小さじ1と1/4・湯500ml・椎茸と貝柱の戻し汁を合わせてたれを作る。

  8. 蒸し器(または大きな鍋に耐熱皿を入れたもの)に鴨を入れて7のたれを表面にかけ、強火で2時間半蒸す。途中40分おきにたれをすくってかけ直す。

  9. 蒸し上がったら鴨を器に盛り、蒸し汁を小鍋に移して強火で軽くとろみがつくまで煮詰め、鴨の表面にかけて完成。糸を外してから切り分ける。

本場と日本の違い

  • 発祥地:本場では蘇州発祥で清代の宮廷料理にまでさかのぼる由緒ある料理として認識されていますが、日本では「上海料理の一つ」という程度の認知にとどまり、詳しい由来はほとんど知られていません。
  • 詰め物の中身:本場では店や家庭ごとに椎茸・金華ハム・栗・干し貝柱・筍・グリーンピース・豚肉などを自由に組み合わせ「八宝」を構成しますが、日本の中華料理店で八宝鴨が出る場合、具材が簡略化されていることが多いです。
  • 調理の手間:本場では骨抜きから蒸し上げまで数時間がかりの「功夫菜(手間のかかる料理)」として、家族の行事のために腕によりをかけて作られますが、日本ではそもそも家庭で作られる機会がほとんどなく、専門店の一皿として食べるものという位置づけが強いです。

参考ページ(写真)

下厨房の「八宝鸭」レシピページに、骨抜きから詰め方までの手順写真が掲載されています。 https://www.xiachufang.com/recipe/100578152/

代用可能な食材

  • 鴨肉:入手困難な場合は骨付きの合鴨もも肉や丸鶏で代用可(その場合は骨抜きせず、骨付きのまま詰め物を添えて煮込む簡易版になる)
  • 干し貝柱:入手困難な場合は干しエビで代用可(風味はやや変わる)
  • 甘栗:入手困難な場合は冷凍のむき栗を蒸したものでも代用可
  • 金華ハム:入手困難な場合は生ハム(プロシュート)で代用可(塩気が強いため、塩の量をやや控える)

保存・アレンジのコツ

  • 蒸し上がった八宝鴨は冷蔵で2〜3日保存可能。食べる際は蒸し器で温め直すと身がパサつきにくい
  • 詰め物ともち米だけを取り分けておけば、ちまき風のおこわとして単独でも楽しめる
  • 残った蒸し汁は冷凍保存しておき、次回の煮込み料理のベーススープとして活用できる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。