山西料理・晋菜碗托
碗托(山西式そば粉の蒸し物)レシピ本場山西の配合を徹底解説

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茶碗の形のまま固まった、灰色のそば粉の蒸し物。山西・柳林の碗托(ワントゥオ)は、器から外して棒状に切るか、碗に入れたまま小刀で刻みながら、酢とにんにく、唐辛子油をかけて食べる。そば粉の素朴な香りを酢とにんにくで食べさせる、冷たい小吃だ。
名前は土地ごとに「碗禿」「碗団」「碗坨」「碗飥」とさまざまに書かれる。始まりについては、西晋の初め、匈奴が内地に移り住んだ時代に、武将の石勒が柳林の三郎堡に軍を駐屯させた際、兵糧が足りずにそばを挽いて炊いた粥が、食事の時間を逃すうちに冷えて固まり、それを切って塩や酢、にんにくで食べたのが起源という伝説が語られている。石勒がその味を大いにほめ、やがて民間に広まったという。柳林で商品として売られるようになったのは新中国成立の前夜ごろで、交通が不便で小麦粉が貴重だった土地で、地元産のそばを使って商売を始めたのが広まりのきっかけとされる。
碗托は柳林のほか、平遥、陝西北部の楡林、河北の承徳などでも作られる。平遥では白い小麦粉に塩水・八角の煮汁・菜種油を加えて15分ほど蒸し、承徳では豚の血を練り込んで三角に切り、油で焼く。承徳の老舗「二仙居」の碗坨は、清の皇帝たちが避暑山荘に滞在した際、宮女たちが買い求めたという逸話も残る。
晋菜(山西料理)らしく、仕上げの決め手は酢。ここから先は、中国語の資料に残る柳林の製法をもとに割り出した、生地の練り方・蒸し方・たれの配合を公開する。
本場の配合
材料(茶碗4個分・4人分)
碗托
- そば粉200g
- 塩3g(小さじ1/2程度)
- 生姜パウダー0.5g
- 水(こね用)100ml
- 水(のばし用)360ml
たれ
作り方
ボウルにそば粉200g・塩3g・生姜パウダー0.5gを入れて混ぜる。水100mlを加え、硬めの生地にまとめる。
生地を手のひらで押しつけるようにして5分ほど力を入れてこね、粘りを出す。表面につやが出て、手につかなくなればよい。
のばし用の水360mlを、最初は大さじ1ずつ、生地がゆるんできたら50mlずつ加え、そのつど手(またはゴムべら)で一定方向にかき混ぜて生地にしみ込ませる。最初は重い生地が、しだいにどろりとした糊状になる。お玉ですくって、お玉の背にとろりと膜が残るくらいの濃さになれば完成。
口の広い浅めの茶碗4個(容量250ml程度の耐熱のもの)を蒸気の上がった蒸し器に入れて3分温め、取り出して濡れ布巾で内側の水滴を拭く。
3の生地をもう一度混ぜてから4等分し、茶碗に注ぐ(深さ2.5cmほど)。蒸し器に戻してふたをし、強火で20分蒸す。竹串を刺して生の生地がついてこなければ蒸し上がり。ついてくる場合はさらに5分蒸す。
熱いうちに茶碗を取り出し、菜箸2本で同じ方向に素早くかき混ぜる。生地を茶碗の縁まで押し広げるようにして貼りつけ、中央がくぼんだ形に整える。
風通しのよい涼しい場所で1時間以上置き、完全に冷ます。
たれを作る。にんにく30gに水15mlを加えてにんにく汁にし、老陳醋30ml・生抽15ml・練りからし10gを加えてよく混ぜる。
碗托を茶碗から外して1cm幅の棒状に切る(または茶碗に入れたまま小刀で格子状に刻む)。たれを4等分してかけ、辣椒油を1杯につき約4ml、香菜と炒りごまを散らす。
本場と日本の違い
- 「熱湯で練る」のではなく「水でのばして蒸す」。 日本のそばがきはそば粉を熱湯で練り上げるが、碗托は冷水で硬い生地を作ってから水で少しずつのばし、碗ごと蒸して冷やし固める。冷めると、碗の形を保ったまま切り分けられる弾力のある生地に固まる。
- 水の量は店や家庭で幅がある。 中国のレシピでは、そば粉に対して水は2〜2.3倍が多く、柳林の店の味を再現したという投稿には4倍というやわらかい配合もある。本記事は、切り分けやすい2.3倍にしている。
- 冷やして食べる小吃。 柳林では冷たいまま、酢・にんにく・唐辛子油で食べるのが基本。冬には豆もやしと一緒に炒める食べ方もある。
- 土地ごとに材料が違う。 柳林はそば粉が主役だが、平遥は白い小麦粉、承徳は豚の血入り、ほかにも緑豆など豆の粉を半量混ぜる作り方がある。
- そばの実から作る方法も。 陝北などでは、そばの実を水に浸してすりつぶし、漉して取った生地を蒸す作り方も伝わる。粉から作るより手間はかかる。
参考ページ(写真)
下厨房の「柳林正宗碗团教程」レシピページに、生地を水でのばす工程から蒸し上がった碗托を碗の中でかき混ぜる工程までの手順写真が掲載されています。
(https://m.xiachufang.com/recipe/104278288/)
代用可能な食材
- そば粉:日本のそば粉で作れる。そば粉100g+緑豆粉100gにすると、豆の粉を半量混ぜる本場の配合(豆は緑豆が最適とされる)に近づく
- 生姜パウダー:省いてもよい
- 老陳醋:黒酢で代用可
- 練りからし:省く場合は、生抽を5ml増やす
- 茶碗:耐熱ガラスのボウルやプリン型でも作れる
保存・アレンジのコツ
- 冷めた碗托はラップで包み、冷蔵で翌日まで保存できる。食べる30分前に室温に出すと弾力が戻る
- 柳林の冬の食べ方にならい、碗托2個分を1.5cm角に切り、豆もやし100gと一緒にサラダ油15mlで2分炒め、生抽10mlと老陳醋5mlで仕上げると温かい一品になる
- 承徳式に近づけるなら、三角に切った碗托をサラダ油15mlで両面3分ずつ焼き、表面をカリッとさせてからたれをかける
出典
- 牛頓百科「碗托(碗坨)」
- 牛頓百科「碗禿」
- 牛頓百科「柳林碗禿」
- 牛頓百科「碗團」
- 牛頓百科「碗飥」
- 美食天下「荞麦灌肠」レシピ
- 財新網ブログ 劉興亮「老家山西柳林的小吃——碗团」
- 呂梁日報「柳林碗团里的百味人生」(網易転載)
- 下厨房「柳林正宗碗团教程 by 在路上1124」レシピ
- 下厨房「柳林碗团(家常版) by 今天午饭吃点什么」レシピ
- 美食天下「荞麦碗托(碗团) by ~幸福大鸭梨~」レシピ
- 美食天下「荞麦碗托 by 我是一只幸福猪」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。