山西料理・晋菜大烩菜

大燴菜(山西風寄せ煮)レシピ本場山西の配合を徹底解説

茶色い鉢の煮込みに揚げ豆腐、白菜、じゃがいも、豚肉、きくらげ、春雨、金針菜を入れた大烩菜のイラスト
地域
晋菜(山西)
分量
3〜4人分
公開

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白菜、豆腐、肉団子、春雨……冷蔵庫にある具材を次々と一つの大鍋に放り込んで、ぐつぐつ煮込む。そんな「なんでも煮込み」が、実は山西の結婚式で花嫁・花婿を送り出す朝に欠かせない、格式ある一皿だとしたら意外に思いませんか。

「大烩菜(ダーフイツァイ)」の由来には、南宋時代にまでさかのぼる伝説があります。抗金の名将・岳飛が、奸臣・秦桧の無実の罪(莫須有)によって処刑された際、これに怒った文人や志士たちが、油で揚げた野菜をひとつの鍋に煮込み、その食材を秦桧に見立てて「その肉を食らい、その血を飲む」気持ちを込めたのが始まりだと言い伝えられています。時代が下るにつれて改良が重ねられ、いつしか山西の人々にとって最も大事な家庭料理・祝い料理のひとつへと育っていきました。

山西は麺食文化と老陳醋(黒酢)で知られる晋菜の本場ですが、大烩菜はその中でも「一つの鍋で何品ものおかずを同時に完成させる」実用性が光る料理です。白菜・豆腐・肉団子・じゃがいも・春雨・黒きくらげ・金針菜などを層状に重ねてじっくり煮込み、仕上げに老陳醋をきかせたタレをまわしかける——山西の家庭では普段のおかずとして、そして呂梁地域などでは婚礼当日の朝に必ず作る特別な一鍋として、今も受け継がれています。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の配合と手順を公開します。

本場のレシピ

材料(3〜4人分)

  • 白菜ざく切り400g
  • 豚バラ薄切り肉150g
  • 豚ひき肉(肉団子用)150g
  • 塩(肉団子の下味用)1g
  • 生姜(肉団子用、すりおろし)5g
  • 片栗粉(肉団子用)5g
  • 卵肉団子用1/2個分
  • 揚げ豆腐厚揚げで代用可150g
  • じゃがいも乱切り200g
  • 春雨(乾燥)50g
  • 黒きくらげ(乾燥)8g
  • 金針菜(乾燥)15g
  • 長ねぎぶつ切り40g
  • 生姜(スープ用、薄切り)10g
  • にんにくみじん切り10g
  • 水(スープ用)600ml
  • 生抽15ml
  • 老抽10ml
  • 十三香3g
  • 花椒1g
  • 八角1個
  • 塩11g(小さじ2)
  • 白こしょう1g
  • 老陳醋(仕上げ用)15ml
  • 香菜お好みで、飾り用5g

作り方

  1. 春雨と黒きくらげはそれぞれたっぷりの水に20分ほど浸けて戻し、食べやすい長さ・大きさに切る。金針菜も同様に水で戻し、かたい根元を切り落とす。

  2. 豚ひき肉に塩1g・生姜5g・片栗粉5g・卵1/2個分を加えてよく練り混ぜ、直径3cmほどの団子に丸め、170℃の油で中まで火が通るまで揚げる。

  3. じゃがいもは乱切りにし、150℃程度の低温の油でじっくり揚げ、表面に薄く焼き色をつける。

  4. 揚げ豆腐は熱湯を回しかけて油抜きし、食べやすい大きさに切る。豚バラ肉は3〜4cm幅に切る。

  5. 鍋(土鍋または厚手の鍋)の底に白菜を敷き詰め、その上に戻した黒きくらげ・金針菜・春雨を広げ入れる。

  6. 豚バラ肉、揚げたじゃがいも、揚げ豆腐、肉団子を彩りよく並べ入れる。

  7. 別鍋で水600mlに長ねぎ・生姜・にんにく・生抽15ml・老抽10ml・十三香3g・花椒1g・八角1個・塩11g・白こしょう1gを加えてひと煮立ちさせ、5の鍋に静かに注ぎ入れる。

  8. 蓋をして強火にかけ、沸騰したら中火弱に落として30分ほど煮込む。

  9. 火を止める直前に老陳醋15mlを鍋肌からまわし入れてひと混ぜし、器に盛って香菜を散らして完成。

本場と日本の違い

  • 位置づけ:日本の「寄せ鍋」や「おでん」に近い「なんでも煮込み」の発想ですが、大烩菜は醤油・黒酢・十三香でしっかり味付けをした汁だくの惣菜で、そのままご飯や蒸しパン(馍馍)と合わせて主菜として食べる点が異なります。出汁を楽しむ日本の鍋物とは違い、具材にしっかり味を含ませることが目的です。
  • 婚礼との結びつき:呂梁地域などでは、結婚式当日の朝に必ず一鍋の大烩菜を作る風習が今も残っています。日本の祝い料理(赤飯や鯛など)のような「儀礼食」としての側面がある点は、日本にはあまりない発想です。
  • 具材の自由度:本場では「その時ある食材を何でも入れてよい」ことが大前提で、家庭や季節によって具材が大きく変わります。日本の「中華料理店の八宝菜」のような固定メニューではなく、そもそも決まったレシピがないという点が最大の違いです。

参考ページ(写真)

下厨房の「山西大烩菜」レシピページに、鍋に具材を層状に並べる手順の写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/218610/

代用可能な食材

  • 揚げ豆腐:入手困難な場合は市販の厚揚げで代用可
  • 黒きくらげ・金針菜:どちらも入手できない場合は省略可(省いてもよいが、食感と香りの層が単調になる)
  • 老陳醋:入手できない場合は一般的な黒酢や米酢で代用可(酸味の厚みはやや軽くなる)
  • 肉団子:手作りが難しい場合は市販の揚げ肉団子(惣菜用)で代用可

保存・アレンジのコツ

  • 汁ごと冷蔵で2〜3日保存可能。時間が経つほど味が染みて美味しくなるため、翌日に食べるのもおすすめ
  • 白菜がしんなりし過ぎるので、大量に作って保存する場合は白菜だけ後入れにするとよい
  • 残った汁でうどんや春雨をさっと煮込むと、二度目のご馳走として楽しめる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。