山西料理・晋菜猫耳朵
猫耳朶(山西式つまみ麺)レシピ本場山西の配合を徹底解説

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小さな生地のかけらを親指でぐっと押し、前へひねる。すると生地がくるりと丸まって、猫の耳そっくりの形になる——山西の猫耳朶(マオアルドゥオ)は、麺棒いらず、仕上げの形は「指先ひとつ」で決まる麺だ。
起源には諸説あり、金代から発展した麺食とする百科事典のほか、北魏の農書『斉民要術』に出てくる「餺飥(はくたく)」に通じるという見方もある。元代には「馬乞」と呼ばれ、狩りの縁起物として上流階級にも好まれ、明代以降に山西の庶民の食卓に広まったとされる。名前については、清の乾隆帝が江南を訪れた際、雨宿りした漁師の家で孫娘が麺棒の代わりに指でひねって作った麺を気に入り、「猫耳朶」と名付けたという伝説が知られる。ただしこの話は杭州・西湖を舞台にしたもので、山西の猫耳朶との結びつきははっきりしない。いずれにしても伝説の域を出ない話だ。
晋菜(山西料理)は、麺食文化と老陳醋の酸味が二本柱。猫耳朶もその典型で、小麦粉だけでなく、そば粉(蕎麺)や裸燕麦の粉(莜麺)でも作られる。ゆでた猫耳朶には、木耳・椎茸・金針菜・腐竹・卵などで作ったあん(滷)をかけたり、野菜や肉と炒めたりして、最後に山西の老陳醋で味を締めるのが定番の食べ方だ。
形は小さいが、指で押しつけた内側のくぼみにたれがよく絡み、つるりともちっとした歯ざわりが楽しめる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、生地の配合と成形、家庭で作りやすい「炒猫耳朶」の手順を公開する。
本場の配合
材料(2人分)
猫耳朶(生地)
- 中力粉300g
- 水150ml
- 塩1g
- 打ち粉(中力粉)20g
- ゆで湯2000ml
炒め具
- 豚肩ロース肉(1cm角)100g
- きくらげ(水で戻したもの)60g
- にんじん50g
- 白菜の軸80g
- トマト1個(150g)
- 葉にんにく20g
- サラダ油20ml
調味料
作り方
ボウルに中力粉300gと塩1gを入れ、水150mlを少しずつ加えながら菜箸で混ぜてそぼろ状にする。手でひとまとめにし、ボウル・手・生地の表面がすべてきれいになる(三光)まで5分こねる。ラップをかけて30分休ませる。
生地をもう一度1分こねてなめらかにし、親指くらいの太さ(直径1.5cm)の棒状に伸ばす。端から1cm幅(そら豆くらいの大きさ)に切り分け、打ち粉をまぶす。
成形する。切り口を上にしてまな板に置き、親指の腹で生地を押しつけながら前方へ押し出すようにひねる。生地が親指に沿ってくるりと巻き、猫の耳の形になる。巻きすの上で押すと表面に筋模様がつき、たれが絡みやすくなる。成形したものには打ち粉を軽く振り、くっつかないよう広げておく。
にんじんは5mm厚のいちょう切り、白菜の軸は2cm角、きくらげは一口大、トマトは2cm角、葉にんにくは3cm長さの斜め切りにする。
鍋に湯2000mlを沸かし、猫耳朶を入れて底につかないようにひと混ぜする。全部浮き上がってからさらに1分ゆで、冷水にとってぬめりを落とし、水気を切る。
フライパンにサラダ油20mlを中火で熱し、豚肉を1分炒めて色を変える。にんじん・白菜の軸・きくらげを加え、1分炒める。
トマトを加え、生抽15ml・十三香1g・粉唐辛子2g・塩4.5gを入れて1分炒め、トマトの汁を出す。
5の猫耳朶と老抽3mlを加えて強火で2分炒め合わせ、全体に色を絡める。
葉にんにくを加えて30秒炒め、老陳醋10mlを鍋肌から回し入れて火を止める。
本場と日本の違い
- ちぎるのではなく「押してひねる」。 日本のすいとんは生地をちぎって落とすだけだが、猫耳朶は親指で押しつけて巻き、内側にくぼみを作る。このくぼみにたれや具の汁がたまり、小さな麺でも味がしっかり乗る。
- 粉を替えて作る。 本場では小麦粉のほか、そば粉(蕎麺)や裸燕麦の粉(莜麺)でも作る。小麦粉とそば粉は粉1斤(500g)に水5両(250g)、莜麺は粉1斤に熱湯7両(350g)が基本の割合とされる。
- 仕上げは老陳醋。 山西ではあんをかけても炒めても、最後に老陳醋を効かせる。酢の香りが、粉ものの素朴な甘みを引き立てる。
- 食べ方はあんかけと炒めの二本立て。 木耳・椎茸・金針菜・腐竹・卵で作るあん(滷)をかけるのが山西の伝統的な食べ方で、家庭では手早く作れる炒め版も広く親しまれている。えびや蟹、ハムを合わせる豪華な作り方も記録されている。
参考ページ(写真)
美食天下の「木耳香肠炒猫耳朵」レシピページに、生地を切って筋模様をつけながら成形する工程と、炒め上がりの写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-380146.html)
代用可能な食材
- 中力粉:強力粉と薄力粉を同量ずつ混ぜて代用可
- そば粉入りにする場合:そば粉60g+中力粉240g(1:4)にすると、そばの香りがありながら成形しやすい
- 豚肩ロース肉:鶏肉のソーセージや豚ひき肉でも可(本場の家庭レシピにもソーセージ版がある)
- 葉にんにく:青ネギの青い部分またはニラで代用可
- 十三香:五香粉で代用可
- 老陳醋:黒酢で代用可
保存・アレンジのコツ
- 成形した猫耳朶は、打ち粉をまぶしてバットに重ならないよう並べて冷凍し、凍ったら保存袋へ。凍ったままゆで、浮いてから2分ゆでる
- あんかけにする場合は、水400mlに戻した木耳30g・干し椎茸2枚・金針菜10gを入れて5分煮て、生抽15mlと塩2gで調味し、溶き卵1個分を流し入れる。水溶き片栗粉(片栗粉10g+水20ml)でとろみをつけ、ゆでた猫耳朶にかけて老陳醋10mlをたらす
- 大豆粉30g(きな粉でも可)ととうもろこし粉30gを中力粉100gに混ぜた雑穀版も、本場の家庭レシピにある
出典
- 牛頓百科「山西貓耳朵」
- 牛頓百科「貓耳朵」
- 美食天下「木耳香肠炒猫耳朵」レシピ
- 美食天下「炒杂粮猫耳朵」レシピ
- 愛料理「苦荞做的猫耳朵」レシピ
- 搜狐(美食地図君)「非遗美食之山西——山西猫耳朵」
- 搜狐(愛有機生活)「山西美食“猫耳朵”,你吃过吗?」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。