浙江料理・浙菜宋嫂鱼羹

宋嫂魚羹レシピ本場浙江・杭州の配合を徹底解説

白い器の黄色いとろみスープに、ほぐした白身魚、ハム、たけのこ、椎茸の細切りを入れた宋嫂魚羹のイラスト
地域
浙菜(浙江・杭州)
分量
3〜4人分
公開

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杭州の老舗で出される魚のとろみスープ「宋嫂魚羹」は、800年以上前の南宋の皇帝と、一人の女性料理人の出会いから名を上げたとされる料理だ。

中国共産党中央紀律検査委員会のサイトに掲載された解説によれば、宋五嫂はもともと北宋の都・東京(開封)の人。金の侵攻で都が陥落すると、南へ逃れる人々とともに臨安(杭州)へ移り、魚羹の店を開いた。南宋の周密が著した『武林旧事』には、退位して太上皇となった高宗・趙構がこの魚羹を味わい、故郷を追われて南に流れてきた老女をあわれんで金銀や絹を賜ったことが記されているという。杭州の観光情報サイトでは、この出来事を南宋・淳熙年間(1179年)のこととしている。宋五嫂の店は呉自牧の『夢粱録』にも杭州の名物店として登場し、一躍その名を知られるようになった。

実は当ラボで以前紹介した「西湖醋魚」も、この宋嫂魚羹から派生したという説がある料理だ。ただ前述の解説によれば、清代には文人たちの記録の中で両者が混同されるようになったものの、魚羹はスープにとろみをつける「羹」、醋魚は魚にたれをかける料理で、作り方はまったく別物だという。今回は、蒸した魚の身をほぐし、ハムやたけのこと一緒にとろみのあるスープに仕立て、仕上げに酢を効かせる魚羹そのものを掘り下げる。

ここから先は、中国語の複数の資料・レシピを比較して割り出した配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(3〜4人分)

魚を蒸す

  • 白身魚の切り身本来は鱖魚。スズキで代用250g
  • 紹興酒15ml
  • 生姜(薄切り)5g
  • 長ねぎ(ぶつ切り)10g

羹

  • 鶏スープ(無塩)400ml
  • 紹興酒15ml
  • 長ねぎ(ぶつ切り)10g
  • 金華ハム(加熱済み)15g
  • ゆでたけのこ30g
  • 干し椎茸水で戻して25g2枚
  • 醤油20ml
  • 塩3g(小さじ1/2程度)
  • 片栗粉水40mlで溶く20g
  • 卵黄2個分
  • 米酢20ml
  • ラード20g

仕上げ

  • 生姜(極細の千切り)5g
  • 長ねぎ(白髪ねぎ)5g
  • 白こしょう0.5g

作り方

  1. 魚は皮目に浅く数本切り目を入れて皿にのせ、紹興酒15ml・生姜の薄切り・長ねぎ10gをのせる。蒸気の上がった蒸し器で強火で6分蒸す。

  2. 生姜と長ねぎを取り除き、蒸し汁は取っておく。魚の皮と骨を除き、身を大きめにほぐして蒸し汁に戻しておく。

  3. 金華ハム・たけのこ・戻した椎茸は長さ4cmの細切りにする(ハムは仕上げ用に少し取り分ける)。

  4. 鍋にラード10gを中火で熱し、長ねぎ10gを入れて香りが立つまで30秒炒める。鶏スープ400mlと紹興酒15mlを加えて沸騰させ、長ねぎを取り出す。

  5. たけのこ・ハム・椎茸を入れて1分煮たら、2の魚を蒸し汁ごと加え、醤油20ml・塩3gを加えて再び沸騰させる。

  6. 水溶き片栗粉を回し入れて全体を静かに混ぜ、とろみをつける。

  7. 溶いた卵黄を細く回し入れ、ひと呼吸おいてから大きく混ぜる。火を止める直前に米酢20mlを加えてひと混ぜする。

  8. 残りのラード10gを回しかけて器に盛り、生姜の千切り・白髪ねぎ・取り分けたハムをのせ、白こしょうを振る。

本場と日本の違い

  • 魚:本場は西湖や江南の鱖魚(ケツギョ、中国名で桂魚とも)を使うのが定番。日本では鱖魚がほぼ流通しないため、同じく淡白で身がほぐれやすいスズキで代用した。
  • 酢の入れ方:酢は最後に加えて香りを立たせるのがポイント。日本の酸辣湯のようにはっきり酸っぱくするのではなく、ほのかな酸味で魚の甘みを引き立てる程度にとどめる。
  • 卵黄だけを使う:卵を丸ごと溶き入れる家庭版もあるが、本記事では卵黄のみを使い、羹を淡い黄金色に仕上げた。日本の中華料理店のかき玉スープより、とろみと卵が一体になった濃い口当たりになる。
  • 西湖醋魚との違い:どちらも杭州の魚料理で、ルーツが同じという説もあるが、宋嫂魚羹は魚の身をほぐしてスープに仕立てる「羹」、西湖醋魚は一尾の魚に甘酢あんをかける料理。食べ比べると、同じ「酢」を使っても役割がまったく違うのがわかる。

参考ページ(写真)

美食天下の「宋嫂鱼羹」レシピページに、魚を蒸してほぐし、羹に仕立てるまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-30136.html)

代用可能な食材

  • 鱖魚:スズキのほか、タラ・タイなど淡白な白身魚で代用可
  • 金華ハム:生ハムやロースハムで代用可
  • 紹興酒:日本酒で代用可
  • ラード:サラダ油で代用可(コクはやや軽くなる)

保存・アレンジのコツ

  • 羹は時間がたつととろみがゆるみ、魚の身も崩れやすいので作りたてを食べるのがいちばん。残ったら冷蔵して翌日までに食べきる
  • ご飯にかけて魚あんかけ丼にしたり、ゆでた細麺を加えて汁麺にしたりしても楽しめる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。