浙江料理・浙菜嘉兴粽子
嘉興粽子(嘉興ちまき)レシピ本場浙江・嘉興の配合を徹底解説

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中国で「粽子(ちまき)」と聞いて多くの人が思い浮かべる町がある。上海と杭州のあいだにある浙江省嘉興、中国最大の粽子メーカー「五芳斋」が生まれた町だ。醤油色に染まったもち米に豚肉の塊を包んだ「鮮肉粽」は、嘉興の代名詞になっている。
嘉興の粽子づくりの歴史は古い。上海の文匯報によれば、端午節に粽子を食べる習慣は明代にはすでに定着しており、明の崇禎年間の嘉興県志にもその風俗が記されている。清末には春節・清明・端午のたびに、ほとんどの家が粽子を包んだという。
その名を全国に広めたのが老舗「五芳斋」だ。浙江・蘭渓出身の張錦泉が民国初年に嘉興の街角で粽子の屋台を始め、1921年に最初の店を開いた。店名は「五穀芳馨(五穀の芳しい香り)」にちなむとされる。のちに近くに開いた同業2軒と競い合い、1956年の公私合営で3軒が合わさって現在の五芳斋になった。「五芳斋粽子製作技芸」は2011年に国家級無形文化遺産に登録されている。
嘉興の粽子の特徴は、生のもち米に醤油をたっぷり絡めてから包み、豚肉の大きな塊をまるごと1つ入れ、何時間もゆでること。「もちもちでも崩れず、脂身があってもくどくない」と評される。日本の中華ちまきのように炒めたおこわを蒸すのではなく、生米から笹の葉の中で炊き上げる、まったく別の作り方だ。
ここから先は、中国語の複数の資料・レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(8個分)
肉の下味
もち米の味つけ
包む・ゆでる
- 粽の葉乾燥の箬葉・笹の葉。幅8cm以上のもの。予備を含め20枚用意16枚
- たこ糸(50cm長さ)8本
- 水(ゆで用)3500ml
作り方
前日に粽の葉を水に浸けて一晩おく。翌日、たわしで両面をこすり洗いし、たっぷりの湯で5分ゆでて柔らかくし、水にとって水気を拭く。
肉の下味も前日に。豚もも肉・豚バラ肉はそれぞれ3cm角・長さ5cmほどの大きめの塊に8個ずつ切る(1個につき、もも35g+バラ15gが目安)。生抽20ml・老抽5ml・黄酒15ml・砂糖8gを加え、肉がねっとりするまで手でよくもみ込み、ラップをして冷蔵庫で一晩おく。
当日、もち米を水が澄むまで洗い、水1200mlに1時間浸ける。ざるに上げて30分水気を切る。
もち米に生抽15ml・老抽20ml・砂糖5g・塩2gを加え、手で底から返すようにして、米粒が一粒残らず醤油色になるまで混ぜる(道具より手で混ぜる方がむらなく色がつく)。
包む。粽の葉2枚を少しずらして重ね、長い方の1/3のところで折り曲げて円錐の袋を作る。もち米を大さじ2(約30g)入れて軽く押さえ、もも肉とバラ肉を1個ずつのせ、上からもち米大さじ3(約45g)をかぶせる(1個あたりもち米約75g)。
上に残った葉を折りかぶせて口をふさぎ、両脇を内側に折り込んで、細長い四角形(四角粽)に整える。たこ糸を2〜3周巻いてしっかり縛る。米がゆでると膨らむので、ぎゅうぎゅうに詰めすぎず、ゆるすぎないのがコツ。
深鍋に粽子を並べ、水3500mlを注いで(粽子が完全に沈む量)、落としぶたか耐熱皿をのせて浮かないようにする。強火にかけて沸騰させる。
沸騰したら弱火にしてふたをし、3時間ゆでる。途中で水が減って粽子が出てきたら、熱湯を足して常にかぶる状態を保つ。
火を止めてふたをしたまま1時間おき、余熱で米の芯まで火を通す。箸を刺して米がくっつかずに抜ければでき上がり。糸を切って葉をむき、温かいうちに食べる。
本場と日本の違い
- 生米から醤油味で炊く:日本の中華ちまきは、具と一緒に炒めたもち米を竹の皮で包んで蒸すものが多い。嘉興の粽子は生のもち米を醤油で色づけしてから包み、長時間ゆでて葉の中で炊き上げる。米一粒一粒まで醤油色に染まり、葉の香りが移る。
- 肉は大きな塊を1つ:刻んだ具をたくさん入れるのではなく、赤身と脂身を合わせた大きな豚肉の塊を真ん中に入れる。脂が米に溶け出し、「脂身があってもくどくない」味になる。老舗では豚のもも肉の赤身と背脂を使い分けるとされる。
- 形とサイズ:嘉興の粽子は細長い四角形の「四角粽」。老舗の工場では160gの粽子の誤差を±2g以内に抑えるといい、職人が包み方を覚えるのに5か月、一人前になるには3年かかるとされる。
- 長時間ゆでる:もち米を芯までとろりとさせるため、家庭でも3時間以上ゆでるのが基本。中国の家庭では、炊飯器や土鍋で一晩かけて保温・焖するやり方も紹介されている。
- 日本のちまきとの違い:関西などで端午の節句に食べる「ちまき」は、米粉やくず粉の甘い餅を笹で巻いたもの。嘉興の粽子は主食にもなる、しょっぱい肉入りのもち米料理だ。
参考ページ(写真)
美食天下の「嘉兴鲜肉粽(非常详细的过程图)」レシピページに、葉を円錐に折って米と肉を詰め、糸で縛るまでの包み方が細かい手順写真で掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-70965.html)
代用可能な食材
- 粽の葉(箬葉):中華食材店や通販で「粽叶」「乾燥ちまきの葉」として売られている。なければ乾燥の笹の葉か竹の皮で代用可(竹の皮は1枚が大きいので、幅8cmに裂いて使う)
- 豚もも肉・豚バラ肉:豚肩ロースのかたまり400gだけで作ってもよい(赤身と脂身の割合が本場の配合に近い)
- 黄酒:日本酒で代用可
- 老抽:色づけの要なので、なければたまり醤油で代用する(色はやや薄くなる)
- たこ糸:キッチン用の綿の糸を使う。ビニールひもは不可
保存・アレンジのコツ
- ゆでて冷ました粽子は葉ごとラップに包み、冷蔵で3日、冷凍で1か月保存できる。食べるときは葉ごと熱湯で15分ゆでるか、蒸し器で20分蒸して温め直す
- 肉と一緒に塩漬け卵の黄身(咸蛋黄)を半分に切って入れると、五芳斋でも定番の「蛋黄肉粽」になる
- 甘い粽子が好きなら、醤油を使わない白いもち米に、こしあん(豆沙)を包む「豆沙粽」も嘉興の定番
出典
- 中国非物質文化遺産網「五芳斋粽子制作技艺」
- 維基百科「五芳斋 (嘉兴)」
- 文匯報「箬叶飘香——“五芳斋粽子制作技艺”篇」
- 美食天下「嘉兴鲜肉粽(非常详细的过程图)」レシピ
- 搜狐「嘉兴肉粽这样做,一次5个不够吃!」
- Cookpad(台湾版)「嘉兴·肉粽(记录用料& 调味配比)」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。