上海料理・沪菜上海熏鱼
上海燻魚レシピ本場上海の配合を徹底解説

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
「燻魚」という名前なのに、実は一度も煙で燻していない。上海の年越しの食卓に欠かせないこの冷菜は、魚を油でカリッと揚げ、熱いうちに甘辛いたれへ浸して味を含ませる料理だ。
上海の澎湃新聞の記事によれば、厳密にいえば上海の燻魚は「爆魚」に近い料理で、江南一帯では今も爆魚の名で呼ばれることが多い。「爆」の字には家運が盛んになるという縁起があり、魚は「余(ゆとり)」に通じるため、春節の間じゅう食べられるよう大量に作り置きするのが上海の家庭の習わしだという。清末の『清稗類鈔』にも爆魚の記録があるとされる。
では、なぜ燻していないのに「燻」なのか。騰訊新聞が紹介した上海の食文化研究者たちの見解では、ここでいう「燻」は蘇州の技法を指し、揚げたての魚を即座に調味液へ沈めて、表面の香ばしさを残しながら一気に味を吸わせるやり方のことだという。発祥をめぐっては、安徽の徽州から蘇州を経て上海に伝わったとする説と、蘇州の老舗・稲香村の五香燻魚(1893年の上海の新聞広告に登場)に源流を求める説があり、今も諸説ある。
本場で使うのは青魚(アオウオ)や草魚の胴の部分。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、上海の家庭の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(4人分)
魚と下味
漬けだれ
揚げ油
- 揚げ油800ml
作り方
魚は背骨に沿って縦半分に切り開き、骨ごと1.5〜2cm厚さの切り身にする。
ボウルに1を入れ、生姜10g・長ねぎ20g・料理酒15ml・生抽15ml・塩1.5gを加えてからめ、冷蔵庫で1時間置く。
漬けだれを作る。小鍋に水250ml・八角2個・桂皮3g・香葉3枚を入れて火にかけ、沸いたら弱火で10分煮出す。
3に氷砂糖50g・生抽30ml・老抽10ml・花雕酒30mlを加え、氷砂糖が溶けたらスパイスを取り出す。中弱火で10分ほど、へらにうっすら絡むくらい(約150ml)まで煮詰め、米酢10ml・五香粉1gを加えて火を止め、バットに移しておく。
2の魚から生姜とねぎを除き、キッチンペーパーで表面の水気をしっかり拭き取る。
揚げ油800mlを160℃に熱し、魚を重ならないように入れる。表面が固まるまで触らずに6〜7分揚げ、固まってから一度だけ返して全体がきつね色になったら取り出し、5分置いて粗熱を取る。
油を190℃に上げ、魚を戻して1〜2分二度揚げし、表面をカリッとさせる。
揚げたての魚をすぐに4の漬けだれへ沈め、1〜2分ずつ両面を浸す(浸す時間が短いほど外はカリッと、10分ほど浸すとしっとり柔らかく仕上がる)。
取り出して器に並べ、残ったたれを少量かける。常温まで冷まし、冷菜として食べる。
本場と日本の違い
- 「燻製」ではない:日本で「燻魚」と聞くとスモーク魚を想像しがちだが、上海の燻魚は煙を一切使わない。揚げたてを調味液に沈めて一気に味を吸わせる、蘇州由来の技法が名前の由来とされる。
- 冷菜として食べる:温かいおかずではなく、冷めた状態で前菜(冷盆)として出すのが本場流。年夜飯(大晦日の食卓)用に多めに作り置きし、春節の間に少しずつ食べる。
- 甘さの強さ:氷砂糖をたっぷり使う濃油赤醤(濃い醤油と砂糖で赤く照り良く仕上げる)の上海らしい味つけで、日本の魚の甘露煮よりも香辛料(八角・桂皮・五香粉)の香りが前に出る。
参考ページ(写真)
美食天下の「上海熏鱼」レシピページに、切り身の揚げ方から漬けだれに浸すまでの手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-301767.html)
代用可能な食材
- 草魚・青魚:日本では入手しにくいため、鯉、または厚みのあるさわら・ぶりの切り身で代用可(骨付きの鯉が最も本場に近い)
- 花雕酒:黄酒全般、または日本酒で代用可
- 氷砂糖:同量の上白糖でも作れるが、照りはやや弱くなる
- 香葉:ローリエで代用(本来の中国の香葉とは品種が異なるが、香りの方向は近い)
保存・アレンジのコツ
- たれごと保存容器に入れれば、冷蔵で4〜5日保存できる。日が経つほど味がなじむので、年末の作り置きに向く
- 余った漬けだれは煮詰め直して、ゆで卵や厚揚げを漬けると別の一品になる
- 食べる直前にトースターで1〜2分温めると、表面の香ばしさが戻る
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。