江西料理・赣菜南昌拌粉

南昌拌粉レシピ本場江西の配合を徹底解説

黒い器に赤いたれの太い米粉と、刻んだ萝卜干、酸豆角、ピーナッツ、ねぎ、パクチーをのせた南昌拌粉のイラスト
地域
贛菜(江西・南昌)
分量
2人分
公開

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南昌の朝は、麺でもお粥でもなく「拌粉」で始まる。スープに浸っていない、たれで和えただけの米粉だ。江西省の省都・南昌では、出勤前の人々が屋台の前に並び、湯気の立つ米粉に醤油と辣椒油、刻んだ干し大根の漬物と揚げピーナッツを乗せてもらい、その場で立ったまま平らげていく。汁物は別注文の瓦罐湯(素焼きの壺で蒸したスープ)で、この「拌粉+瓦罐湯」の組み合わせが南昌の朝食の定番とされている。

南昌拌粉の土台になっている南昌米粉の歴史は古い。地元の記事では、その起源は東漢末年にさかのぼり、食用の歴史は1800年以上に及ぶとされる。学者・銭鐘書の研究を引いて「中華米粉の最も古い発祥地は江西である」と紹介されることも多い。起源についてはさらに、五胡乱華の混乱で北方から南下した人々が、慣れ親しんだ麺の代わりに米を麺状に加工して生み出したという説や、秦の時代に南方へ送られた北方出身の兵士が故郷の麺を懐かしんで作ったという説も語り継がれている。いずれも「米しかない土地で、麺を食べたい人たちが編み出した」という点は共通している。

一方、たれで和える「拌粉」というスタイル自体は比較的新しく、およそ100年前に南昌の小さな食堂の女主人が考案したという伝承がある。地元で日常的に食べられていた米粉に、醤油・辣椒油・酢などの調味料を合わせたのが始まりとされる。2008年の北京オリンピック期間中には「食在奥運」の伝統小吃の代表として出品されるまでになり、いまや南昌の食文化を象徴する一杯になっている。

現地の米粉は江西産の晩稲籼米だけで作られ、でんぷんを混ぜない。だからこそ「久泡不烂、久炒不砕、韌而不硬(長く浸しても崩れず、炒めても砕けず、コシがあるのに硬すぎない)」と表現される独特の歯ごたえが生まれる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

米粉と下処理用の水

  • 江西米粉直径2〜2.5mmの太めの丸い乾麺160g
  • 水(浸水用)1000ml
  • 湯ゆで用・仕上げの温め直し兼用1500ml

佐料(トッピング)

  • 萝卜干(干し大根の塩漬け)5mm角に刻む60g
  • 酸豆角(ささげの発酵漬物)5mm幅に刻む50g
  • 揚げピーナッツ(薄皮つき)粗く砕く30g
  • 万能ねぎ小口切り15g
  • パクチー(香菜)1cm幅のざく切り8g
  • 佐料を炒める食用油15ml(大さじ1)

たれ

作り方

  1. 干燥米粉160gをボウルに入れ、水1000mlを注いで2時間浸す。芯まで白さが抜け、指で曲げても折れない状態が目安。

  2. 鍋に湯1500mlを沸かし、1の米粉を水気を切って入れる。再沸騰したら中火にし、12〜15分ゆでる。菜箸で1本つまんで軽く押すと抵抗なく切れる硬さになったら火を止める。ゆで湯は捨てずに鍋に残しておく。

  3. ゆで上がった米粉をざるにあけ、流水で2〜3回もみ洗いして表面の米浆(でんぷんのぬめり)を落とす。これをしないと和えたときにたれが絡まず、団子状に固まる。洗ったらしっかり水気を切る。

  4. フライパンに食用油15mlを入れて中火にかけ、萝卜干60gを1分炒めて水分を飛ばし、香りが立ったら取り出す。同じフライパンで酸豆角50gも1分炒めて取り出す。

  5. どんぶりに、にんにく8g・小米辣4g・生抽20ml・老抽5ml・オイスターソース8g・香醋3ml・砂糖2g・十三香0.5gを入れる。

  6. 小鍋またはフライパンで食用油30mlを150℃(菜箸を入れると細かい泡が上がる程度)まで熱し、5のどんぶりに一気に回しかける。にんにくと唐辛子がジュッと音を立てて香りが立つ。落ち着いたらごま油3mlと辣椒油15mlを加えて混ぜ、たれを完成させる。

  7. 2で残しておいたゆで湯を再沸騰させ、3の米粉を10秒くぐらせて温め直し、湯をしっかり切る。たれは冷たい米粉には絡まないので、熱いうちに使うことが最大のコツ。

  8. 熱い米粉を6のどんぶりに入れ、箸で下から持ち上げるように20〜30回和える。全体が均一な色になればよい。

  9. 4の萝卜干と酸豆角、揚げピーナッツ30g、万能ねぎ15g、パクチー8gを上に散らし、食べる直前にもう一度全体を混ぜて完成。

本場と日本の違い

  • 日本の中華料理店で「ビーフン」として出てくるものは、細くて炒めるタイプが主流。南昌拌粉に使うのは直径2mm以上の太い丸麺で、米だけで作られ、でんぷんを混ぜていないものが本来の姿。現地では「久泡不烂、久炒不砕、韌而不硬」という言葉で、この崩れにくくコシのある食感が誇られている。
  • 現地の店では佐料が卓上に並び、客が自分で好きなだけ乗せる方式が一般的。萝卜干は南昌新建区の「肖公廟」ブランドが定番とされ、辣椒油には江西の余干楓樹椒と四川の二荊条をブレンドして「鮮辣(キレのある辛さ)」を狙う店が多い。
  • 汁物を混ぜないのが南昌拌粉の流儀で、スープが欲しいときは瓦罐湯を別に頼む。日本のあえ麺の感覚で最初から具だくさんにするのではなく、米粉そのものの喉ごしを味わう料理として組み立てられている。
  • 米粉を冷水で洗ってぬめりを落とし、食べる直前に熱湯で温め直すという二段構えの下処理は、現地の店では当たり前の工程。これを省くと味がぼやけて麺同士がくっつくため、家庭で作るときの成否を分ける。

参考ページ(写真)

下厨房の「不一定正宗但一定好吃的南昌拌粉」レシピページに、佐料の炒め方とたれの合わせ方の手順写真が多数掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/104100491/

代用可能な食材

  • 江西米粉→太めのビーフン160g、またはベトナムのフォー用乾麺160g(浸水時間は30分に短縮する)
  • 萝卜干→たくあん60g(水気を拭いて刻む)、または刻み野沢菜漬け60g
  • 酸豆角→ザーサイ50g(塩気が強いので水に5分さらす)、またはいんげんの浅漬け50g
  • 小米辣→青唐辛子4g、または一味唐辛子1g
  • 辣椒油→市販のラー油15ml
  • 香醋→米酢3ml(香りは軽くなる)
  • 万能ねぎ→葉にんにく(蒜苗)15g(現地の一部のレシピはこちらを使う。青ねぎより香りが強く出る)
  • 揚げピーナッツ→素揚げのカシューナッツ30g、またはフライドオニオン15g

保存・アレンジのコツ

  • たれは6の工程まで作って清潔な瓶に入れれば、冷蔵で1週間保存できる。朝食用に作り置きしておくと、当日は米粉をゆでて和えるだけで完成する。
  • 萝卜干と酸豆角も炒めた状態で冷蔵3日保存できる。まとめて炒めておくと平日の朝が楽になる。
  • 米粉は前日の夜から水に浸しておいてよい(冷蔵庫で一晩)。翌朝はゆで時間だけで済む。
  • ボリュームを足したいときは、ゆで卵1個や炒めたひき肉50gを乗せる。現地でも牛肉や鶏の煮込みをトッピングにした「加料」版が人気。
  • 残った米粉は翌日に炒粉(焼きビーフン)に転用できる。南昌では拌粉と並んで炒粉も朝食の定番になっている。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。