四川料理・川菜毛血旺
毛血旺(マオシュエワン)レシピ本場重慶の配合を徹底解説

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真っ赤な油の下から、ぷるぷるの血豆腐、センマイ、ランチョンミート、もやしが次々と出てくる――毛血旺は、いわば「一皿で食べる小さな火鍋」です。
発祥は重慶の嘉陵江沿いにある古い港町・磁器口とされています。美食天下の料理解説によれば、今から70年ほど前、磁器口の船着き場で屋台を出して雑碎湯(モツのスープ)を売っていた女性が、スープに生の豚の血旺(血を固めたもの)を入れてみたところ、煮るほどに柔らかくうま味が増すことに気づいたのが始まりだといいます。名前の「毛」については、生のまま鍋にくぐらせて食べることに由来するという説のほか、中文版ウィキペディアでは重慶方言で「大ざっぱ・豪快」を意味する言葉だと説明されており、諸説あります。さらに重慶の地元紙には、明の建文帝が磁器口に落ち延びたという伝説と結びつけた話も紹介されていますが、これは伝承の域を出ません。
本サイトではすでに同じ四川系の「水煮牛肉」を紹介しています。どちらも辛いスープで具を煮て、最後に熱した油をかける点は共通しますが、水煮牛肉が自貢発祥で牛肉一品を主役にするのに対し、毛血旺は血旺・毛肚(センマイなどの胃袋)・うなぎ・ランチョンミートといった雑多な具を一鍋にまとめるのが特徴です。辛さのベースに火鍋の素(火鍋底料)を使うのも、火鍋の街・重慶らしいところです。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順を公開します。
本場の配合
材料(3人分)
作り方
鴨血は厚さ1cm・4cm角に、千層肚は一口大に、ランチョンミートは厚さ5mmに切る。莴笋は皮をむいて薄切りにする。
鍋に湯を沸かし、大豆もやしと莴笋を2分ゆでて水気を切り、深めの器の底に敷く。続けて鴨血を同じ湯で1分ゆで、ざるに上げる(臭みと余分な血が抜ける)。
中華鍋に炒め用の菜種油30mlを入れて弱火にかけ、郫県豆瓣醤と火鍋の素を加えて3分ほど炒め、赤い油を出す。
にんにく・生姜・長ねぎを加えて香りが立つまで30秒炒め、料酒15mlと水600mlを注いで強火で沸騰させ、中火で5分煮てスープの味を出す。
砂糖5gを加え、鴨血を入れて中火で3分煮る。続いてランチョンミートを入れて1分、最後に千層肚を入れて30秒ほど、縮む直前で火を止める。
具とスープを2の器に移し、表面に辣椒粉・乾燥唐辛子・花椒を散らして青ねぎをのせる。
小鍋で仕上げ用の菜種油50mlを白い煙が薄く立つまで(約200℃)熱し、6の上から一気に回しかける。
本場と日本の違い
- 具の多さ:本場の店では鴨血・毛肚・黄喉(大動脈)・鱔魚(田うなぎ)・豚ハツ・ランチョンミートなど、モツ系の具が当たり前に何種類も入る。日本の店では血豆腐やモツを抜き、豚肉や白身魚中心にアレンジされていることが多い。
- 火鍋の素を使う:重慶の家庭や大衆食堂では、牛脂入りの火鍋底料を溶かしてスープのベースにするのが一般的。一から香辛料を炒めなくても、火鍋そのもののコクが出る。
- 水煮牛肉との違い:同じ「煮てから熱油をかける」系統でも、水煮牛肉は下味をつけた牛肉のなめらかさを楽しむ料理。毛血旺は雑多な具の食感の違い、特に火を入れすぎない血旺と毛肚の歯ざわりを楽しむ料理で、火鍋に近い位置づけにある。
参考ページ(写真)
美食天下の「【四川】毛血旺」レシピページに、具の切り方から熱油をかける仕上げまでの手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-312122.html)
代用可能な食材
- 鴨血:中華食材店の冷凍・パック入り「鴨血」や韓国食材の「ソンジ(牛の血豆腐)」で代用可。入手できなければ絹厚揚げや焼き豆腐で食感を補う
- 千層肚:焼肉用のセンマイ(ボイル済み)がそのまま使える。ミノやハチノスでも可
- 莴笋:セロリの茎やズッキーニで代用可
- 重慶火鍋の素:市販の麻辣火鍋の素で代用可。入手できなければ郫県豆瓣醤を45gに増やし、牛脂または豚脂15gを炒め油に足す
保存・アレンジのコツ
- 血豆腐とセンマイは煮すぎると固くなるため、作り置きには向かない。スープだけ多めに作って冷蔵(2日程度)し、食べる直前に具を煮るのがおすすめ
- 残ったスープに春雨や乾燥米粉を入れて締めにしたり、白身魚の切り身を加えて「水煮魚」風にしたりもできる
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。