四川料理・川菜鸡豆花

鶏豆花(ジードウホワ)レシピ本場四川の配合を徹底解説

澄んだスープの器に浮かぶ白くふんわりした鶏豆花と青菜、赤いクコの実のイラスト
地域
川菜(四川)
分量
3人分
公開

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透き通ったスープに、ふるふると白い豆花が浮かんでいる――ところがこの「豆花」には、大豆が一粒も使われていません。正体は、鶏のささみを叩いてすり身にし、卵白と合わせてスープの中で固めたもの。四川ではこれを「吃鶏不見鶏(鶏を食べているのに鶏の姿が見えない)」と形容します。

新浪の記事によれば、鶏豆花は1909年刊の『成都通覧』や清末の『四季菜譜摘録』にも記録が残る、百年以上の歴史を持つ四川の伝統料理です。唐の太子・李承乾にまつわる古い由来話も伝わっていますが、こちらは伝説の域を出ません。麻辣のイメージが強い川菜の中で、唐辛子も花椒も使わない「清淡」の極みとされ、宴席や国の賓客をもてなす国宴でも供されてきました。虎嗅の記事は、料理人の潘小敏氏が説明する「鶏の形はないが、鶏のうま味がある」という言葉を紹介しています。

本サイトではすでに台湾の「豆花(台湾式トウファ)」を紹介しました。あちらは豆乳を石膏で固め、シロップをかけて食べる甘いデザート。鶏豆花は見た目こそそっくりですが、中身は鶏のすり身、味つけは澄んだ鶏スープの塩味という「似て非なる」一品です。成功の鍵は、すり身と卵白とでん粉の配合、そしてスープの火加減にあります。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順を公開します。

本場の配合

材料(3人分)

鶏のすり身(鶏茸)

  • 鶏ささみ(筋を取ったもの)150g
  • 卵白90g(約3個分)
  • 鶏清湯(冷やしたもの。すり身用)150ml
  • 片栗粉10g
  • 水(片栗粉用)20ml
  • 塩(すり身用)1.5g(小さじ1/4程度)
  • 白こしょう1g

スープと仕上げ

  • 鶏清湯(無塩。煮る用)800ml
  • 塩(スープ用)7.5g(小さじ1と1/4程度)
  • 豆苗50g
  • 金華ハム(加熱済み・みじん切り)15g

作り方

  1. 鶏ささみは筋と薄膜を取り除き、包丁の背で全体をまんべんなく叩いてほぐす。続けて刃で細かく叩き、なめらかなペースト状にする(フードプロセッサーなら1分回してから、包丁の背でさらに叩いて繊維を切る)。

  2. 1をボウルに移し、冷やした鶏清湯150mlを3回に分けて加え、そのつど同じ方向に混ぜてなじませる。

  3. 卵白90g、塩1.5g、白こしょう1gを加え、さらに同じ方向に1分ほど混ぜる。片栗粉10gを水20mlで溶いて加え、全体がとろりとした均一な液状になるまで混ぜる(これが「鶏茸漿」)。

  4. 豆苗は熱湯で10秒ほどゆでて水気を切り、器の底に敷いておく。

  5. 鍋に煮る用の鶏清湯800mlを入れて強火で沸騰させ、塩7.5gを加える。3の鶏茸漿をもう一度混ぜてから、鍋の中央に一気に流し入れ、5秒ほどおいてからお玉で大きく1回だけゆっくり混ぜる。

  6. ふつふつと小さな泡が出る程度に火を弱め(沸騰させない)、ふたをせずに10分静かに煮る。すり身が浮き上がり、白い豆花のようにふんわりとひとかたまりに固まれば完成。

  7. 穴じゃくしで豆花をすくって4の器に盛り、鍋のスープを目の細かいこし器でこしながら静かに注ぐ。金華ハムのみじん切りを散らす。

本場と日本の違い

  • 大豆を使わない「豆花」:日本で「豆花」といえば台湾式の甘いデザートが一般的だが、鶏豆花は鶏のすり身をスープで固めた塩味の宴席料理。見た目だけを豆花に似せる、四川の工芸的な技法の代表例。
  • スープの澄み具合が命:本場では鶏・鴨・豚スペアリブなどを長時間煮出して澄ませた「清湯」を使う。スープの透明度そのものが料理の格を決める。
  • 火加減:強く沸騰させると花が散り、弱すぎると固まらない。本場の解説でも「火が弱すぎれば固まらず、強すぎれば花が散る」と強調されるほどで、日本の家庭で作るときは「沸騰直前を保つ」ことだけ意識すれば再現しやすい。
  • 宴席の配合:北京飯店で川菜を築いた料理人・羅国栄の流れをくむとされる国宴の配合では、鶏むね肉150gに卵白4個、清湯は合わせて1.3kgを使い、微沸まで上げたらごく弱火に移して10分浸すように煮る。本記事は家庭の3人分として、卵白とスープをやや控えめにしている。
  • 麻辣ゼロの川菜:日本では「四川料理=辛い」のイメージが強いが、宴席の川菜には鶏豆花や開水白菜のような、辛味を一切使わない上品な料理の系譜がある。

参考ページ(写真)

美食天下の「紫云鸡豆花」レシピページに、鶏むね肉を叩いてすり身にする工程からスープで固めるまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-26976.html)

代用可能な食材

  • 鶏ささみ:皮と脂を取り除いた鶏むね肉でも作れる。脂が残るとスープが濁るので丁寧に取る
  • 鶏清湯:鶏がら(または手羽先500g)を水1.5Lで弱火1時間半煮て、脂を除いてこせば家庭版の清湯になる。市販の鶏がらスープの素(顆粒)10gを湯950mlに溶かして使う場合は、スープ用の塩を4gに減らす
  • 金華ハム:生ハムまたはロースハムのみじん切り15gで代用可
  • 豆苗:本場では豌豆尖(えんどうの若芽)やほうれん草を使う。ほうれん草ならゆでて食べやすく切る

保存・アレンジのコツ

  • 豆花は時間がたつと水分が出てしぼむため、作りたてを食べる。すり身(手順3の段階)は冷蔵で半日ほどなら置いておける
  • 固まった豆花をすくい、ゆでた青菜と一緒にとろみをつけたスープで煮ると「鶏豆花の上湯仕立て」になる
  • 少量の紫菜(焼きのりでも可)を器に入れると、美食天下のレシピにもある「紫雲鶏豆花」風になる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。