東北料理・东北菜锅包肉

鍋包肉(锅包肉、グオバオロウ)レシピ本場ハルビンの配合を徹底解説

甘酢あんをまとった揚げ豚に、にんじんの細切りとパクチーをのせた白い皿の鍋包肉のイラスト
地域
东北(中国東北部料理)
分量
2人分
公開

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「锅包肉」という名前、実は発音ミスから生まれたと聞いたら驚くだろうか。1907年、ハルビンの清朝地方官庁「道台府」で膳長(料理長)を務めていた鄭興文(郑兴文)という料理人が、この料理の生みの親とされている。彼はもともと北京の恭王府で宮廷料理を学んだ腕利きで、道台府では外国からの賓客をもてなす迎賓料理を任されていた。当時ハルビンには中東鉄路の建設に伴い多くのロシア人が滞在しており、鄭興文はロシア人の口に合うよう、塩味だった伝統の炒め肉料理「焦炒肉片」を甘酸っぱい味に改良する。これが評判を呼び「锅爆肉(グオバオロウ/鍋で爆炒した肉)」と名付けられたが、ロシア人が「爆(bào)」をうまく発音できず「包(bāo)」と聞き取ったため、いつしか「锅包肉」という表記が定着したという説が有力だ。長らく口伝えの逸話にすぎなかったこの起源だが、清末の文人・畢光祖が道台府の宴席料理を記録した手巻文書『官品膳譜』にも、鄭興文自身の言葉として調理法が書き残されており、単なる伝説ではなく史料としても裏付けられているのが興味深い。

ただし日本でこの料理を紹介すると、必ず「それって酢豚でしょう?」と言われてしまう。たしかに見た目はよく似ているが、実際に中国語の複数レシピを比較すると、衣の作り方から味付けの構造まで、まったく別の料理だということが分かる。ここから先は、本場のレシピを比較して割り出した具体的な配合と手順、そして日本の酢豚(古老肉・咕咾肉)との違いを詳しく解説します。

锅包肉(本場ハルビン式の配合)

材料(2人分)

  • 豚ロース肉またはヒレ肉、脂身の少ない部位300g
  • 黄酒なければ紹興酒や料理酒で代用可小さじ1(5ml)
  • 塩(下味用)小さじ3/4(約4g)
  • じゃがいもでん粉片栗粉で代用可。衣用80g
  • 水(でん粉を溶く用)80ml
  • 米酢穀物酢で代用可。色の薄いもの45ml
  • グラニュー糖45g
  • 生抽(風味づけ・色づけ用)小さじ1(5ml)
  • 水(たれ用)30ml
  • にんじんせん切り20g
  • 万能ねぎせん切り10g
  • にんにくみじん切り5g
  • しょうがみじん切り5g
  • 香菜(あれば)ざく切り5g
  • 揚げ油400ml

作り方

  1. 豚肉は繊維を断ち切る向きに厚さ4〜5mmの薄切りにする。肉たたきの背で軽く叩いて筋を切り、黄酒・塩をもみ込んで10分置く。

  2. じゃがいもでん粉に水80mlを加えて溶き、30分ほど置いて粉と水を分離させる。表面に浮いた水を捨て、とろりとしたペースト状にする(肉を持ち上げたときに両面へ均一にまとわりつく濃度が目安)。

  3. 揚げ油を170℃程度(菜箸を入れて細かい泡が立つ状態)に熱し、①の肉に②の衣をしっかりからめて1枚ずつ広げながら入れ、薄く色づくまで2〜3分揚げて一度取り出す。

  4. 油の温度を190℃程度まで上げ、③の肉を戻し入れて20〜30秒だけ二度揚げする。表面がカリッと乾いたら油を切って取り出す。

  5. 別のボウルに米酢・グラニュー糖・生抽・水30mlを合わせ、甜酸だれを作る。

  6. フライパンに油を薄くひき、にんにく・しょうが・にんじん・万能ねぎを強火でさっと炒める。

  7. ⑤のたれを加えて強火で煮立て、軽くとろみがつき大きな泡が出るまで20〜30秒煮詰める。

  8. 火を止めて④の肉と香菜を加え、鍋を大きくあおるように手早く10〜15秒だけ絡めたらすぐ皿に盛る(ソースを煮詰めてから肉を絡め、すぐ食卓に出すのが外はカリッと中はジューシーに仕上げるコツ)。

本場と日本の違い

  • 「酢豚」と呼ばれることが多いが、日本の酢豚(古老肉・咕咾肉)はブロック状の豚肉に卵入りの厚い衣をつけ、ケチャップやパイナップルを加えた濃厚な甘酢あんでとろみをつけるのが定番。一方、锅包肉は薄いそぎ切り肉に「じゃがいもでん粉+水」だけの衣をまとわせ、二度揚げでカリッと仕上げてから、あん状にはしないさらりとした甜酸だれをさっと絡めるだけで、見た目も食感もまったく異なる。
  • 中華丼や日本式の酢豚は肉と野菜(玉ねぎ、にんじん、ピーマンなど)を主役級の分量で炒め合わせるが、本場の锅包肉は野菜はあくまで香りと彩りの脇役(せん切りのねぎ・しょうが・にんじん・香菜程度)で、主役は最後まで衣のカリッと感を保った肉そのもの。
  • そもそも咕咾肉(古老肉)は広東省発祥で、清代に外国人が骨を吐き出さずに済むよう骨なし豚肉を使って改良された料理とされ、锅包肉とはルーツからして別系統。咕咾肉は砂糖酢とケチャップを併用し、パイナップルやライチなど果物を合わせて国際的に「酸甜肉」として広まったのに対し、锅包肉の発祥地・黒龍江省や吉林省では砂糖と酢だけで仕上げる「糖醋(さとう酢)」派が正統とされる(遼寧省の一部にトマトソースを使う「番茄」派もあるが、ケチャップは基本的に避ける)。
  • 揚げ方にも違いがあり、锅包肉は必ず二度揚げで衣を極薄・極カリカリに仕上げるのに対し、日本の酢豚は一度揚げで衣にある程度厚みとふんわり感を残す作り方が主流。仕上げた直後にたれを絡めてすぐ提供しないと衣がしんなりしてしまう点も、锅包肉ならではの繊細さだ。

参考ページ(写真)

下厨房の「正宗东北锅包肉」レシピページに手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/106918201/

代用可能な食材

  • 豚ロース肉はヒレ肉や豚こま切れ肉(厚切りにカット)でも代用可能。脂身が少なめの部位が向く。
  • じゃがいもでん粉が手に入らない場合は片栗粉(コーンスターチ入りのものは避ける)で代用できるが、サクサク感がやや弱くなる。
  • 米酢がない場合は穀物酢や普通の醸造酢で代用可能。黒酢や香醋は色が濃くなりすぎるため不向き。

保存・アレンジのコツ

  • 衣を付けて一度揚げた状態(二度揚げ前)で冷凍しておくと、食べる直前に二度揚げとたれ絡めだけで済み時短になる。
  • たれを絡めた後は時間が経つと衣がしんなりするため、作り置きは避けて食卓に出す直前に仕上げるのがベスト。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。