東北料理・东北菜得莫利炖鱼

得莫利炖魚(得莫利炖鱼)レシピ本場黒竜江の配合を徹底解説

両手鍋の赤茶色の煮汁に丸ごとの鯉、豆腐、春雨、香菜を入れた得莫利炖魚のイラスト
地域
东北(黒竜江)
分量
2人分・目安
公開

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黒竜江省ハルビン市郊外、方正県。松花江のほとりにある「得莫」という小さな漁村の名を冠したこの炖め物は、東北八大炖め物のひとつに数えられる百年級の郷土料理である。大きな鯉を丸ごと焼きつけ、豆腐と春雨を一緒にぐつぐつ煮込む豪快な一品で、東北の家庭や食堂の鍋からいつも湯気を立てている。

名前の由来には面白い食い違いがある。ひとつは「得莫利は満洲語で『渡し場』を意味する」という説。松花江を渡る渡し船の発着地だったことにちなむという。もうひとつは「得莫利という音自体がロシア語の音訳」だとする説で、この地域がかつて中東鉄道の建設や白系ロシア人の往来で栄えた歴史を踏まえると、こちらもうなずける話である。どちらが正しいと断定できる決定的な資料は見当たらず、地元でも両方の説が語り継がれているという。

料理そのものの起源については、「村のある老婆が魚の炖め物を得意としていたが、あるとき村人総出で家の改築を手伝いに来てくれた際、人数が多すぎて鯉だけでは足りなくなり、豆腐と春雨を鍋に足してかさ増ししたのが始まり」という逸話が広く伝わっている。もてなしの知恵から生まれた即興の一品が、いつしか松花江漁村の看板料理になったというわけだ。今日ではハルビンの采氷祭りの屋台でも湯気を上げる、冬の東北を象徴する味のひとつになっている。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・目安)

メイン

  • 鯉またはソウギョ、丸のまま。内臓と鱗を除いたもの600g前後
  • 木綿豆腐できれば凍り豆腐か厚揚げ前の老豆腐。厚さ1.5cmに切る200g
  • 乾燥サツマイモ春雨紅薯粉条。水で20分戻す50g
  • 豚バラ肉薄切り40g

香味野菜・香辛料

  • 生姜5枚
  • 長ねぎ3cm長さのぶつ切りと小口切りに分けておく1/2本
  • にんにく潰す3片
  • 八角2個
  • 乾燥赤唐辛子3本
  • 花椒好みで省略可ひとつまみ
  • 香菜ざく切り2〜3本

調味料

  • 黄醤東北の大醤の代用15g(大さじ1)
  • 生抽30ml(大さじ2)
  • 老抽5ml(小さじ1)
  • 黄酒15ml(大さじ1)
  • 砂糖10g(大さじ1弱)
  • 塩味を見て調整2g
  • 食用油大さじ2
  • 湯または鶏がらスープ。魚が半分浸る量700ml前後

作り方

  1. 魚の下ごしらえ。鯉は鱗と内臓、えら、背びれ沿いの血合いと白い筋(腥み線)を丁寧に取り除き、両面に浅い格子状の切り込みを入れる。キッチンペーパーで水気をしっかりふき取る。

  2. 焼き付ける。鍋(できれば鉄鍋か厚手のフライパン)に油大さじ2を熱し、魚を入れて中火で両面に焼き色がつくまで、それぞれ3〜4分ずつ焼く。皮が鍋にくっつかないよう、動かしすぎないのがコツ。

  3. 豚肉と香味を炒める。魚をいったん端に寄せるか取り出し、豚バラ肉を加えて脂が透き通るまで炒める。生姜、長ねぎのぶつ切り、にんにく、八角、乾燥唐辛子、花椒を加えて香りが立つまで30秒炒める。

  4. 醤で炒め合わせる。黄醤を黄酒でのばしながら加え、油と馴染むまで1分炒める。ここで香ばしい醤の香りをしっかり立たせるのが東北炖め物らしさのポイント。

  5. 煮込む。生抽、老抽、砂糖を加え、湯(またはスープ)を魚が半分浸るくらいまで注ぐ。強火で沸かし、アクを取ってから中火に落として蓋をし、20〜25分煮る。

  6. 豆腐を加える。豆腐を加えてさらに5〜8分、味を含ませながら煮る。

  7. 春雨を加える。戻した春雨を加え、5〜7分、透き通って柔らかくなるまで煮る。塩で味を調える。

  8. 仕上げ。長ねぎの小口切りとにんにくの残りを散らし、香菜をのせて1分だけ煮たら火を止める。鍋ごと食卓に出し、ぐつぐついわせながら取り分ける。

本場と日本の違い

  • 主役は「醤」の香ばしさ。 単なる醤油煮ではなく、東北特有の大醤(黄醤で代用)を炒めてから煮汁のベースにするのが本場の骨格。醤を省いて醤油だけで煮ると、味の輪郭がぼやけてしまう。
  • 豆腐と春雨は「かさ増し」ではなく主役級。 由来の逸話どおり、豆腐と春雨は魚と同じ皿の中で存在感を放つ。日本の魚の煮つけのように魚だけを主役にすると、この料理らしさが半減する。
  • 魚は丸ごと、鍋ごと出す。 切り身にせず大きな鯉を一匹丸ごと使い、鍋やホーロー鍋のまま食卓に運んでぐつぐつ煮えた状態で取り分けるのが東北流。上品な盛り付けよりも豪快さが身上。
  • 地名の由来自体が定まっていない。 満洲語の「渡し場」説とロシア語音訳説が併存しており、これは中国語の資料でも決着がつぁていない点として押さえておきたい。
  • 辛味は前面に出さない。 唐辛子や花椒は香り付け程度で、四川料理のような強い辛さは狙わない。あくまで醤とスープのうま味を主役にした味付けである。

参考ページ(写真)

下厨房の「得莫利炖鱼」レシピページには、魚を焼き付ける工程から豆腐・春雨を加える順番までの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/106571651/

代用可能な食材

  • 鯉→草魚(ソウギョ)600g、または白身の淡水魚(ナマズなど)600g
  • 黄醤→東北大醤(現地の甜面醤に近い豆味噌)が入手できればそちらを優先。なければ味噌大さじ1で代用可
  • 紅薯粉条→緑豆春雨50g、またはマロニー50g
  • 凍り豆腐が手に入る場合→木綿豆腐を一度冷凍・解凍して使うと本場のスポンジ状の食感に近づく
  • 豚バラ肉→豚こま切れ肉40g(脂の量はやや控えめになる)

保存・アレンジのコツ

  • 翌日はスープに深みが増すため、あえて1食分残して冷蔵し、温め直して「二日目の得莫利」を楽しむ食べ方も現地では好まれる。
  • 家庭では鯉の代わりに手に入りやすい草魚やナマズで作ることも多く、味の骨格(大醤+生抽・老抽)さえ守れば魚種を変えても再現しやすい。
  • 残ったスープにご飯やうどんを入れて雑炊・煮込みうどん風にするのも東北の食べ方のひとつ。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。