東北料理・东北菜拔丝地瓜

抜絲地瓜(さつまいもの飴がらめ)レシピ本場東北の配合を徹底解説

皿に盛った飴がけの角切りさつまいもを箸で持ち上げて飴が伸びる様子と、冷水の小鉢を描いた抜絲地瓜のイラスト
地域
东北
分量
2〜3人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

揚げたさつまいもに甘い蜜をからめる――と聞けば、日本人ならまず大学芋を思い浮かべるはずです。ところが中国東北の食堂で「拔丝地瓜」を頼むと、箸で一切れ持ち上げた瞬間、飴が金色の細い糸になって長く伸びていきます。料理名の「拔丝」は、まさにこの「糸を引く」様子のこと。熱いうちに食べないと飴が固まって皿ごとくっついてしまう、スピード勝負の一皿です。

百度百科系の解説では、拔丝地瓜は中国北部が源で、いまでは中国全土で食べられ、華僑を通じて日本や韓国にも伝わったとされています。菜系としては鲁菜(山東料理)と東北料理の両方に数えられる料理です。

「拔丝」という調理法そのものは、山東発祥とする説が有力です。清代の作家・蒲松齢は「いま北方では飴がらめがはやり、糖をからめられない物はない」という趣旨の一節を残しており、搜狐掲載の記事は、清代の山東・淄博ですでに拔丝料理が流行し、拔丝地瓜は淄博の博山料理を代表する甘味だと紹介しています。一方、新浪山東の記事は、山東の料理人が都のかまどの強い火で蜜を煮詰めすぎ、偶然糸を引いたのが始まりという逸話を伝えており、誕生の経緯には諸説あります。中文版ウィキペディアは、東北料理が鲁菜の影響を大きく受けており、とくに遼寧の料理にはその特徴がよく残っていると説明しています。山東生まれの技法が、さつまいもという庶民の食材と結びついて東北の定番になった、と見るのが自然でしょう。

では大学芋と何が違うのか。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の分量と手順を公開します。

本場の配合

材料(2〜3人分)

  • さつまいも皮をむいた後の重さ400g
  • 揚げ油ピーナッツ油またはサラダ油800ml
  • 砂糖上白糖またはグラニュー糖100g
  • 水(飴用)50ml
  • 油(飴用)10ml
  • 酢(米酢)5ml
  • 油(盛り付け皿に塗る用)5ml
  • 冷水(食卓に添える用)300ml

作り方

  1. さつまいもは皮をむき、3〜4cm大の乱切りにする。水に10分さらしてでんぷんを落とし、ざるに上げてキッチンペーパーで水気をしっかりふき取る。

  2. 揚げ油800mlを150℃に熱し、さつまいもを入れて弱めの中火で8〜10分揚げる。竹串がすっと通り、表面が薄いきつね色になって外側がカリッとしたら取り出し、油を切る。

  3. 盛り付け用の皿に油5mlを薄く塗っておく。冷水300mlを小鉢に入れて食卓に用意する。

  4. 鍋の揚げ油をあけてさっとふき、飴用の油10ml、水50ml、砂糖100gを入れて中火にかける。砂糖が溶けるまではへらで静かに混ぜ、溶けたらあとは混ぜない。

  5. 大きな泡が次第に細かく密な泡に変わってきたら酢5mlを加え、弱火にしてさらに煮詰める。全体が薄い琥珀色になり、泡がこまかく静かになったら飴の完成(目安は火にかけてから6〜8分)。

  6. 火を止めてすぐに2のさつまいもを加え、鍋をあおるか、へらで手早く返して全体に飴をからめる。

  7. 3の皿に盛り、熱いうちに食卓へ。箸で一切れずつ持ち上げて糸を引かせ、冷水にさっとくぐらせて飴を固めてから食べる。

本場と日本の違い

  • 飴の煮詰め方:大学芋の蜜は、砂糖に水やみりん・醤油などを合わせたとろりとしたたれで、冷めてもやわらかい。拔丝地瓜の飴は水分をほぼ飛ばすまで煮詰めるため、熱いうちは糸を引き、冷えるとパリッと固まる。
  • 食べ方:大学芋は冷めてもおいしく、お弁当や作り置きにも向く。拔丝地瓜は揚げたて・からめたてを冷水にくぐらせて食べる「出来たて専用」の料理で、テーブルに冷水の小鉢が出てくるのが本場のスタイル。
  • 味付け:大学芋に使われることの多い醤油は、今回参照した中国のレシピには登場しない(仕上げにごまをふるレシピはある)。砂糖と水(または油)だけで飴を作り、さつまいもの甘さと飴の香ばしさだけで勝負する。

参考ページ(写真)

美食天下の「拔丝地瓜」レシピページに、さつまいもを揚げる油温の見極めから飴をからめるまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-320435.html)

代用可能な食材

  • さつまいも:紅はるかのようなねっとり系より、鳴門金時・紅あずまなどホクホク系のほうが揚げたときに形が崩れにくい
  • 揚げ油:大さじ4(60ml)ほどの油で、フライパンで転がしながら10〜12分揚げ焼きにしてもよい
  • さつまいも以外に、りんご(拔丝苹果)や長いも(拔丝山药)も同じ手順で作れる。いずれも山東の拔丝料理の代表格とされる

保存・アレンジのコツ

  • 飴は冷えると固まるため、作り置きには向かない。さつまいもを揚げる工程までは前もって済ませておき、食べる直前に揚げ油で30秒ほど温め直してから飴をからめると失敗しにくい
  • 飴が茶色く焦げると苦みが出て、糸も引かなくなる。泡が細かくなって薄い琥珀色になった時点ですぐにさつまいもを入れる
  • 鍋にくっついた飴は、水を張って温めれば簡単に溶けて落ちる
  • 揚げる前に、水気をふいたさつまいも400gに片栗粉20gを薄くまぶしておくと、表面がカリッとして飴がからみやすくなる(中国のレシピサイトにも、でんぷんをまぶしてから揚げる作り方がある)

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。