四川料理・川菜豆瓣鱼

豆瓣魚レシピ本場四川の配合を徹底解説

楕円の皿の赤い豆瓣醤のたれにのった尾頭付きの魚と、散らした青ねぎのイラスト
地域
川菜(四川)
分量
2〜3人分
公開

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料理名の「豆瓣」は、そのまま調味料の名前です。尾頭付きの魚を揚げ焼きにし、郫県豆瓣醤で煮てとろみのあるたれをかける――豆瓣魚は、四川の家庭料理の中でも「豆瓣醤の香りを一番わかりやすく味わえる魚料理」といえます。

主役の郫県豆瓣醤は「川菜の魂」とも呼ばれる四川料理の基本調味料。人民日報海外版は、郫県の陳家が最初の一甕を仕込んでから三百年の歴史があると紹介しています。清の康熙年間に陳家が作り始めたとされますが、製法を確立した陳守信を康熙年間の人とする資料(中文版ウィキペディア)と、咸豊年間の人とする資料(四川文化旅游網)があり、細部は諸説あります。百度百科系の解説や成都の調理学校・成都新東方烹飪学校の解説では、フナを使った「豆瓣鯽魚」は四川を代表する伝統名菜で、ここ百年近く人気が衰えていないと紹介されています。一方で、発祥の年代や考案者についての確かな記録は見当たらず、特定の人物の逸話が伝わる料理ではありません。

魚はフナが定番ですが、スズキ、コイ、ティラピア、ソウギョなども使われ、地域や家庭によってさまざまです。仕上がりは「汁の色が赤くつややかで、身はやわらか。塩気とうま味が主体で、ほどよい辛さにかすかな甘酸っぱさ」が理想とされ、料理人の王剛氏も四川料理の味の型のひとつ「豆瓣味」の典型として同じ特徴を挙げています。辛さ一辺倒ではなく、砂糖と酢をほんの少し効かせるのが本場の配合のポイントです。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の分量と手順を公開します。

本場の配合

材料(2〜3人分)

  • 白身魚フナ2尾またはスズキ・コイなど1尾。下処理後の重さ600g
  • 塩(下味用)2g(小さじ1/3程度)
  • 料酒(下味用)10ml
  • 菜種油(揚げ焼き用)150ml
  • 郫県豆瓣醤35g
  • 生姜(みじん切り)10g
  • にんにく(みじん切り)30g
  • 青ねぎ小口切り。白い部分と青い部分に分ける40g
  • 料酒(煮込み用)15ml
  • 醤油10ml
  • 砂糖10g
  • 水300ml
  • 酢10ml
  • 片栗粉8g
  • 水(片栗粉を溶く用)15ml

作り方

  1. 魚はうろこ・えら・内臓を取り除いて洗い、水気をよくふく。両面に2cm間隔で斜めに3本ずつ、骨に届く深さの切り込みを入れ、塩2gと下味用の料酒10mlをすり込んで10分おく。

  2. 魚の表面の水分をもう一度しっかりふき取る(油はね防止)。中華鍋に菜種油150mlを入れて強めの中火で180℃に熱し、魚を入れて片面2〜3分ずつ、表面がきつね色に固まるまで揚げ焼きにして取り出す。

  3. 鍋の油を大さじ3(約45ml)残して取り除き、弱めの中火で郫県豆瓣醤35gを1〜2分炒めて赤い油を出す。生姜、にんにく20g、青ねぎの白い部分20gを加えて30秒炒め、香りを立たせる。

  4. 煮込み用の料酒15ml、水300ml、醤油10ml、砂糖10gを加えて強火で沸かし、2の魚を戻し入れる。沸いたら小さめの中火にしてふたをし、5〜6分煮る。途中で一度魚を裏返し、煮汁を上からかけて味を含ませる。

  5. 魚を崩さないようにフライ返し2本で器に移す。鍋に残った煮汁(150ml前後が目安)に酢10mlと残りのにんにく10gを加えてひと煮立ちさせ、片栗粉8gを水15mlで溶いて回し入れ、とろみをつける。

  6. 青ねぎの青い部分20gを混ぜてすぐに火を止め、たれを魚の上から全体にかける。

本場と日本の違い

  • 魚の種類:四川では淡水魚、とくにフナ(鯽魚)が定番で、骨は多いものの身が細かく甘みがある。日本では淡水魚が手に入りにくいため、スズキ・真鯛・カサゴなどの白身魚で作るのが現実的。身の厚い魚は煮込み時間を2分ほど長くする。
  • 豆瓣醤が主役:日本で「魚の辛味煮」というと、豆板醤にケチャップを合わせたエビチリ風の甘辛味を思い浮かべる人も多いはず。本場の豆瓣魚にケチャップは使わず、郫県豆瓣醤の発酵したうま味と香りが軸。砂糖と酢は「かすかに感じる」程度にとどめる。
  • 揚げてから煮る:魚をいったん揚げ焼きにしてから煮るのは、身崩れを防ぎ、皮に煮汁を吸わせるため。煮汁を最後に片栗粉でまとめて、たれとして魚にかけるのが豆瓣魚の形。

参考ページ(写真)

美食天下の「豆瓣鲫鱼」レシピページに、フナの下ごしらえから煮汁をかける仕上げまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-269666.html)

代用可能な食材

  • フナ:スズキ、真鯛、黒鯛、カサゴ、メバルなどの白身魚1尾で代用可。切り身(タラ・スズキなど400g)で作る場合は、揚げ焼きを片面1分半、煮込みを4分に短縮する
  • 郫県豆瓣醤:一般的な豆板醤で代用する場合は、辛さと塩気が強いものが多いため25gに減らし、甜麺醤5gを足してコクを補う
  • 料酒:日本酒で代用可
  • 菜種油:サラダ油で代用可

保存・アレンジのコツ

  • 魚料理のため作りたてが一番。残った場合は煮汁ごと冷蔵し、翌日までに食べ切る。温め直しは電子レンジより、煮汁ごと小鍋で弱火にかける方が身がパサつかない
  • 手順3で豚ひき肉50gを先に炒めてから郫県豆瓣醤を加えると、ひき肉入りのコクのある豆瓣魚になる(愛料理のレシピでも取り入れられているアレンジ)
  • 残ったたれはご飯にかけたり、豆腐を煮たりするのに使える

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。