河南料理・豫菜道口烧鸡
道口焼き鶏(道口烧鸡)レシピ本場河南の配合を徹底解説

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河南省安陽市滑県、運河沿いの町・道口鎮。清の順治18年(1661年)、この地で張氏一族が焼鶏づくりを始めてから、およそ360年の歴史を持つのが道口焼鶏である。中でも「義興張」という屋号は、ある恩返しの物語とともに語り継がれている。
創業者・張炳の父の代、貧しい少年だった劉義は、鶏スープを無償で分けてもらったことがあったという。その劉義はのちに宮廷料理人にまで出世し、乾隆52年(1787年)に故郷へ戻った際、かつての恩を忘れず、張炳に「要想焼鶏香、八料加老湯(焼鶏を香り高くしたければ、八種の香料と代々受け継ぐ老湯を使え)」という秘伝の配合を授けたと伝えられている。この恩義に報いるため、張炳は店の屋号を「義興張」と名付けた。「義友をもって興す」という意味が込められているという。1933年発行の河南政治週刊には「張家の焼鶏は塩味が染みてやわらかく、深い味わいがある」と紹介された記録が残り、1956年には6代目・張和礼が「一子相伝、外へは伝えず」という家訓を破り、秘伝の製法を公開したことで、道口焼鶏は広く一般にも知られる名物になった。
道口焼鶏最大の特徴は、蜂蜜水を塗って油で揚げてから、代々継ぎ足してきた「老湯(古いスープ)」で長時間煮込むという二段構えの製法にある。表皮は飴色に輝き、骨からほろりと身が外れるほど柔らかく煮上がる。清の嘉慶帝がその「色・香・味の三絶」を称賛したという逸話も伝わっている。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。
本場式の配合
材料(2〜3人分・丸鶏1羽分)
メイン
- 若鶏(丸鶏、内臓を除いたもの)750g前後
照りづけ・揚げ用
- はちみつ大さじ2
- 水大さじ3
- 揚げ油鍋底から深さ約5cm。鶏を転がしながら揚げる1L
八味の香辛料
煮込みスープ
作り方
鶏の成形。鶏は足先を切り落とし、内臓と余分な脂を取り除く。腹側の肋骨を軽く切って開き、両脚と両翼を交差させるように差し込み、丸みのある半円形に整える。表面を水で洗い、キッチンペーパーでしっかり水気を拭き取る。
蜂蜜水を塗る。はちみつと水を2:3の割合で混ぜ、鶏の表面全体に薄く均一に塗り、風通しのよい場所で30分〜1時間、表面が乾くまで置く。
揚げて色をつける。油を150〜160℃に熱し、鶏を丸ごと30秒〜1分ほど揚げて、表皮に飴色の焼き色をつける。油はねに注意し、菜箸で全体に均一に色がつくよう転がす。
香辛料を仕込む。丁香、白豆蔻、砂仁、陳皮、草果、桂皮、高良姜、白芷を茶こし用のパックか布袋に入れる。
煮込む。鍋に水(またはスープ)1000ml、生抽、老抽、塩、砂糖を入れて煮立て、香辛料の袋を加える。揚げた鶏を入れ、鶏が半分浸る程度の煮汁になるよう調整する。
弱火でじっくり煮る。沸騰したら弱火に落とし、蓋をして2.5〜3時間、骨から身がほろりと外れる柔らかさになるまで煮込む。途中で鶏を上下に返し、味を均一にしみ込ませる。
煮汁に漬けて休ませる。火を止めたあとも30分〜1時間、煮汁に漬けたまま冷ますと、味がさらに深く染み込む。
骨ごと手で割いて盛り付け、好みで煮汁を少量かけて供する。
本場と日本の違い
- 「揚げてから煮る」二段構え。 表皮に蜂蜜水を塗って油で揚げ、飴色の照りと香ばしさを先につけてから、長時間の煮込みで中まで柔らかくする。日本の煮込み料理のように最初から煮るだけでは、この照りと香ばしさは出ない。
- 八種の香辛料を組み合わせる。 丁香・白豆蔻・砂仁・陳皮・草果・桂皮・高良姜・白芷という8種の配合が「八料」と呼ばれ、この道口焼鶏の核心とされる。特定のスパイスだけを強調せず、複数を組み合わせた奥行きのある香りづくりが特徴。
- 代々継ぎ足す「老湯」の思想。 本場では一度使った煮汁を継ぎ足しながら何十年も使い続ける「老湯」の文化があり、使うたびに味が深まっていく。家庭では毎回同じ配合で作ることになるが、余った煮汁を漉して冷凍保存し、次回に少量加えると近い効果が得られる。
- 骨からほろりと外れるまで煮込む。 中国の鶏料理の中でも特に長時間・弱火でやわらかく仕上げるのが道口焼鶏の身上で、箸で簡単に身が骨から外れるくらいまで火を入れる。
- 伝統的には硝(硝石)で発色させていた。 昔ながらの製法では硝石を少量使って肉色を保っていたとされるが、家庭で安全に再現するなら生抽・老抽の色づけで十分近い仕上がりになる。
参考ページ(写真)
下厨房の「道口烧鸡」レシピページには、鶏を成形して蜂蜜水を塗る工程から油で揚げ、香辛料とともに煮込むまでの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/104781688/
代用可能な食材
- 高良姜→生姜10gで代用可(風味の鋭さはやや弱まる)
- 白芷→省略可、または五香粉小さじ1で香りの一部を補う
- 砂仁→カルダモン(緑豆蔻)2gで代用可
- 丸鶏→骨付き鶏もも肉750g(成形の工程は省略し、そのまま揚げて煮込む)
保存・アレンジのコツ
- 煮汁は漉して冷凍保存しておけば、次に作るときに少量加えることで本場の「老湯」に近い風味の積み重ねが楽しめる。
- 冷めてもおいしいため、切り分けて冷蔵し、翌日は冷製のまま酒のつまみとして食べるのも道口の定番の楽しみ方。
- 骨からはずした身は、細かく割いて炒飯やあえ麺の具にするアレンジもできる。
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。