河南料理・豫菜汴京烤鸭
汴京烤鴨(汴京烤鸭)レシピ本場河南の配合を徹底解説

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「北京ダック」と聞けば、誰もがあの飴色に光る皮とパリパリの食感を思い浮かべるはずだ。だが、鴨を丸ごと炙り焼く中国の烤鴨文化そのものの源流をたどると、実は北京よりも先に、北宋の都・汴京(べんけい、現在の河南省開封市)で花開いていたという説がある。
その根拠となるのが、北宋末期の風俗を記録した回想録『東京夢華録』だ。当時すでに汴京の酒楼では「爊鴨(あおや/じっくり火を通した烤鴨料理)」が名物として供されていたと記されている。さらに南宋の説話集『夷堅志』には、烤鴨作りの名人・王立という人物が登場する。中国の文献に名前が残る烤鴨職人としては、これが最古の記録のひとつとされている。
北宋末、金の侵攻によって汴京が陥落すると、都にいた料理人や商人の多くは南へと逃れ、烤鴨は南宋の宮廷でも珍味として重んじられるようになった。そしてさらに時代が下り、元代になって烤鴨の技術は北へ、当時の大都(現在の北京)へと伝わり、宮廷料理として磨き上げられていく――これが、今日「北京ダック」として世界に知られる料理のルーツのひとつだとする説の筋道である。北宋の宮廷料理の系譜を引く河南料理(豫菜)は、じつは中国料理史の中でもとりわけ古い「中原の味」を今に伝えている。
ここから先は、中国語の複数の記事を比較して整理した、汴京烤鴨の由来を踏まえた家庭での焼き鴨の作り方を公開する。
本場の配合
材料(鴨1羽分・3〜4人分)
作り方
鴨は羽根の残りやうぶ毛を丁寧に取り除き、内外をよく洗って水気をしっかり拭き取る。
塩を鴨の表皮と腹の内側全体にまんべんなく揉み込む。生抽・黄酒・生姜・八角・桂皮・花椒・氷砂糖・白こしょうを小鍋で軽く煮立たせて冷ました漬けだれを作り、鴨の内側に注ぎ入れる。表面にも刷毛で塗り、竹串などで皮全体に浅く穴をあけて余分な脂が抜けやすいようにする。
漬けだれごとラップをかけて冷蔵庫で一晩(8時間以上)漬け込む。
鴨を取り出し、熱湯を全体に回しかけて毛穴を引き締める。蜂蜜・米酢・水を混ぜた脆皮水を表皮全体に3〜4回塗り重ね、風通しの良い場所(または冷蔵庫の中)で5時間以上、表皮が乾くまで風乾させる。
オーブンを160℃に予熱する。天板に網をのせ、鴨の胸を上にして置き、160℃で40分焼く。
途中20分ごとに脆皮水を軽く塗り足しながら、最後の15分は200℃に上げて表皮をパリッと色よく焼き上げる。中心に竹串を刺して透明な肉汁が出れば焼き上がりの目安。
焼き上がった鴨は10分ほど休ませてから皮と身を薄くそぎ切りにする。甜面醤・砂糖・海鮮醤を小鍋で軽く炒め合わせてつけだれを作る。
薄餅または蒸した餃子の皮にたれを塗り、鴨肉・きゅうり・長ねぎを巻いて食べる。
本場と日本の違い
- 呼び方と存在感:日本で「烤鴨」といえばほぼ「北京ダック」一色だが、本場・河南ではこの料理を「汴京烤鴨」と呼び、北京よりも先に発展した中原の宮廷料理の系譜として誇りを持って語られる。日本ではこの由来自体がほとんど知られていない。
- 焼き方の系統:北宋時代の汴京から伝わったとされる焼き方は、炉の壁を熱して間接熱でじっくり火を通す「焖炉(もんろ)」に近い方式で、腹の中に水分を含ませることで外はパリッと中はしっとり仕上げるのが特徴とされる。現在日本でよく知られる北京ダック(全聚徳スタイル)は、果樹の薪を燃やして直火で炙る「挂炉(かろ)」方式が主流で、同じ「烤鴨」でも系統が異なる。
- 味付けの背景:本場では宮廷料理由来の香辛料(八角・桂皮・花椒など)を効かせた漬け込みが行われてきたとされ、単なる塩味だけでなく複合的な香りづけが特徴。日本の北京ダック専門店では、皮のパリパリ感を最優先し、味付けはシンプルな塩や糖水仕上げが中心になることが多い。
参考ページ(写真)
中国地情网「汴京烤鸭」のページに、汴京烤鴨の特徴・調理法(挂炉・焖炉)についての解説が掲載されています。
(https://zhongguodiqing.cn/msdg/201905/t20190507_4875320.shtml)
代用可能な食材
- 鴨:合鴨(あいがも)や国産鴨もも肉・むね肉でも代用可(丸ごと1羽が入手できない場合、骨付きもも肉で作ると家庭でも扱いやすい)
- 甜面醤:入手できない場合は味噌大さじ2+砂糖大さじ1で代用可
- 海鮮醤:なければ甜面醤のみでも代用可(甘みと塩気のバランスが少し変わる)
- 薄餅:餃子の皮を2枚重ねにして蒸したもの、または生春巻きの皮でも代用可
保存・アレンジのコツ
- 漬け込みまで済ませた状態で冷凍保存も可能。使う前日に冷蔵庫で解凍してから風乾工程に進む
- 余った肉は細かくほぐしてチャーハンや炒め物の具材にすると無駄なく使い切れる
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。