四川料理・川菜蛋烘糕

蛋烘糕(ダンホンガオ)レシピ本場四川・成都の配合を徹底解説

黒ごまのあんと肉のあんを挟んだ二つ折りの蛋烘糕と、焼き用の小鍋のイラスト
地域
川菜(四川・成都)
分量
8個分・2〜3人分
公開

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直径12cmほどの小さな銅鍋に生地を流し、焼けてきたら具をのせて、パタンと二つ折り。成都の「蛋烘糕」は、見た目こそ日本の今川焼きやどら焼きの親戚のようですが、中身はごま砂糖のような甘い具もあれば、豚肉とささげの漬物のようなしょっぱい具もある、ちょっと不思議なおやつです。

四川の文化旅行サイトや百度百科系の解説によると、始まりは清の道光年間。成都の文廟街、石室書院のそばに住んでいた「師」という姓の老人が、子どもたちのままごと遊び(姑姑筵)から思いつき、卵と発酵させた小麦粉に紅糖(黒糖)を混ぜ、平鍋で焼いたのが最初だと伝えられています。一方、澎湃新聞に載った随筆では、腰を痛めて働けなくなった師という船引き人夫が、子どもが混ぜた生地を銅鍋で焼いてやったのが始まりとされ、細部は諸説あります。のちに成都の名店・龍抄手の「双味蛋烘糕」や成都名小吃店の甘・塩2種の蛋烘糕が「成都市名小吃」の称号を受け、四川を代表する小吃(軽食)のひとつになりました。

中文版ウィキペディアも、蛋烘糕を成都の小吃として紹介し、特製の小鍋で丸く焼いて具を入れ、半円形に折るのが特徴だと説明しています。もともとの具は、野菜の細切りの和え物、豚肉とささげの炒め煮、ごまと白砂糖といった素朴なもの。いまではジャムや肉鬆(肉でんぶ)を挟む店も増えています。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の分量と手順を公開します。

本場の配合

材料(8個分・2〜3人分)

生地

  • 薄力粉150g
  • 卵2個(100g)
  • 黒砂糖(粉末)20g
  • 砂糖25g
  • 熱湯(黒砂糖を溶かす用)50ml
  • ドライイースト2g
  • ぬるま湯イーストを溶かす用・35℃前後70ml
  • 重曹1g(小さじ1/4弱)
  • 水(重曹を溶く用)5ml
  • 菜種油(鍋に塗る用)10ml

甘いあん(ごま砂糖・4個分)

  • 炒り白ごま20g
  • 砂糖20g

しょっぱいあん(豚肉と酸豆角・4個分)

作り方

  1. 黒砂糖20gと砂糖25gを熱湯50mlに溶かし、茶こしでこして冷ます。ドライイースト2gはぬるま湯70mlに溶かしておく。

  2. ボウルに薄力粉150gを入れ、1の黒糖液、溶き卵100g、イースト液を加えて、泡立て器でだまがなくなるまで混ぜる。持ち上げるとリボン状にとろりと落ちる濃さが目安。

  3. ラップをかけて30℃前後の暖かい場所に1時間おき、表面に細かい気泡が出て1.5倍ほどにふくらむまで発酵させる(冷蔵庫で一晩おいてもよい)。

  4. 発酵を待つ間にあんを作る。甘いあんは、炒り白ごま20gをすり鉢で半ずりにし、砂糖20gと混ぜる。しょっぱいあんは、酸豆角50gを5mm幅に刻み、菜種油5mlで豚ひき肉60gを中火で色が変わるまで炒め、酸豆角と醤油5mlを加えて汁気がなくなるまで1分炒める。

  5. 重曹1gを水5mlで溶き、発酵した生地に加えてさっと混ぜる。

  6. 直径14〜16cmの小さなフライパンを弱めの中火で温め、菜種油をキッチンペーパーで薄く塗る。生地50g(おたま軽く1杯)を流し入れ、鍋を回して直径12cmほどの円に広げる。

  7. ふたをして弱火で1分〜1分30秒焼き、縁が乾いて表面に小さな穴がぷつぷつと開いてきたら、片側半分にあん(甘いあんなら10g、しょっぱいあんなら大さじ1強)をのせる。

  8. へらで生地を二つ折りにして半月形にし、ふたをしてさらに30秒〜1分、底面がこんがりきつね色になるまで焼いて取り出す。残りの生地も同様に焼く(1枚ごとに油を薄く塗り直す)。

本場と日本の違い

  • 焼き道具:本場では直径約12cm・深さ約2cmの特製の小さな銅鍋を小型のこんろにのせ、1枚ずつふたをして焼く。1枚あたりの生地は約50gで、焼き時間は具をのせる前後で30秒ずつと短い。家庭では小さなフライパンとふたで同じ形に焼ける(火力が弱いぶん時間は長めになる)。
  • 生地:日本のホットケーキやどら焼きはベーキングパウダーでふくらませるのが主流だが、本場の蛋烘糕は発酵させた小麦粉に紅糖(黒糖)の液と卵を混ぜ、蘇打(重曹)を加えて生地にするのが伝統的な作り方。ほのかな発酵の香りと黒糖のコクがあり、中はしっとり、外側はカリッと焼き上がる。台湾のレシピには、イーストを使わず全卵を泡立ててふくらませる軽いタイプも見られる。
  • 甘い生地×しょっぱい具:日本の今川焼きは甘いあんが中心だが、蛋烘糕は同じ甘い生地に、ごま砂糖などの甘い具も、豚肉や漬物のしょっぱい具も合わせる。甘じょっぱい組み合わせこそが成都らしさ。

参考ページ(写真)

愛料理の「米漿肉鬆蛋烘糕」レシピページに、発酵生地を小さな円に焼いて具をのせ、二つ折りにするまでの手順写真が掲載されています。

(https://icook.tw/recipes/351162)

代用可能な食材

  • 黒砂糖:きび砂糖や三温糖で代用可。色と香りはやや軽くなる
  • ドライイースト+重曹:発酵させない場合は、ベーキングパウダー5gを薄力粉に混ぜ、生地を作ってすぐに焼く(ふんわり感は出るが、発酵の香りはなくなる)
  • 酸豆角:高菜漬けや野沢菜漬けを刻んで同量使う。塩気が強い漬物の場合は40gに減らす
  • 菜種油:サラダ油で代用可
  • 銅鍋:直径14〜16cmの小さなフライパンや、ふた付きのスキレットで同じように焼ける

保存・アレンジのコツ

  • 焼きたてが一番おいしい。冷めたものはトースターで1〜2分温め直すと外側のカリッと感が戻る。焼いたものは1個ずつラップで包めば冷凍で2週間ほど保存できる
  • 生地は冷蔵庫で一晩ゆっくり発酵させると、朝に焼くだけで済む
  • 具のアレンジとして、ジャムや肉鬆(肉でんぶ)もよく使われる。台湾のレシピには、マヨネーズと肉鬆を合わせて挟むものもある

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。