広東料理・粤菜啫啫鸡煲

啫啫鶏煲レシピ本場広東の配合を徹底解説

湯気の立つ黒い土鍋に入った鶏肉とにんにく、エシャロット、青ねぎの啫啫鶏煲のイラスト
地域
粤菜(広東)
分量
2人分
公開

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料理名の「啫啫(ジェージェー)」は、実は音の名前だ。真っ赤に焼いた土鍋に鶏肉やたれを放り込んだ瞬間、「ジュジュッ」と激しく立つ音。広東語でその音を表したのが「啫啫」で、そのまま料理名になった。

広州の地元メディアの記事によれば、啫啫煲の起源には、1980年代の広州の屋台(大排档)で生まれたとする説と、1990年代初めに広州の老舗「恵食佳」が始めたとする説がある。改革開放の最前線だった当時の広州は人口が一気に増え、早く出せて熱々で食べられる料理が求められていた。料理人たちは煲仔飯の土鍋と鉄板焼きの発想を組み合わせ、半ば火を通した食材を土鍋で仕上げる料理を出すようになったという。さらに1992年、恵食佳が生の鶏肉を高温の土鍋で一気に加熱する「生啫」の鶏煲を打ち出し、広州・西関で評判になった。

歴史は長くても40年ほどと若いが、いまや啫啫煲は広東の大衆料理の顔。鶏のほか、田うなぎ、えび、野菜まで「万物皆可啫(なんでも啫にできる)」と言われるほど種類が広がった。汁気はごく少なく、土鍋の蓄熱力で食材の表面を瞬時に焼き固め、うま味を閉じ込めるのが真骨頂だ。最後に鍋のふちへ酒を回しかけて香りを立たせ、ふたをしたまま卓へ運ぶ。ふたを開けた瞬間の音と湯気も、この料理の一部である。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭のコンロで再現できる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2人分)

  • 骨付き鶏もも肉(ぶつ切り)400g
  • 紅葱頭(エシャロット、皮をむく)8個(80g)
  • にんにく(皮をむき丸ごと)6片(18g)
  • 生姜(薄切り)10g
  • 小ねぎ(5cm長さに切る)3本(15g)
  • 香菜(5cm長さに切る)1株(10g)
  • サラダ油50ml

鶏肉の下味

  • 黄酒または日本酒小さじ2(10ml)
  • 塩1.5g(小さじ1/4)
  • 片栗粉小さじ2(5g)

合わせだれ

仕上げ

  • 黄酒または日本酒大さじ1(15ml)

作り方

  1. 鶏肉は水気をよく拭き、黄酒10ml・塩をもみ込んで15分おく。焼く直前に片栗粉をまぶす。

  2. 柱候醤・海鮮醤・オイスターソースを小皿で混ぜ合わせておく。

  3. 空焚きできる土鍋(直径20cm前後)をふたをせずに強火で5分、うっすら煙が出るまで熱する。

  4. サラダ油50mlを入れ、生姜・にんにくを加えて30秒、ジュッと音を立てて香りを出す。

  5. 鶏肉を皮を下にして重ならないように並べ入れ、強火のまま2分動かさずに焼き付ける。表面が白くなり、皮に焼き色がついたら返す。

  6. 合わせだれと紅葱頭を加えて手早く全体にからめ、ふたをして強火で3分加熱する。

  7. ふたを開けてひと混ぜし、再びふたをして中火で2分。鶏肉の一番厚い部分に竹串を刺し、澄んだ汁が出れば火が通っている。

  8. 小ねぎと香菜をのせ、ふたをする。ふたのふちから黄酒15mlを回しかけてジュッという音を立たせ、火を止めて30秒蒸らす。土鍋ごと食卓に運び、ふたを開けてよく混ぜながら食べる。

本場と日本の違い

  • 汁の少なさ:日本の土鍋料理といえば、だしをたっぷり張った鍋物が中心。啫啫煲は水もスープも加えず、たれと食材から出る水分だけで仕上げる「汁なし土鍋焼き」。広州の老舗店主も「汁が多いと啫にならない」と言うほど、汁の少なさが重要になる。
  • 油の量:本場では土鍋の底で食材を揚げ焼きにするイメージで、油を多めに使うのがコツとされる。日本の炒め物の感覚で油を減らすと、鶏肉が鍋底に張り付いて焦げやすくなる。
  • 醤の組み合わせ:柱候醤(大豆ベースの広東の醤)と海鮮醤を合わせ、オイスターソースでうま味を補うのが広東の定番の組み立て。日本の甘辛い鶏の煮込みとは違い、柱候醤の豆の香りと海鮮醤の甘みが重なる複雑な味わいになる。
  • 紅葱頭:丸ごとのエシャロットを加えて甘みと香りを出す。玉ねぎよりも香りが強く、土鍋の高温で焼けて甘みが凝縮する。

参考ページ(写真)

美食天下の「啫啫滑鸡煲」レシピページに、下ごしらえから土鍋での仕上げまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-28568.html)

代用可能な食材

  • 空焚きできる土鍋:一般的な土鍋は空焚きや急な温度変化で割れることがあるため、空焚き不可の土鍋は使わない。厚手の鋳物ホーロー鍋や鉄のフライパンで代用可(音と余熱は控えめになる)
  • 紅葱頭:小玉ねぎ、または玉ねぎ1/2個(100g)をくし形に切って代用可
  • 柱候醤:入手できない場合は、八丁味噌10g+甜面醤5gで代用可
  • 海鮮醤:甜面醤15gで代用可(甘みがやや強くなる)
  • 香菜:苦手な場合は省き、小ねぎを倍量にする

保存・アレンジのコツ

  • 土鍋の余熱で火が入り続けるため、作ったらすぐに食べ切るのがベスト。残った場合は冷蔵で翌日まで。フライパンで水大さじ1を加えて温め直す
  • 鶏肉の代わりに、殻付きえび(300g、手順5を各1分、手順6・7を合わせて2分に短縮)や、ぶつ切りのうなぎでも作れる
  • 手順6で、湯通ししたレタスやキャベツ(150g)を鍋底に敷いて同じように加熱すると「啫啫生菜煲」風の野菜料理になる
  • 食べ終わった土鍋に残ったたれに白ご飯を入れて混ぜると、鍋底のおこげごと楽しめる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。