広東料理・粤菜潮汕卤鹅

潮汕滷鵝レシピ本場広東・潮汕の配合を徹底解説

煮汁をかけた飴色の滷鵝の薄切りと香菜、にんにく入りのたれの小皿を添えた皿のイラスト
地域
粤菜(広東・潮汕)
分量
2〜3人分
公開

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体重10kgを超えることもある巨大な鵞鳥を、一羽まるごと香辛料と醤油の煮汁に沈める。広東省東部・潮汕地方の名物、潮汕滷鵝だ。

使われるのは、潮汕特産の「獅頭鵝(シートウオー)」。頭の大きなこぶが獅子を思わせる、堂々とした風貌の鵞鳥だ。中国の央広網や百科事典系サイトによれば、原産は潮州・饒平県で200年ほどの飼育の歴史があり、汕頭・澄海一帯も一大産地。成長した雄は10〜12kgが一般的で、大きなものは15kgを超える。南方網は「世界で最も体の大きな鵞鳥の品種」と紹介している。

潮汕には「鵞鳥がなければ宴にならない(無鵝不成宴)」ということわざがあり、滷鵝は日常のおかずであると同時に、春節の食卓や祖先の祭祀に欠かせないごちそうでもある。中国新聞網などによれば、滷鵝はもともと祭祀の供え物で、旧暦三月二十三日の媽祖の誕生日には、育てた鵞鳥の大きさを競う「賽大鵝」の風習が残るという。製法は広東省の無形文化遺産に指定され、2018年9月には中国烹飪協会の「中国菜」で広東十大経典名菜の一つにも選ばれた。製法の歴史は約300年とも、清の光緒年間からの100年余りともいわれ、諸説ある。

煮汁の香りの決め手は、潮汕料理に欠かせない南姜(良姜)。八角や桂皮に加えて南姜が効いた煮汁は、台湾の夜市の滷味(TW16)のような醤油と五香の香りとはひと味違う、すっきりとした清涼感がある。

とはいえ、日本で鵞鳥を丸ごと手に入れるのは至難の業。そこで今回は、入手しやすい合鴨の骨付きもも肉で作れるよう、本場の煮汁の配合を家庭サイズに組み替えた。ここから先は、中国語の複数の資料とレシピを比較して割り出した配合と手順を公開する。

家庭サイズの本場の配合

材料(2〜3人分)

  • 合鴨骨付きもも肉2本(600g)
  • 塩(下味用)3g(小さじ1/2)
  • 香菜(仕上げ用)1株(10g)

滷水(煮汁)

香辛料袋(お茶パックなどに入れる)

蒜泥醋(にんにく酢だれ)

  • にんにく(みじん切り)10g
  • 米酢大さじ2(30ml)
  • 砂糖2g

作り方

  1. 合鴨もも肉は余分な脂と残った羽を取り除き、水気をよく拭く。塩3gを全体にすり込み、20分おく。

  2. 厚手の鍋(直径20cm前後)にサラダ油を熱し、弱火で南姜・にんにくを1分炒めて香りを出す。

  3. 水1000ml・生抽120ml・老抽30ml・氷砂糖・加飯酒30ml・香菜の根・レモングラス・香辛料袋を加えて強火で煮立て、弱火で10分煮出して滷水を作る。

  4. 合鴨の表面の水分を拭き、皮を上にして滷水に沈める。再び沸いたらごく弱火(表面がわずかに揺れる程度)にし、40分煮る。10分ごとに、お玉で皮に滷水を回しかけ、もも肉をトングで持ち上げて煮汁を切り、再び沈める動作を3〜4回繰り返す(皮が締まり、色と味が均一に入る)。

  5. 竹串を一番厚い部分に刺し、澄んだ汁が出れば火を止める。そのまま20分浸して味を含ませる。

  6. 合鴨を取り出し、網の上で15分おいて表面を乾かす。その間に蒜泥醋の材料を混ぜ合わせる。

  7. 骨に沿って肉を外し、5mm厚にそぎ切りにして器に並べる。滷水を大さじ2(30ml)回しかけ、香菜を添えて蒜泥醋をつけながら食べる。

本場と日本の違い

  • 鵞鳥と合鴨:本場の潮汕滷鵝は、脂がのった大型の獅頭鵝を一羽まるごと使い、鉤に掛けた鵞鳥を煮汁から引き上げては沈める「三吊三浸」を繰り返しながら、1時間半ほど、店によっては3〜4時間かけて煮る。日本では鵞鳥の流通がほとんどないため、脂の甘みが近い合鴨で代用した。肉質はより柔らかく、火の通りも早い。
  • 南姜の香り:潮汕の滷水は南姜を多めに使うのが特徴で、生姜よりも鋭く清涼感のある香りが立つ。日本の中華料理店の煮込み(醤油煮・五香煮)は八角や桂皮が主体で、この香りはあまりない。
  • 台湾の滷味(TW16)との違い:台湾の滷味は、卵・豆干・練り物など多くの具を選んで滷汁で煮たり温めたりする夜市の小吃。潮汕滷鵝は、鵞鳥一羽を主役に滷水で煮上げ、薄切りにして煮汁をかける「一品料理」で、南姜の香りとにんにく酢だれで食べる点が異なる。
  • 広式焼きガチョウ(焼鵝)との違い:同じ広東の鵞鳥料理でも、広州・香港の焼鵝は皮をパリッと焼き上げるロースト。潮汕滷鵝は皮をしっとり煮上げ、煮汁の香りを含ませる。
  • にんにく酢だれ:潮汕では滷鵝ににんにく酢をつけて食べるのが定番。脂の多い肉をさっぱりと食べさせる役割で、日本の煮物にはない組み合わせ。

参考ページ(写真)

美食天下の「潮式卤鸭」レシピページに、同じ潮汕式の滷水で鴨を煮上げる工程と、切り分けた仕上がりの写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-500183.html)

代用可能な食材

  • 合鴨骨付きもも肉:合鴨ロース(2枚・600g)で作る場合は、手順4の煮る時間を15分、手順5の浸す時間を20分にする。鶏骨付きもも肉でも作れる(煮る時間は30分)
  • 南姜(良姜):中華食材店やタイ食材店で「ガランガル」として売られている。手に入らない場合は生姜20gで代用可(香りは穏やかになる)
  • 加飯酒:他の紹興酒、または日本酒で代用可
  • レモングラス:なければ省いてもよい
  • 甘草・陳皮:なければ省き、氷砂糖を5g増やす

保存・アレンジのコツ

  • 滷水は漉して冷蔵で1週間、冷凍で1ヶ月保存でき、次回は水・生抽・氷砂糖を少し足して繰り返し使える。使うほどに鴨の脂とうま味が溶け込む
  • 切り分けた合鴨は滷水少量と一緒に保存すれば冷蔵で3日。冷たいまま食べてもおいしい
  • 残った滷水で、ゆで卵や厚揚げを弱火で15分煮てそのまま一晩おくと、潮汕の滷味の盛り合わせ(滷蛋・滷豆腐)風になる
  • 薄切りの滷鴨と滷水をご飯にのせれば、滷鵝飯風の鴨ご飯になる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。