広東料理・粤菜肠粉

腸粉(チョウフェン)レシピ本場広東の配合を徹底解説

白い皿に並べ、褐色の醤油だれをかけた、具を巻いた白くなめらかな腸粉のイラスト
地域
粤菜(広東)
分量
2人分・2〜3枚分
公開

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つるんとした喉ごしと、もちもちの米生地。広東の朝食文化を象徴する腸粉は、日本でも専門店が増えつつある人気メニューだ。実はこの料理の名前、皇帝がつけたという有名な逸話があるのだが、その真偽をめぐって意外な展開がある。

最も広く語られている伝説はこうだ。清の乾隆帝が南方を視察した際、大臣・紀暁嵐に勧められて「龍龕道場」を訪れ、油と塩で味付けした薄い米菓を食べた。その食感を大いに気に入った皇帝が「まるで豚の腸のようだ」と評し、「肠粉」と名付けたという。

ところが、この話には大きな穴がある。中国メディアの取材記事によれば、歴史記録上、乾隆帝の南巡はどんなに遠くても江浙地域までで、広東の地には一度も足を踏み入れていないという。つまりこの逸話は「民間の人々が皇帝の権威にあやかろうと、後世に作り出した創作」である可能性が高いというのだ。

では実際の起源はというと、意外にも新しい。史実として確認できる最古の記録は民国時期で、1911年の新聞『抵抗画報』にはすでに腸粉売りの記事が掲載されている。そして1930年代、広州西関(現在の荔湾区)にあった「泮塘荷仙館」という店が、現在の形の腸粉を確立し大成功を収めたとされる。その後、鶏卵・魚・叉焼などさまざまな具材を加えたバリエーションが広まり、今の腸粉文化が形作られていった。ちなみに、さらに古い唐代には、禅宗の六祖として知られる高僧・恵能が、無意識のうちに薄い米菓「油味糍」を作り出したという伝説も残っており、広東における米菓文化そのものの歴史の古さがうかがえる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・2〜3枚分)

生地

  • 上新粉100g
  • コーンスターチ30g
  • 水300ml
  • ごま油または食用油5g(小さじ1)

具材

  • 豚バラ肉薄切り、またはむきえび100g
  • 卵1個
  • 小ねぎ(小口切り)10g

たれ

  • 醤油15ml(大さじ1)
  • オイスターソース8g(小さじ1と1/3)
  • 砂糖3g(小さじ1弱)
  • 塩3g(小さじ1/2)
  • 水100ml
  • 片栗粉小さじ1/2、同量の水で溶く3g
  • にんにく(みじん切り)6g
  • 食用油15ml(大さじ1)

作り方

  1. 上新粉とコーンスターチをボウルに入れ、水を少しずつ加えながらダマがなくなるまでよく混ぜる。ごま油を加えてさらに混ぜ、生地を作る。

  2. たれを作る:フライパンに油を熱し、にんにくを香りが立つまで炒める。醤油・オイスターソース・砂糖・塩・水を加えて煮立たせ、水溶き片栗粉でとろみをつけて火を止める。

  3. 豚バラ肉は食べやすい大きさに切っておく。

  4. 蒸し器を強火で沸かし、平らな耐熱皿(またはバット)に薄く油(分量外)を塗り、生地をお玉1杯分ほど流し入れて薄く広げる。

  5. 豚肉(またはえび)を散らし、皿を蒸し器に入れてふたをし、2分ほど蒸す。

  6. 生地の表面が透き通ってぷっくり膨らんだら、溶いた卵を薄く流しかけ、さらに30秒ほど蒸す。

  7. 蒸し上がったら皿を取り出し、へらで生地を端からくるくると巻き取る。

  8. 食べやすい長さに切って器に盛り、2のたれをかけ、小ねぎを散らして完成。

本場と日本の違い

  • 本場の伝統的な作り方は、生米を3時間ほど水に浸けてからミキサーで挽いて「純米漿(生米から作る米液)」を作るのが基本。家庭ではこの工程が手間になるため、今回は日本でも入手しやすい上新粉とコーンスターチを組み合わせた簡易配合を採用した。純米漿版のほうがより「つるん」とした喉ごしと透明感が出る。
  • 広東の朝食店では、卵・叉焼・えび・魚など具材のバリエーションが非常に豊富で、注文してから1〜2分で目の前で仕上げてくれるスピード感も魅力。家庭で作る場合は、具材を1〜2種類に絞るとテンポよく作業できる。
  • 皇帝が名付けたという逸話は広く知られているが、史実としての裏付けは薄い。むしろ1930年代の一軒の店の成功から全国区の人気メニューへと育っていった、比較的新しい「都市の食文化」としての側面が強い。

参考ページ(写真)

下厨房の「肠粉~~保证一次成功,超级简单的自制肠粉配方」レシピページに、生地の配合から蒸し上げ・巻き取りまでの手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/104720162/

代用可能な食材

  • 上新粉+コーンスターチ→本場に近づけたい場合は、うるち米を3時間浸水してミキサーで挽いた「純米漿」を使うとより本格的な食感になる
  • 豚バラ肉→むきえび、蒸し魚のほぐし身、叉焼の細切りなど
  • オイスターソース→なければ醤油とみりんを少し増やして代用可

保存・アレンジのコツ

  • 生地とたれは別々に冷蔵で1〜2日保存可能。生地は食べる直前に蒸すのがベスト。
  • 具材を入れずに生地だけを蒸し、たれをかけるだけの「斎腸粉(ベジタリアン版)」もシンプルで美味しい。
  • 平らな耐熱皿がない場合は、クッキングシートを敷いた蒸し網でも代用できる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。