貴州料理・黔菜折耳根拌豆腐
折耳根と豆腐の和え物(折耳根拌豆腐)レシピ本場貴州の配合を徹底解説

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貴州の食卓に欠かせない野草、それが折耳根(鱼腥草=ドクダミの根)である。地元の人は「折耳根の入っていない蘸水(つけダレ)は、魂が抜けている」とまで言い切る。だが初めて口にした人の多くは、その独特の生臭さに面食らう。かつて澎湃新聞の取材記事のタイトルが「貴州グルメを味わう、第一歩でつまずいたのは折耳根だった」だったほど、賛否がはっきり分かれる食材なのだ。
面白いのは、この野草がもともと貴州特有のものではなかったという点だ。後漢の張衡が著した『南都賦』にはすでにこの植物への言及があり、当時は中原から東部にかけて広く栽培される野菜だったとされる。西南地域で使われる「折耳根」という呼び名は、民間語の「蕺児根(じいこん)」が方言でなまったものだという説が伝わる。時代とともに華北ではほとんど食べられなくなった一方、貴州をはじめとする西南地域では独自の食文化として深く根づいていった。
貴州での使われ方は幅広い。生のまま刻んで蘸水に混ぜ込むのはもちろん、焼き豆腐に詰めたり、焼き肉にかけるタレに加えたり、酸湯魚(酸味のある魚鍋)の薬味にしたり、榕江巻き粉(米粉のクレープ)の具にしたりと、貴州料理のあらゆる場面に顔を出す。生では独特の腥臭が強いが、加熱すると香りがぐっと穏やかになるという性質も知られている。今回はその折耳根を、豆腐と合わせたもっともシンプルな家庭料理として紹介する。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。
本場式の配合
材料(2人分)
主材料
薬味
- パクチーざく切り2〜3本
- 生姜みじん切り小さじ1
- にんにくみじん切り2〜3片
- 小米辣またはししとうサイズの青唐辛子。小口切り1〜2本
調味だれ
作り方
豆腐の下ごしらえ。厚揚げタイプの豆腐干は温水で数回すすいでから薄切りにする。木綿豆腐を使う場合は、水気を軽く切ってから食べやすい大きさに手で崩すか薄切りにする。
折耳根の下ごしらえ。折耳根をよく洗い、白い根の部分を3〜4cm長さに切りそろえる。塩小さじ1/4をふって10分ほど置き、出てきた水気を軽く絞ると、生臭さがやわらぎシャキッとした食感になる。
香味油を作る。小鍋に菜種油大さじ1と1/3を熱し、煙が立つ直前まで温める。生姜とにんにくのみじん切りの上から熱した油を3回に分けてかけ、じゅわっと香りを立たせる。
たれを合わせる。3の香味油に辣椒油大さじ2、生抽大さじ1弱、香醋小さじ1と1/2、花椒粉小さじ1/3、砂糖小さじ1/3、塩ひとつまみ、鶏がらスープの素小さじ1/3を加えてよく混ぜる。
和える。器に豆腐と折耳根を盛り、パクチーと小米辣を散らし、4のたれを回しかけて全体を軽く和える。
食べる直前に混ぜることで、豆腐がたれを吸いすぎず、折耳根のシャキシャキ感も保たれる。
本場と日本の違い
- 折耳根はドクダミの根であり、葉ではない。 日本でドクダミというと薬草茶や葉のイメージが強いが、貴州で食べるのは地下茎に近い白い根の部分。味と食感がまったく異なる。
- 生の独特な香りこそが本場の味。 苦手な人向けに香りを消してしまうと、貴州の人からすれば「折耳根じゃない」料理になってしまう。塩もみで多少やわらげる程度にとどめるのが本場流。
- 「拌(和える)」であって「煮る」料理ではない。 加熱すると香りが穏やかになる性質があるが、この料理はあくまで生のシャキシャキ感を活かす冷菜。加熱調理する酸湯魚などとは別物として扱われる。
- 豆腐は木綿豆腐でも豆腐干でもよい。 家庭のレシピを比較すると、厚揚げタイプの豆腐干を使う版と、柔らかい豆腐を使う版の両方が存在し、どちらも「折耳根拌豆腐」と呼ばれている。
- 辣椒油の香味油作りに一手間かける。 熱した油を薬味に数回に分けてかける工程は、四川・貴州系の冷菜に共通する技法で、油の温度を段階的に落としながら香りを引き出す狙いがある。
参考ページ(写真)
下厨房の「凉拌折耳根豆腐干」レシピページでは、折耳根と豆腐干の下ごしらえからたれを合わせるまでの手順が写真つきで紹介されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/104339120/
代用可能な食材
- 折耳根が手に入らない場合→三つ葉や香菜を増量して代用する日本向けアレンジもあるが、風味はまったくの別物になる点は理解しておきたい(本場の味を求めるなら中華食材店や通販で冷凍・瓶詰めの折耳根を探すのが近道)
- 小米辣→青唐辛子や小米辣で代用可
- 香醋→米酢で代用可(酸味はやや軽くなる)
- 花椒粉→花椒油小さじ1で代用可
保存・アレンジのコツ
- 折耳根は塩もみした状態で密閉容器に入れれば冷蔵で2日ほど保存できる。和える直前にたれと合わせるのが香りを保つコツ。
- 木姜子油(山胡椒の香味油)が手に入る場合は、辣椒油の一部を置き換えると、より貴州らしい独特の柑橘系の香りが加わる。
- 蘸水(つけダレ)として使う場合は、たれを別皿に作り、焼き豆腐や焼き肉と一緒に添えても本場らしい食べ方になる。
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。