貴州料理・黔菜丝娃娃

絲娃娃(丝娃娃)レシピ本場貴州・貴陽の配合を徹底解説

白い皿に並べ、たれの小皿を添えた、薄い皮でにんじんやきゅうりの細切りを巻いた絲娃娃のイラスト
地域
黔菜(貴州・貴陽)
分量
2人分
公開

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「娃娃(赤ちゃん)」という名前の小吃なのに、中身は肉ではなく十数種類の細切り野菜——それが貴州省貴陽市を代表する屋台料理・絲娃娃だ。手のひらほどの薄い小麦粉の皮で細切り野菜を巻いた姿が、産着(襁褓)にくるまれた生まれたての赤ん坊にそっくりで、上が大きく下がすぼまったその形からこの名がついた。別名を「素春卷(野菜だけの春巻き)」という。

貴州の言い伝えでは、貧しい農婦が捨て子を拾い、さまざまな野菜を細く刻んで薄い皮に包んで食べさせて育てたのが始まりとされる。その娘が絶世の美女に育ったため「絲娃娃を食べたおかげだ」と評判になり、貴陽じゅうに広まった——という物語が語り継がれている。

より現実的な歴史としては、絲娃娃が広まったのは1970年代のこと。春巻きから変化したこの小吃は、貴陽の黔霊公園の入口に生まれた店が最初とされ、当時は1個1分(0.01元)。小ぶりで安く、しかも自分で好きな具を選んで巻くセルフ方式が観光客に受けて一気に定着した。同じころ、竹かごを背負った女性たちが学校の前で売り歩く姿も貴陽の日常風景だった。当時は具材ももやしと大根の細切り程度と質素で、今のように色とりどりの十数種類が並ぶようになったのは後の話だ。

そして絲娃娃の真の主役は、巻いた後に匙で注ぎ入れる酸辣の蘸水(つけ汁)。生抽・香醋・焼き唐辛子・花椒油・薬味を合わせたこの汁が、野菜だけの淡白な巻き物を一気に貴州の味に変える。店ごとに配合が違い、「蘸水こそ絲娃娃の精髄」と言われるほどだ。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

皮(約18枚分)

  • 中力粉薄力粉と強力粉を半量ずつでも可200g
  • 水300ml
  • 塩2g(小さじ1/3強)
  • 生地を休ませる際に張る水50ml

具材

  • 緑豆もやし100g
  • 大根細切り100g
  • にんじん細切り60g
  • きゅうり細切り80g
  • じゃがいも細切り100g
  • 乾燥刻み昆布(海帯絲)水で戻す8g
  • セロリ細切り50g
  • 春雨粉絲。乾燥重量30g
  • ぜんまい水煮(蕨菜)細切り50g
  • 泡菜(酸っぱい漬け大根。細切り)50g
  • パクチー(香菜)3cm長さに切る15g
  • 揚げ大豆炸黄豆。市販の煎り大豆でも可20g

蘸水(つけ汁)

  • 生抽30ml(大さじ2)
  • 香醋30ml(大さじ2)
  • 湯冷まし(涼白開)90ml
  • 糊辣椒焼き唐辛子の粗挽き粉。粗挽き一味唐辛子をフライパンで乾煎りしたもので可5g
  • 辣椒油10ml(小さじ2)
  • 花椒油5ml(小さじ1)
  • ごま油5ml(小さじ1)
  • 生姜みじん切り8g
  • にんにくみじん切り8g
  • 万能ねぎ小口切り15g
  • 揚げ落花生(粗く砕く)15g
  • 白胡椒0.5g(小さじ1/5)
  • 塩3g(小さじ1/2)

作り方

  1. 皮を作る。ボウルに中力粉200gと塩2gを入れ、水300mlを3〜4回に分けて加えながら混ぜる。手で握ると弾力を感じる、やわらかい生地になるまで5分ほどこねる。

  2. 生地の表面が乾かないよう、生地の表面に水50mlを張って室温で2時間以上休ませる。時間が来たら上澄みの水を捨て、もう一度手で揉んで弾力を戻す。

  3. 蘸水を作る。小さめの器に生抽30ml・香醋30ml・湯冷まし90ml・塩3g・生姜8g・にんにく8g・万能ねぎ15g・白胡椒0.5gを入れて混ぜ、次に辣椒油10ml・花椒油5ml・ごま油5mlを加えて混ぜる。最後に糊辣椒5gと揚げ落花生15gを浮かべる(糊辣椒は最後に入れて表面に浮かせるのが本場のやり方)。作ったら30分以上置いて味をなじませる。

  4. 具材を下ごしらえする。じゃがいもは細切りにして水に5分さらし、沸騰した湯で40秒ゆでてザルにあげ、うちわなどで手早く冷ます。緑豆もやしは沸騰湯で30秒、セロリは20秒ゆでて冷ます。乾燥刻み昆布は水で15分戻して2分ゆで、春雨は袋の表示どおりに戻して5cm長さに切る。ぜんまい水煮はさっと洗って細切りにする。

  5. 大根・にんじん・きゅうりは長さ5cm・太さ2mm程度の細切りにする。泡菜も同じ太さの細切りにする。すべての具材の水気をしっかり切り、大皿に種類ごとに小分けにして並べる。揚げ大豆とパクチーも添える。

  6. 皮を焼く。フッ素樹脂加工ではない平底の鉄鍋・フライパンを弱火で温める(油は引かない)。生地の塊を手に持ち、鍋底に直径9cmほどの円を描くように一度押し当てて素早く引き上げる。薄い膜が鍋に残る。

  7. 薄い部分があれば、生地の塊でトンボが水面を叩くように数回軽く点を打って補う。20〜30秒後、皮のふちが自然に鍋から浮き上がってきたら、はがして皿に重ねる。乾燥を防ぐため、焼けたそばから濡れ布巾かラップをかぶせておく。約18枚焼く。

  8. 食べ方。皮を1枚手に取り、好みの具材を少しずつ数種類のせて、赤ちゃんをおくるみで包むように下から折り上げ、両側をたたんで筒状に巻く。上を開けたまま持ち、匙で蘸水を1杯(15ml程度)注ぎ入れ、こぼれないうちに一口で食べる。

本場と日本の違い

  • 貴陽の店では十数種類の細切り野菜が大皿にずらりと並び、客が自分で好きな組み合わせを選んで巻く「セルフ方式」が基本。日本の中華料理店で出る春巻きのように、あらかじめ巻いて揚げたものが出てくることはない。絲娃娃は最初から最後まで「巻きたて・注ぎたて」で食べる料理だ。
  • 具材の中でも貴州らしさが際立つのが折耳根(ドクダミの根)。独特の青くさい香りを持つ貴州の定番野菜で、現地の絲娃娃には高い確率で入っている。日本ではまず手に入らないため、上の配合ではパクチーとセロリで香りの層を作っている。
  • 蘸水の唐辛子は、日本のラー油のような「油に香りを移したもの」ではなく、乾燥唐辛子を焦げる直前まで乾煎りして砕いた糊辣椒が主役。香ばしさと軽い苦味があり、これが貴州の酸辣味の骨格になる。
  • 皮は米粉の薄餅と紹介されることもあるが、貴陽の店・家庭レシピともに実際は小麦粉のごく薄い皮を焼くのが主流。揚げないため春巻きとは食感がまったく異なり、しっとりもちっとしている。

参考ページ(写真)

下厨房の「丝娃娃(内附面皮的做法)」レシピページに、皮の焼き方と具材の並べ方の手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/102989884/

代用可能な食材

  • 折耳根(ドクダミの根)→日本ではほぼ流通しないため、パクチー15gとセロリ50gで香りを補う(風味は別物になる)
  • 糊辣椒→粗挽き一味唐辛子5gを油を引かないフライパンで弱火2分乾煎りしたもので代用可
  • 泡菜→ゆでた大根50gに米酢10mlと塩1gをまぶして15分置いたもので代用可
  • 香醋→米酢30mlで代用可(コクは軽くなる)
  • 花椒油→辣椒油10mlに花椒粉1gを混ぜたもので代用可
  • ぜんまい水煮→細切りにしたエリンギ50gをさっとゆでたもので代用可
  • 皮→市販の生春巻きの皮(22cm)を6枚、水にくぐらせて4等分に切ったもので代用可(食感はよりつるりとする)

保存・アレンジのコツ

  • 焼いた皮は重ねてラップで包み、冷蔵で2日保存できる。固くなったら蒸し器で1分蒸すとしっとり戻る(貴陽の店でも焼き置きの皮を蒸して戻している)。
  • 蘸水は糊辣椒と揚げ落花生を入れる前の状態なら、冷蔵で4日保存可能。食べる直前に糊辣椒5gと落花生15gを加えると香ばしさが立つ。
  • 具材の下ごしらえだけ前日に済ませて冷蔵しておけば、当日は皮を焼くだけで完成する。ホームパーティー向きのメニュー。
  • 肉を加えたい場合は、豚ひき肉80gを油5mlで炒めて生抽5mlで味をつけた脆哨(そぼろ)を1品足す。貴陽の店でも有料トッピングとして置いていることが多い。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。