貴州料理・黔菜豆米火锅

豆米火鍋レシピ本場貴州・貴陽の配合を徹底解説

黒い鍋の赤い豆のスープに豚肉の薄切り、豆腐、青菜が入った豆米火鍋と、つけだれの小皿のイラスト
地域
黔菜(貴州・貴陽)
分量
3〜4人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

スープの主役が「煮崩した豆」という火鍋がある。貴州省の省都・貴陽の「豆米火鍋(ドウミーフオグオ)」だ。赤いんげん豆をとろとろになるまで煮込み、唐辛子や酸菜と合わせた、ポタージュのように濃いスープで肉や野菜を煮ながら食べる。

「豆米」とは、貴州でいう芸豆(いんげん豆)のこと。澎湃新聞の記事によれば、貴州産、とくに畢節のものは「粒が大きく、ほっくりとして香りがよい」とされ、豆を何時間も煮てへらで押しつぶし、粘りを出してから豚骨スープでのばすのがスープの基本だという。

誕生の経緯ははっきりしない。貴州広播電視台のサイトは「豆米火鍋の始まりは明代にさかのぼるとも、火鍋店の若主人の思いつきともいわれる」と紹介しており、諸説あるというのが実情だ。ただ、欠かせない具材ははっきりしている。貴陽名物の「軟哨(ルアンシャオ)」——豚バラ肉を甘酒や香辛料とともにじっくり煮詰めた、角煮風の半製品——と、醤油・唐辛子・ドクダミの根(折耳根)を合わせたつけだれ(蘸水)だ。

具を食べ終えたら、鍋底に残った濃い豆のスープをご飯にかけて締めるのが貴陽流。唐辛子を発酵させて使う貴州料理(黔菜)らしい、酸味と辛みとほっくりした豆の甘みが一体になった鍋である。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(3〜4人分)

豆米スープ

  • 乾燥赤いんげん豆(芸豆)250g
  • 水(豆を煮る用)1500ml
  • 豚骨スープ(無塩)1000ml
  • 腊肉(薄切り)60g
  • 酸菜(刻む)150g
  • トマト(ざく切り)1個(150g)
  • 糍粑辣椒40g
  • 郫県豆瓣醤15g
  • 糟辣椒30g
  • 花椒1g
  • 生姜(薄切り)15g
  • にんにく(みじん切り)15g
  • 長ねぎの青い部分(5cm長さ)40g
  • 菜種油45ml
  • 醤油15ml
  • 塩8g(小さじ1と1/2程度)

軟哨風の豚バラ

  • 豚バラ肉(ブロック、2cm角)200g
  • 醪糟(甘酒)30g
  • 醤油10ml

鍋の具

  • じゃがいも(5mm厚さの輪切り)300g
  • 木綿豆腐(2cm厚さ)200g
  • 白菜・豆苗などの青菜200g

蘸水(つけだれ・4人分)

  • 糊辣椒面焦がし唐辛子粉。市販の「木姜子糊辣椒」でも可8g
  • 花椒粉1g
  • 醤油40ml
  • 鍋の豆米スープ40ml
  • 万能ねぎ(小口切り)10g
  • パクチー(刻む)10g

作り方

  1. 赤いんげん豆250gは前日の夜から水に浸け、途中で2回水を替えて一晩戻す。

  2. 鍋に水けをきった豆と水1500mlを入れて強火にかけ、沸騰したらアクを取って弱火で90分、指でつぶせるほど柔らかくなるまで煮る(圧力鍋なら加圧25分)。へらで半量ほどを押しつぶし、とろみを出す。

  3. 軟哨風の豚バラを作る。フライパンに豚バラ肉200gを入れて弱火にかけ、10分ほど炒めて脂を出し、表面をこんがりさせる。醪糟30g・醤油10mlを加え、汁気がなくなるまで5分ほど煮からめる。

  4. 大きめの鍋に菜種油45mlを入れ、冷たいうちに生姜15gを入れて中火にかけ、生姜の縁がきつね色になるまで炒める。腊肉60gを加えて1分炒め、弱火にして糍粑辣椒40g・郫県豆瓣醤15g・糟辣椒30g・花椒1gを加え、油が赤く色づき香りが立つまで3〜4分炒める。

  5. にんにく15gとトマトを加えて1分炒め、2の豆を煮汁ごと加えて2分炒め合わせる。

  6. 豚骨スープ1000ml・酸菜150g・長ねぎの青い部分40g・3の豚バラ・醤油15ml・塩8gを加え、弱火で20分煮込む。

  7. 蘸水の材料を人数分の小皿に分けて混ぜる(スープは6から取る)。

  8. 6を卓上コンロの鍋に移し、じゃがいも・豆腐・青菜を入れて煮ながら、蘸水につけて食べる。じゃがいもは10分ほどで火が通る。

  9. 具を食べ終えたら、鍋に残ったとろとろの豆米スープをご飯にかけて締める。

本場と日本の違い

  • 日本の鍋は澄んだだしが基本だが、豆米火鍋は煮崩した豆でスープそのものにとろみをつける。豆のでんぷんで具に味がよく絡み、最後はご飯にかけるほど濃いのが本場流。
  • 酸味は酢ではなく、発酵させた酸菜と糟辣椒から出す。四川の麻辣火鍋のように花椒でしびれさせる鍋ではなく、辛さと酸味、豆のまろやかさで食べさせる。
  • 本場の軟哨は、豚バラ肉を甘酒や香辛料と一緒に時間をかけて煮詰めた貴陽の名物で、店では専門に仕込まれたものを使う。今回は家庭向けに、炒めて甘酒で煮からめる簡略版にした。
  • 貴陽の蘸水には折耳根(ドクダミの根)を刻んで加えるのが定番。日本では食材として流通しないため、パクチーで香りを補っている。

参考ページ(写真)

美食天下の「贵州豆米火锅」レシピページに、豆の下ごしらえから鍋に仕上げるまでの手順写真が掲載されています。

(https://m.meishichina.com/recipe/456955/)

代用可能な食材

  • 乾燥赤いんげん豆:金時豆や大正金時250gで代用できる。水煮缶を使う場合は600gを用意し、手順2の加熱を10分に短縮する。
  • 腊肉:ベーコン60gで代用可。
  • 酸菜:高菜漬けや野沢菜漬け150gで代用できる(塩気が強い場合は一度水にさらす)。
  • 糍粑辣椒:乾燥唐辛子15gを熱湯で戻し、生姜・にんにく各5gと一緒に包丁で叩いてペーストにしたもので代用できる。
  • 糟辣椒:刻んだ生の赤唐辛子20gと、キムチの汁10mlで代用すると、発酵の酸味が近くなる。
  • 郫県豆瓣醤:一般的な豆板醤15gで代用可。
  • 菜種油:サラダ油で代用可。
  • 糊辣椒面:乾燥唐辛子をフライパンで焦げる手前まで乾煎りし、粗く砕けば作れる。市販の「木姜子糊辣椒」は塩とうま味調味料が入っているので、使う場合は蘸水の醤油を30mlに減らす。木姜子(山胡椒)の柑橘のような香りが加わり、貴州の蘸水らしい風味になる。

保存・アレンジのコツ

  • 豆米スープのベース(手順6まで)は冷蔵で3日、冷凍で1か月保存できる。豆を多めに煮て、煮汁ごと小分け冷凍しておくと便利。
  • 残ったスープは米線や麺を入れて煮込むと、豆の甘みがしみた締めの麺になる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。