貴州料理・黔菜糟辣脆皮鱼

糟辣脆皮魚レシピ本場貴州の配合を徹底解説

格子の切り込みを入れた丸揚げの魚に、赤い糟辣椒のあんをたっぷりかけた糟辣脆皮魚のイラスト
地域
黔菜(貴州)
分量
2〜3人分
公開

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丸ごと揚げた魚に赤いあんをかける料理といえば、山東の糖醋鯉魚(鯉の甘酢あんかけ)が有名だ。ところが貴州には、見た目はそっくりなのに、酸味の出どころがまったく違う一皿がある。貴陽の伝統名菜「糟辣脆皮魚(ザオラーツイピーユィ)」だ。

旅行情報サイト「欣欣旅游」の貴陽美食紹介によれば、糟辣脆皮魚は貴陽を代表する伝統料理のひとつで、大小の宴会から家庭のもてなしまで幅広く登場する。その味わいは「皮はカリッと身はきめ細かく、色は赤く艶やか。ほのかに酸っぱく、甘く、塩気があり、少し辛い」と表現される。網易の記事も、これを「貴州の伝統的な名菜」として紹介している。

この味の核になるのが、貴州独特の発酵唐辛子「糟辣椒(ザオラージャオ)」だ。生の赤唐辛子を生姜・にんにくと一緒に細かく刻み、1割ほどの塩と少量の白酒を加えて壺に密封し、発酵させたもので、「爽やかな香りと歯ざわり、うま味のある塩気」が特徴とされる。貴州料理(黔菜)は酸味を酢ではなく発酵から取るのが持ち味で、糟辣椒はまさにその代表格。糖醋鯉魚が酢と砂糖で甘酸っぱさを作るのに対し、糟辣脆皮魚は発酵唐辛子の酸味とトマトで、辛くて酸っぱいあんに仕上げる。

鯉に深く切り込みを入れ、衣をつけて二度揚げし、熱々の糟辣あんをかける。皮はパリパリ、身はふんわり。ご飯が止まらなくなる、貴州の宴席の定番である。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2〜3人分)

魚と下味

  • 鯉うろこ・エラ・内臓を除いたもの1尾(約750g)
  • 塩2g(小さじ1/3程度)
  • 黄酒または日本酒15ml
  • 生姜(薄切り)10g
  • 長ねぎ(ぶつ切り)10g

衣と揚げ油

  • 卵1個
  • 片栗粉60g
  • 揚げ油1000ml

糟辣あん

  • サラダ油30ml
  • 糟辣椒80g
  • 生姜(みじん切り)10g
  • にんにく(みじん切り)15g
  • トマト(1cm角)1個(150g)
  • 生抽10ml
  • 砂糖15g
  • 鶏がらスープ(無塩)150ml
  • 水溶き片栗粉片栗粉8g
    +水20ml
  • 万能ねぎ(小口切り)10g

作り方

  1. 鯉の両面に、頭側から尾に向かって2cm間隔で斜めに切り込みを入れる。刃先を頭の方向に向け、骨に当たるまで深く入れる。尾に近い部分は浅めにする。

  2. 塩2g・黄酒15mlを全体と切り込みの中にすり込み、生姜と長ねぎをのせて30分置く。生姜とねぎを除き、キッチンペーパーで水気をしっかりふく。

  3. 卵を溶いて片栗粉60gと混ぜ、ぽってりした衣を作る。魚の表面と切り込みの中まで、まんべんなく塗る。

  4. 揚げ油を170℃に熱する。魚の頭と尾を持ち、切り込みが開くように反らせながら頭から入れ、お玉で油をかけて形を固める。そのまま6〜7分、薄いきつね色になるまで揚げて取り出す。

  5. 5分休ませてから油を190℃に上げ、再び魚を入れて2分揚げる。全体がこんがりと色づき、皮がカリッとしたら油をきって皿に盛る。

  6. 別のフライパンにサラダ油30mlを中火で熱し、生姜・にんにくを30秒炒める。糟辣椒80gを加えて弱めの中火で2〜3分炒め、油が赤く色づいて香りが立ったらトマトを加えて1分炒める。

  7. 生抽10ml・砂糖15g・鶏がらスープ150mlを加えて煮立て、水溶き片栗粉を回し入れてとろみをつける。

  8. 熱々のあんを揚げたての魚全体にかけ、万能ねぎを散らしてすぐに食卓へ出す。

本場と日本の違い

  • 日本の中華料理店の魚の丸揚げ甘酢あんかけは、酢と砂糖、ケチャップで甘酸っぱく仕上げることが多い。糟辣脆皮魚は酢をほとんど使わず、糟辣椒の発酵による酸味が主役。甘さは控えめで、辛さと酸味が前に出る。
  • 糟辣椒は貴州の家庭で漬ける常備調味料で、魚香肉絲や回鍋肉などの炒め物、漬物、つけだれ(蘸水)にも欠かせない。本場では一年分をまとめて漬け、壺の縁に水を張って空気を遮断しながら、翌年の分を漬けるまで食べつなぐという。乾燥唐辛子ではなく生の唐辛子を発酵させるため、辛さの中にフレッシュな香りと乳酸発酵の酸味がある。
  • 二度揚げで皮を殻のように固く仕上げるのが「脆皮」の意味。あんをかけてもしばらく皮のカリカリ感が残る。
  • 本場では1斤(500g)前後から1kg程度の鯉を使う。日本で鯉が手に入らない場合は、海の白身魚で作るとよい。

参考ページ(写真)

美食天下の「黔味糟辣鱼」レシピページに、切り込みの入れ方から揚げ方、あんをかけた仕上がりまでの写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-378672.html)

代用可能な食材

  • 鯉:真鯛・イサキ・メバルなど、1尾700〜800gの白身魚で代用できる。
  • 糟辣椒:生の赤唐辛子70gのヘタを取って5mm角に刻み、生姜・にんにく各5gのみじん切り、塩8g、白酒(または焼酎)5mlと混ぜる。水気と油が入らないよう、洗ってよく乾かした瓶に詰めて密閉し、室温で5日以上(本格的には2週間ほど)置けば家庭でも作れる。急ぐ場合は、刻んだ生の赤唐辛子50gとキムチの汁20mlを合わせて代用する(この場合、生抽を5mlに減らす)。
  • 生抽:一般的な醤油10mlで代用可。
  • 片栗粉:コーンスターチ60gでも同様に作れる。

保存・アレンジのコツ

  • 揚げ物なので作りたてを食べきるのが基本。残った場合は身をほぐし、あんと一緒に温め直してご飯にかけるとよい。
  • 糟辣あんは、揚げた鶏肉や豚肉、揚げ豆腐にかけてもおいしい。帯魚(太刀魚)をぶつ切りにして揚げ、同じあんをかける「糟辣脆皮帯魚」も貴州の家庭の味だ。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。