広東料理・粤菜西多士

西多士(香港式フレンチトースト)レシピ本場香港の配合を徹底解説

皿にのった重ねた2枚のきつね色の西多士と、上にのせたバター、垂れるシロップのイラスト
地域
粤菜(香港)
分量
1〜2人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

日本のフレンチトーストは、卵液にひと晩浸したパンをバターでじっくり焼く、ふわふわのプリンのような甘いパン。ところが香港の茶餐廳(チャーチャンテン)で「西多士」を頼むと、出てくるのはピーナッツバターを挟んだ食パンを卵液にくぐらせ、たっぷりの油でこんがり焼き上げた、外はカリッと中はしっとりの一皿だ。上にはバターのかたまりがのり、練乳やシロップをかけて食べる。

「西多士」の「多士」は英語「toast」の広東語の音訳で、「法蘭西多士(フランスのトースト)」を略した呼び名とされる。中国語版ウィキペディアによれば、香港ではもともとホテルがフランスパンで出す高級な洋食だったが、1950年代に屋台の大牌檔(ダイパイドン)が手に入りやすい白い角食パンに替え、焼き方も油で揚げる方法に変えたことで、表面が金色で耳がカリッとした香港式が生まれた。そこに茶餐廳が、2枚のパンにピーナッツバターなどを挟むスタイルを加え、1970年代に茶餐廳が増えるとともに、午後のお茶の定番として広まったという。

茶餐廳は、香港ミルクティーとともに、トーストやマカロニスープ、焼き飯といった洋食風の軽食を手頃な値段で出す香港の大衆食堂。香港の明報に載ったコラムによれば、香港の西多士には焼くタイプと揚げるタイプがあり、焼けば香ばしくやわらか、揚げればサクサクで、今は揚げるタイプが主流だという。

ここから先は、香港メディアと中国語の複数レシピを比較して割り出した、香港の茶餐廳スタイルの西多士の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(1〜2人分)

  • 食パン(8枚切り)2枚(90g)
  • ピーナッツバター(加糖タイプ)大さじ1と1/2(25g)
  • 卵2個(100g)
  • 牛乳大さじ1(15ml)
  • 揚げ油300ml
  • バター(有塩、仕上げ用)10g
  • ゴールデンシロップ大さじ1(20g)

作り方

  1. 食パン1枚の片面にピーナッツバターを端から5mmほど残して均一に塗り、もう1枚を重ねて手のひらで軽く押さえ、なじませる。パンの耳は付けたままでも、切り落としてもよい。

  2. バットに卵を割りほぐし、牛乳15mlを加えてよく混ぜる。

  3. 1のパンを卵液に入れ、片面10秒ずつ浸す。側面(耳の部分)も卵液に押し当てて、全体にまんべんなく卵液をまとわせる。

  4. 直径20cm前後のフライパンに揚げ油を深さ1.5〜2cm(パンの厚みの半分以上が浸かる深さ)ほど入れ、160℃に熱する。パンを入れて中火で1分30秒、裏返して1分30秒、両面がきつね色になるまで揚げ焼きにする。側面もトングで立てて10秒ずつ焼く。

  5. 網に上げて30秒油を切り、器にのせる。中央にバター10gをのせ、ゴールデンシロップをかけて熱いうちに食べる。ナイフで切り分けると、中からピーナッツバターがとろりと出てくる。

本場と日本の違い

  • 浸す時間:日本のフレンチトーストは卵液に長時間浸して中までしみ込ませ、ふわふわ・とろとろに仕上げる。香港の西多士は卵液に「くぐらせる」程度で、中の食パンのしっとり感とピーナッツバターの濃厚さを残す。
  • 焼き方:日本はバターで弱火でじっくり焼くのが一般的。香港式はたっぷりの油で揚げるように焼き、表面をカリッと香ばしく仕上げる。
  • 甘みの付け方:日本は卵液に砂糖を入れ、焼き上がりにメープルシロップや粉砂糖を添えることが多い。香港式は卵液に砂糖を入れないレシピも多く、甘さは仕上げのシロップや練乳、ピーナッツバターでつける。香港01は、バターとシロップを西多士に欠かせない組み合わせとして紹介しており、明報のコラムのレシピも砂糖と水にレモンを加えて煮詰めたシロップをかけている。
  • 揚げるか焼くか:香港には焼くタイプもあるが、明報のコラムによれば今は揚げるタイプが主流。中国語版ウィキペディアでも、1950年代に屋台が油で揚げる方法に変えたことが香港式の始まりとされている。
  • 中身:香港式の最大の特徴はピーナッツバターを挟むこと。比較したレシピはいずれもピーナッツバターを挟んでおり、茶餐廳の西多士の「芯」になっている。

参考ページ(写真)

愛料理(icook)の「港式西多士」レシピページに、ピーナッツバターを挟んだパンを焼き上げる工程と、バター・練乳をのせた仕上がりの写真が掲載されています。

(https://icook.tw/recipes/360130)

代用可能な食材

  • 食パン(8枚切り):6枚切りを使う場合は、卵液に浸す時間を片面15秒にし、揚げ焼き時間を片面2分に延ばす
  • ゴールデンシロップ:練乳、はちみつ、メープルシロップで代用可
  • 卵:香港01は、鶏卵の代わりに鴨の卵を使うと、より金色でサクッと仕上がるという香港の作り手の声を紹介している。手に入る場合は鴨の卵2個で同量に置き換えてもよい
  • 揚げ油:油を減らしたい場合は、フライパンにバター15gとサラダ油大さじ1(15ml)を入れ、弱めの中火で片面3分ずつ焼く(香ばしさは控えめになる)
  • ピーナッツバター(加糖タイプ):無糖タイプを使う場合は、ゴールデンシロップを大さじ1と1/2(30g)に増やす

保存・アレンジのコツ

  • 揚げたてが一番おいしいので、作り置きには向かない。卵液とパンを組み立てた状態で冷蔵庫に入れておけば、30分以内なら焼く直前まで待てる
  • ピーナッツバターの代わりにカヤジャム(ココナッツミルクと卵のジャム)を挟むと、東南アジア風の西多士になる
  • ピーナッツバターと一緒にハムやスライスチーズを挟むと、甘じょっぱい食事系の西多士になる
  • 香港ミルクティー(港式奶茶)を合わせれば、茶餐廳の午後のセット(下午茶餐)の気分が楽しめる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。