広東料理・粤菜咸鱼鸡粒茄子煲

咸魚鶏粒茄子煲レシピ本場広東の配合を徹底解説

湯気の立つ黒い土鍋で煮込んだ紫色のなすと角切りの鶏肉、青ねぎのイラスト
地域
粤菜(広東)
分量
2〜3人分
公開

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なすの味方といえば、日本なら味噌や醤油、四川なら豆瓣醤。ところが広東では、なすの相棒に「塩干しの魚」を選ぶ。それが咸魚鶏粒茄子煲、塩漬け干し魚(咸魚)と角切りの鶏肉(鶏粒)、なすを土鍋で仕上げる一皿だ。

咸魚は、魚を塩漬けにしてから天日で干した広東の保存食。ほんのひとかけで料理全体に強烈なうま味と発酵したような香りを加えるため、広東料理では肉や野菜の「調味料」として使われることが多い。中国の百科事典系サイトでは、咸魚茄子煲は粤菜を代表する家庭の定番料理として紹介され、揚げたなすを咸魚や香味野菜と一緒に煮て「外は香ばしく、中はとろり」と仕上げるのが持ち味とされる。中国の家庭料理サイトでも「咸魚となす」は広く知られた名コンビとされ、レシピサイトの下厨房には、咸魚茄子煲を「最も人気のある粤菜」、咸魚鶏粒茄子煲を「広東人のご飯泥棒」と紹介する投稿がある。鶏粒を加えると、咸魚の塩気が鶏肉に移ってうま味の厚みが一段増し、ご飯がどんどん進む。

本サイトではこれまで、全国区の家庭料理「なすの醤油煮(紅焼茄子、No.39)」と、日本で独自に広まった「麻婆茄子(No.57)」を紹介してきた。醤油煮は醤油と砂糖の甘辛味、麻婆茄子は豆瓣醤の辛味が味の軸だった。咸魚鶏粒茄子煲は、辛味も甘辛味も主役ではなく、咸魚の塩気と香りが味の芯になるのが大きな違いだ。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2〜3人分)

  • なす3本(300g)
  • 片栗粉(なすにまぶす用)大さじ1(9g)
  • 揚げ油500ml
  • 咸魚塩漬け干し魚、骨と皮を除いた身25g
  • 鶏もも肉(1cm角に切る)100g
  • サラダ油(炒め用)大さじ1(15ml)
  • 生姜(薄切り)5g
  • にんにく(みじん切り)10g
  • 長ねぎ白い部分、3cm長さに切る20g
  • 小ねぎ(小口切り)5g

鶏肉の下味

  • 生抽小さじ1(5ml)
  • 片栗粉小さじ1(3g)
  • サラダ油小さじ1(5ml)

合わせ調味料

水溶き片栗粉

  • 片栗粉小さじ1(3g)
  • 水小さじ2(10ml)

作り方

  1. 鶏肉に下味の生抽・片栗粉をもみ込み、サラダ油5mlを加えて混ぜ、10分おく。合わせ調味料と水溶き片栗粉をそれぞれ混ぜておく。

  2. 咸魚はさっと水洗いして水気を拭き、5mm角に刻む。

  3. なすは6cm長さに切ってから縦4つ割りにし、揚げる直前に片栗粉9gを全体に薄くまぶす。

  4. 揚げ油を170℃に熱し、なすを2分、皮が鮮やかな色になり表面がカリッとするまで揚げて油を切る。

  5. フライパンにサラダ油15mlと咸魚を入れて弱火にかけ、2分ほど、咸魚がうっすら色づいて香りが立つまで炒める。

  6. 生姜・にんにく・長ねぎを加えて中火で30秒炒め、鶏肉を加えて2分、表面の色が変わるまで炒める。

  7. なすを戻し入れ、合わせ調味料を加えてひと煮立ちさせる。

  8. 土鍋(直径18cm前後)に移してふたをし、弱火で5分煮る。途中で一度底から返す。

  9. 水溶き片栗粉を回し入れて軽くとろみをつけ、小ねぎを散らす。土鍋ごと、ぐつぐつ煮立った状態で食卓へ出す。

本場と日本の違い

  • なすの醤油煮(No.39)との違い:紅焼茄子は醤油と砂糖の甘辛い味で煮からめる、中国全土の家庭料理。咸魚鶏粒茄子煲は、咸魚の塩気とうま味を主役にし、醤油やオイスターソースは脇役にとどめる。土鍋で煮込んで熱々のまま出す「煲(ボウ)」料理である点も異なる。
  • 麻婆茄子(No.57)との違い:麻婆茄子は豆瓣醤とひき肉の辛味あんが軸。咸魚鶏粒茄子煲は唐辛子を使わない塩味(咸鮮)の料理で、ひき肉ではなく角切りの鶏肉を使うため、具としての食べごたえがある。
  • 咸魚の使い方:日本では干物を焼いてそのまま食べるのが一般的で、調味料として料理に刻み込む発想はあまりない。広東では咸魚を少量刻んで最初に油で炒め、香りを油に移してから他の具を入れる。これがこの料理の香りの土台になる。
  • なすの下ごしらえ:本場では片栗粉をまぶしたなすを揚げてから煮込むため、表面は香ばしく、中はとろりとした食感になる。家庭向けレシピでは電子レンジで加熱して油を控える作り方も見られる。

参考ページ(写真)

美食天下の「咸鱼茄子煲」レシピページに、咸魚の下ごしらえから土鍋で仕上げるまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-418868.html)

代用可能な食材

  • 咸魚:中華食材店で「咸魚」「梅香咸魚」として売られているものを使う。手に入らない場合は、アンチョビフィレ15g(刻む)で代用可。塩気とうま味の方向性が近い
  • 鶏もも肉:豚肩ロース肉の角切り、または豚ひき肉で代用可
  • 鶏スープ(無塩):水120mlで代用可(うま味はやや軽くなる)
  • なすを揚げたくない場合:なすに片栗粉をまぶし、フライパンに大さじ4(60ml)の油で中火で4分、転がしながら揚げ焼きにする

保存・アレンジのコツ

  • 冷蔵で2日保存可能。温め直すとなすがさらに味を吸っておいしくなる
  • 鶏粒を増やして(250g)ご飯にかければ、咸魚鶏粒丼風のワンプレートになる
  • 残った咸魚は刻んでから小分けにして冷凍し、炒飯(咸魚鶏粒炒飯)や豚ひき肉の蒸し物に使うと、少量で広東らしい香りが出せる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。