広東料理・粤菜艇仔粥

艇仔粥レシピ本場広東・広州の配合を徹底解説

白い器の粥に白身魚、いか、揚げ豚皮、錦糸卵、油条、ピーナッツ、ねぎ、細切り肉を放射状に盛った艇仔粥のイラスト
地域
粤菜(広東・広州)
分量
3人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

「艇仔」とは広東語で小舟のこと。艇仔粥は、その名の通り、かつて広州の水路に浮かぶ小舟の上で売られていたお粥です。

広州市政府のサイトによれば、発祥は旧広州の西の郊外にあった荔枝湾。水路沿いにライチの木が茂り、夕暮れの風景「荔湾晩唱」は古い羊城(広州)八景の一つに数えられていました。夏の夕方、遊覧の小舟が行き交うなかに艇仔粥を専門に売る舟があり、やがて陸の食堂でも出されるようになったといいます。同じく広州市政府のサイトに掲載された記事は、この粥を珠江デルタで舟を家として暮らしてきた「疍家(たんか)」の人々の傑作と紹介しています。清の光緒年間には舟遊びが流行し、疍家の娘たちが舟を漕ぎながら「艇仔粥!魚生粥!」と売り歩き、舟の上で年配の船頭が獲れたての魚やエビ、カニ、シジミを具にして粥を炊いていたそうです。

本サイトではすでに「皮蛋痩肉粥」を紹介しました。ピータンと豚肉を炊き込んだシンプルな一杯に対し、艇仔粥は粥の中でもっとも具だくさんといわれる一杯。白身魚、イカ、豚皮、チャーシュー、クラゲ、錦糸卵、揚げピーナッツ、揚げパンまでがのり、煮立った粥で具にさっと火を通す「生滾粥」の技法で仕上げます。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順を公開します。

本場の配合

材料(3人分)

粥底

  • 米(うるち米)120g
  • 塩(米の下味用)1.5g(小さじ1/4程度)
  • サラダ油(米の下味用)5ml
  • 干し貝柱15g
  • ぬるま湯(干し貝柱の戻し用)50ml
  • 水1400ml

具

  • 白身魚鯛・スズキなどの刺身用切り身100g
  • いかげそ60g
  • 揚げ豚皮(乾燥)15g
  • チャーシュー(叉焼)60g
  • 卵1個(50g)
  • クラゲ(塩抜き済み)40g
  • 生姜(千切り)5g
  • 塩(仕上げ用)7g(小さじ1と1/4程度)

トッピング

  • 揚げピーナッツ30g
  • 油条(揚げパン)1/2本(30g)
  • 青ねぎ(小口切り)10g
  • 香菜(ざく切り)5g
  • 白こしょう0.5g
  • ごま油5ml

作り方

  1. 米は洗ってざるに上げ、30分おいて水気を切る。塩1.5gとサラダ油5mlをまぶして30分おく(米粒が割れやすくなり、なめらかな粥になる)。干し貝柱はぬるま湯50mlに30分浸して戻し、粗くほぐす。

  2. 鍋に水1400mlを入れて強火で沸かし、米と干し貝柱を戻し汁ごと加える。再び沸騰したら10分強火で煮て、ふたを少しずらして弱火にし、10分おきに底から混ぜながら50分煮る。米粒がほぼ崩れてとろりとすれば粥底の完成。

  3. 粥を煮ている間に具を準備する。揚げ豚皮は熱湯に30分浸してやわらかく戻し、水気を絞って5mm幅に切る。いかげそは3cm長さに切る。白身魚は3mm厚のそぎ切りにする。チャーシューは5mm幅の細切り、クラゲは水気を絞って細切りにする。卵は薄焼きにして細切りにし、錦糸卵にする。油条は1cm幅に切る。

  4. 粥底が煮上がったら中火にして沸かし、生姜・豚皮・いかげそ・チャーシューを加えて2分煮る。仕上げ用の塩7gを加えて混ぜ、白身魚を加えて30秒ほど、身が白くなったらすぐ火を止める。

  5. 器の底に青ねぎと香菜を入れ、4の粥を注ぐ。クラゲと錦糸卵をのせ、揚げピーナッツと油条を散らし、白こしょうとごま油をかける。

本場と日本の違い

  • 粥の炊き方:広東の粥は、米粒の形がなくなるまで炊き込んだ「綿粥」が基本。日本のお粥のように米粒を残さず、とろりとしたポタージュ状に仕上げる。
  • 生滾粥という技法:あらかじめ炊いておいた粥底を具ごとに小鍋で煮立て、生の魚やイカに一気に火を通す。煮込みすぎないので、魚の身がしっとりやわらかく仕上がる。
  • 具の多さ:日本の中華粥はピータンや鶏肉など具が1〜2種類のものが多いが、艇仔粥は海のもの・肉・卵・揚げ物まで7〜8種類がのるのが当たり前。舟の上で獲れたての魚介を入れて炊いていた粥が陸の店に広まり、具が決まった形になりながら揚げ物なども加わっていったとされる。
  • 食感の対比:揚げピーナッツと油条(または薄脆)のカリッとした食感を、とろとろの粥と一緒に食べるのが広州流。食べる直前にのせるのがコツ。

参考ページ(写真)

美食天下の「艇仔粥」レシピページに、具材の下ごしらえから粥に具を加えるまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-144278.html)

代用可能な食材

  • 揚げ豚皮:中華食材店で「炸猪皮」「浮皮」として売られている。入手できなければ省き、代わりにチャーシューを20g増やす
  • 白身魚:本場では川魚や海魚の生の切り身を使う。日本では鯛・スズキ・タラなどの刺身用切り身が使いやすい
  • 油条:中華食材店の冷凍油条をトースターで温め直して使う。入手できなければ、ワンタンの皮3枚を細切りにして揚げたもので代用可
  • クラゲ:中華クラゲ(味付き)を使う場合は、仕上げ用の塩を6gに減らす
  • 干し貝柱:なければ鶏ガラスープの素(顆粒)5gを水に加え、仕上げ用の塩を5gに減らす

保存・アレンジのコツ

  • 粥底だけを多めに炊いて冷蔵(2日程度)しておき、食べる分だけ小鍋で温めて具を煮るのが本場の粥店と同じやり方。冷めた粥底は固まるので、温めるときに水50mlを足してのばす
  • 具は魚だけにすれば「魚片粥」、牛肉の薄切りにすれば「牛肉粥」と、同じ粥底でいろいろな生滾粥が楽しめる
  • 油条とピーナッツは湿気やすいので、食べる直前にのせる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。