広東料理・粤菜广式烧鹅

広式焼きガチョウ(焼鵝)レシピ本場広東の配合を徹底解説

白い皿に並べた飴色の焼きガチョウの切り身と、たれの小皿のイラスト
地域
粤菜(広東)
分量
2〜3人分
公開

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広東の焼きガチョウを語るうえで欠かせないのが、広州の黄埔区にある「深井村」の存在だ。この村には、ある老人が3年間滞在したのち去り際に一羽の黒いガチョウを残し、その子孫のガチョウで作った焼きガチョウが「肉質が特に鮮美」だと評判になり、やがて遠方にまで名を知られるようになったという言い伝えが残っている。地名「深井」の由来にもふたつの説があり、村口の山の形が金の鼎(かなえ)に似ていたことから元は「金鼎村」と呼ばれていたが、村内の井戸が軒並み深かったことから後に「深井村」と呼ばれるようになったとされる。

さらに興味深いのは、「深井」という言葉が調理法そのものも指しているという点だ。地面に井戸状の穴を掘り、その中に瓦の甕を据えて、ライチの木炭を積み上げ、井戸の口に横棒を渡してガチョウを鉤で吊るして焼くという独特の技法で、こうすることで熱が均一に伝わり、皮全体がパリッと仕上がると同時にライチの木の香りが身に移るとされる。この「深井焼鵝」の名声が広まったことで、深井は広東における焼きガチョウの代名詞的な地名になった。

広東では古くから「北の焼鴨(アヒル)、南の焼鵝(ガチョウ)」という対比で語られることもあり、鴨よりも脂が乗り肉厚なガチョウを使う焼き物は、広東・香港の焼味(焼き物専門店)文化における看板メニューのひとつとして今も愛され続けている。腹の中に濃厚な調味ダレを仕込み、飴色になるまで皮に「皮水」と呼ばれる糖分入りの水飴液を塗って乾燥させてから焼くという多段階の工程は、他の中国料理と比べても手間のかかる部類に入る。

本格的な炭火焼きを家庭で再現するのは難しいが、オーブンを使えば十分にその魅力に近づける。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2〜3人分・目安、ガチョウ1羽の家庭用簡易配合)

腌料(腹の中に塗り込む下味ダレ)

皮水(表皮に塗る糖水)

その他

  • ガチョウまたはアヒル、丸ごと1羽・2〜2.5kg程度1羽
  • 塩下味用小さじ2

作り方

  1. ガチョウは内臓を取り除いて水気を拭き取り、腹の内側に塩を揉み込んで下味をつける。

  2. 腌料の材料をすべて混ぜ合わせ、腹腔の内側全体に均一に塗り込む。腹の切り込みは楊枝や糸で縫い合わせて閉じる。

  3. 皮水の材料を鍋で軽く温めながら溶かし合わせる。

  4. ガチョウ全体の皮に熱湯を回しかけて表皮を軽く引き締め、水気を拭き取ってから皮水を全体にまんべんなく塗る。

  5. 風通しのよい場所(または冷蔵庫)で3〜5時間、できれば一晩乾燥させ、皮をパリッとさせる下準備をする。

  6. オーブンを180℃に予熱し、天板にガチョウを乗せて約90分焼く(家庭用オーブンにより時間は前後するため、皮の色を見ながら調整する)。焦げやすい部分はアルミホイルで覆う。

  7. 焼き上がったら10分ほど休ませてから食べやすい大きさに切り分け、腹の中のタレを合わせダレとして添える。

本場と日本の違い

  • 日本で「ガチョウ」を丸ごと使う機会はほとんどないため、家庭ではアヒル(合鴨)や大きめの丸鶏で代用することが多いが、本場では脂の乗りが良いガチョウ特有の肉質と厚い皮が焼き上がりの決め手になる。
  • 本場の伝統的な「深井焼鵝」は、地面に掘った井戸状の炉でライチの炭火を使って焼くという特殊な調理法だが、家庭ではオーブンで代用するのが現実的。
  • 皮に塗る「皮水」は麦芽糖や酢を配合した専用の糖水で、これが皮のパリパリ感と飴色の光沢を生み出す。単に油を塗るだけでは同じ食感は再現できない。
  • 本場では腹の中に濃厚な合わせダレを詰めて縫い合わせ、内側からも味を染み込ませるのが特徴で、外側の味付けだけで完結する日本の丸焼きとは工程の考え方が異なる。

参考ページ(写真)

下厨房の「港式烧鹅(家庭版)」レシピページには、腌料を塗り込む工程から皮水を回しかける作業、オーブンでの焼成までの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/106836390/

代用可能な食材

  • ガチョウ→合鴨または丸鶏(2〜2.5kg、脂身が少ない場合は皮の下にラードを少量差し込むとよい)
  • 南乳(豆腐乳)→豆腐乳・腐乳で代用可
  • 麦芽糖→はちみつまたは水飴(大さじ3)

保存・アレンジのコツ

  • 焼き上がったガチョウは冷蔵で2〜3日保存可能。温め直す際はオーブントースターで皮を再度パリッとさせるとよい。
  • 骨は捨てずにスープの出汁として活用すると無駄がない。
  • 広東の焼味店では、焼きガチョウを白いご飯にのせて「焼鵝飯」として提供するのが定番のアレンジ。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。