広東料理・粤菜沙嗲牛肉麵
沙嗲牛肉麺レシピ本場香港の配合を徹底解説

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
香港の茶餐廳のメニューで、牛肉と並んで必ず見かけるのが「沙嗲(サーデー)」の文字。そして沙嗲牛肉麺の麺は、生麺でも乾麺でもなく、なんとインスタントラーメンだ。ピーナッツの香りが立つ沙嗲ソースで炒めた牛肉を、ゆでた即席麺にのせる。茶餐廳を代表する一杯だ。
「沙嗲」の語源は、インドネシア語・マレー語で串焼き肉を意味する「sate(サテ)」。中国語の百科事典系サイトによれば、サテのたれはインドネシア・マレーシア・シンガポールなど東南アジアで広く親しまれていたもので、それが潮汕や広州に伝わり、料理人たちが中国国内の香辛料と材料で作り替えていったとされる。香港の明報も、19世紀に南洋へ渡った華人がこのたれを潮州や福建に持ち帰ったと紹介している。潮州語では「茶」を「嗲」に近い音で読むため、同じ「sate」から「沙茶」と「沙嗲」という二つの表記が生まれた。
明報のコラムによれば、1950〜60年代の香港の新聞で「沙嗲」といえばマレーシア式の串焼きのことで、潮汕風のものは「沙嗲牛肉」と書き分けられていた。香港の人々、とくに茶餐廳が選んだのは潮汕式の沙嗲牛肉で、朝は即席麺にのせ、昼と夜は河粉の炒め物などに使われたという。
本サイトで以前紹介した厦門の「沙茶麺(No.62)」も同じ「sate」を語源に持つが、あちらは干し魚や干しえびの香りが強い沙茶醤をスープに溶かした福建の麺料理。香港の沙嗲牛肉麺は、ピーナッツの甘い香りが前面に出た沙嗲醤で牛肉を炒め、即席麺にのせる茶餐廳の軽食で、味も食べ方も異なる。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、茶餐廳の味に近づける配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(2人分)
- インスタントラーメン袋麺、付属のスープは使わない。麺200g2袋
- 牛もも肉(薄切り)200g
- 玉ねぎ(薄切り)50g
- にんにく(みじん切り)1片(5g)
- サラダ油大さじ1と小さじ1(20ml)
- 砕いたピーナッツ(仕上げ用)6g
牛肉の下味
- 生抽小さじ1(5ml)
- 砂糖小さじ2/3(2g)
- 片栗粉小さじ1(3g)
- 重曹小さじ1/8(0.5g)
- 水大さじ1と1/3(20ml)
沙嗲ソース
- 沙嗲醤大さじ3(45g)
- ピーナッツバター(加糖タイプ)大さじ1と1/3(20g)
- 水100ml
作り方
牛肉は3mm幅に切り、下味の材料をすべて加えて、水分が吸い込まれるまでよくもみ込み、20分おく。焼く直前にサラダ油小さじ1(5ml)を混ぜてほぐしやすくする。
沙嗲醤・ピーナッツバター・水100mlを混ぜ合わせ、なめらかにのばしておく。
フライパンにサラダ油大さじ1(15ml)を強火で熱し、牛肉を広げ入れて1分、8割ほど色が変わるまで炒めて取り出す。
同じフライパンを中火にし、にんにくと玉ねぎを1分炒める。2の沙嗲ソースを加えて煮立て、弱火で2分、軽くとろみがつくまで煮詰める。
牛肉を戻し入れ、30秒手早くからめて火を止める。
たっぷりの湯でインスタントラーメンを表示時間どおり(約2分)ゆで、湯を切って器に盛る。5の沙嗲牛肉をソースごとのせ、砕いたピーナッツを散らす。
本場と日本の違い
- 麺はインスタントラーメン:日本でインスタントラーメンといえば付属のスープで食べるものだが、香港の茶餐廳では即席麺を「麺の一種」として扱い、ゆでた麺に炒め物やスープを合わせて一品料理に仕立てる。沙嗲牛肉麺はその代表格で、明報のコラムは、沙嗲牛肉を上海の澆頭麺(麺に炒め物をのせる食べ方)のように即席麺にかけたのが朝の定番になったと説明している。
- 沙嗲醤と沙茶醤:日本でも「サテソース」はインドネシア料理の甘いピーナッツソースとして知られているが、香港の沙嗲醤は干しえびや香辛料の効いた塩気の強い醤で、甘みは控えめ。中国語の百科事典系サイトによれば、潮州系の沙嗲醤はピーナッツ、ごま、えびみそ、干しえび、香茅(レモングラス)などを合わせたもので、香港では「沙嗲牛柳」と「沙茶牛柳」を別の料理として区別する。福建・潮汕の沙茶醤(沙茶麺で使うもの)とは香りも用途も異なる。明報が取材した香港の老舗では、潮州の沙茶醤にピーナッツバターを加えてスープの香りを強めている。
- 牛肉の下ごしらえ:香港のレシピでは、牛肉に片栗粉と水、少量の重曹(鬆肉粉)をもみ込んで柔らかくする下ごしらえがよく使われる。日本の牛丼や焼肉のように薄切り肉をそのまま炒めるよりも、ぷるんとなめらかな食感に仕上がる。
- 汁ありも汁なしも:比較したレシピにも、沙嗲スープを張った汁麺仕立てと、ソースをのせた汁なし仕立ての両方がある。今回はソースをたっぷりかけた汁なし寄りの作り方を紹介し、スープ仕立てはアレンジで紹介する。
参考ページ(写真)
愛料理(icook)の「港式沙嗲/沙茶牛肉麵」レシピページに、沙嗲ソースで牛肉を仕上げて即席麺にのせる工程の写真が掲載されています。
(https://icook.tw/recipes/182964)
代用可能な食材
- 沙嗲醤:中華食材店・アジア食材店で香港産の「沙嗲醬」として売られている。手に入らない場合は、インドネシアのサテソース45gに干しえびのみじん切り5gと一味唐辛子0.5gを加えて代用可(甘みが強いのでピーナッツバターを10gに減らす)
- インスタントラーメン:中華麺(生麺)2玉で代用可。スープなしのシンプルな縮れ麺がよく合う
- 牛もも肉:牛肩ロースの薄切りで代用可
- 重曹:なければ省いてもよい(肉はやや固めに仕上がる)
保存・アレンジのコツ
- 沙嗲牛肉(手順5まで)は冷蔵で2日保存可能。温め直すときは水大さじ2を足してのばす
- 汁麺にする場合は、1人分につき熱い鶏スープ(無塩)300mlを器に張ってゆでた麺を入れ、沙嗲牛肉をのせる。スープに沙嗲ソースが溶け出して、茶餐廳の汁麺らしい味になる
- 麺の代わりにゆでたビーフン、またはご飯にのせて「沙嗲牛肉飯」にしても合う
- トーストと目玉焼き、ミルクティーを添えれば、香港の茶餐廳の朝のセット(早餐)の気分になる
出典
- 牛頓百科(newton.com.tw)「沙嗲醬」
- 牛頓百科(newton.com.tw)「沙爹醬」
- 牛頓百科(newton.com.tw)「沙嗲牛肉麵」
- 愛料理(icook)「港式沙嗲/沙茶牛肉麵 by Mrs P's Kitchen」レシピ
- 明報 Our Lifestyle「沙嗲牛麵 香濃腍滑秘訣」
- 明報「讀食時光:沙爹牛肉的多重宇宙」鄒芷茵(Jimmy's Satay Sauce サイト掲載の転載)
- 香港01「沙嗲牛肉麵食譜|做法簡易20分鐘完成、加工調製沙嗲醬特濃特香」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。