湖北料理・鄂菜三鲜豆皮
三鮮豆皮(三鲜豆皮)レシピ本場湖北・武漢の配合を徹底解説

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「豆皮」と聞いて湯葉を思い浮かべたなら、その予想は気持ちよく裏切られる。武漢の豆皮に大豆の皮は一枚も入っていない。皮の正体は、水に浸した緑豆とうるち米をすり潰して漿にし、鉄鍋で薄く焼いたもの。その上に卵を流して重ね、蒸したもち米と煮含めた具を包んで両面をこんがり焼く——武漢の人が朝から食べる、れっきとした主食である。
この料理を今の形にしたのは、漢口の老舗「老通城」だ。武漢市人民政府の資料によれば、創業は1929年、曾厚誠が大智路に開いた「通城飲食店」に始まる。1936年、後に「豆皮大王」と呼ばれる料理人・高金安が、それまで庶民の素朴な軽食だった豆皮を、具を吟味した「三鮮豆皮」へと作り変えた。1958年には毛沢東が4月3日と9月2日の二度にわたって老通城を訪れ、この豆皮を食べている。1993年に「中華老字号」、2009年には「老通城豆皮制作技芸」が湖北省第二批省級無形文化遺産に登録された。
肝心の「三鮮」が何を指すかは、実は資料によって揺れている。武漢市人民政府が2025年に出した記事は「鮮肉・冬筍・香菇」とし、別の市の記事は「鮮蛋・鮮肉・鮮菇・鮮筍」と四つを挙げる。1950年代の老通城を伝える記録では「鮮むきえび・角切り肉・冬菇」だ。共通しているのは、海鮮の三点盛りではなく「新鮮な素材を三種そろえた」という意味の三鮮だということ。武漢では朝食を外で食べる習慣を「過早(グオザオ)」と呼び、熱干麺と並んでこの豆皮が二枚看板になっている。
ここから先は、中国語の複数レシピと武漢市の公的資料を比較して割り出した、家庭のフライパンで作れる本場の配合と手順を公開する。
本場式の配合
材料(2人分/直径24cmのフライパンで2枚)
皮の生地(米浆)
- 緑豆(皮なし/脱皮緑豆)30g
- うるち米60g
- もち米10g
- 浸水用の水300ml
- ミキサー用の水110ml
- 濃度調整用の水30ml
- 塩1g(小さじ1/6)
- 卵Mサイズ・1枚につき1個2個
もち米の層
- もち米150g
- 浸水用の水500ml
- ラード10g
三鮮の具(臊子)
焼き・仕上げ
- ラード1枚につき15g30g
- 万能ねぎ小口切り10g
作り方
前日の下ごしらえ(浸水6時間〜一晩)
緑豆30g・うるち米60g・もち米10gを合わせてボウルに入れ、水300mlを注いで6時間〜一晩浸ける。別のボウルにもち米150gを入れ、水500mlで同じく6時間〜一晩浸ける。浸水が足りないとミキサーで粒が残り、皮が破れやすくなる。
干し椎茸8gは水150mlに浸し、冷蔵庫で一晩戻す。戻し汁は捨てずにとっておく。
米浆をひく(約35分/うち休ませ30分)
浸した緑豆・うるち米・もち米をざるに上げて水を切り、ミキサーに入れて水110mlを加え、2分以上撹拌する。指ですくってざらつきを感じなくなるまで挽くのが絶対条件で、粒が残っていると皮が均一に広がらない。
ボウルに移して塩1gを混ぜ、常温で30分休ませる。焼く直前に水30mlを加えて混ぜ、お玉から途切れずに一本の線で流れ落ちる濃度に整える。この濃度がそのまま皮の薄さになる。
もち米を蒸す(約30分)
浸したもち米150gをざるに上げて水を切る。蒸し器に濡らした布を敷き、厚さ1.5cmに平らに広げ、箸で数か所に穴を開けて蒸気の通り道を作る。蒸気の上がった蒸し器で強火25分蒸す。
蒸し上がったら熱いうちにラード10gを混ぜ、しゃもじで切るようにほぐす。米粒が一粒ずつ離れて艶が出た「珍珠状」が目標。老通城が豚の脂を使うのはこの艶と口当たりのためで、サラダ油では出ない。
三鮮の具を作る(約30分)
戻した椎茸は軸を落として7〜8mm角、たけのこ80g・豆腐干40g・搾菜20gも7〜8mm角に切りそろえる。豚バラ肉100gも同じ大きさの角切りにする。長ねぎ15gと生姜8gはみじん切り。
鍋に湯500mlを沸かし、たけのこを15秒だけくぐらせてざるに上げる(えぐみ取り)。
フライパンに食用油10mlを入れて中火で熱し、長ねぎ15gと生姜8gを30秒炒める。豚バラ肉100gを加え、脂が透き通って表面が色づくまで3分炒める。
黄酒10mlを鍋肌から回し入れ、生抽20ml・老抽5ml・砂糖3g・白胡椒0.5gを加えて全体にからめる。椎茸・たけのこ・豆腐干・搾菜を加えて1分炒め合わせる。
椎茸の戻し水100ml(底に沈んだ砂は入れない)を注ぎ、沸いたら弱火にして10〜15分煮る。煮汁が大さじ2ほど残る状態まで煮詰めて火を止める。
焼く(1枚あたり約8分)
直径24cmのフライパンを中火で温め、ラード15gを全体に塗り広げる。米浆の半量(約120g)を中央に流し、フライパンを回して直径22cmほどの円に薄く広げる。1分半ほどで縁が乾いて持ち上がってくる。
卵1個を溶いて皮の上に流し、スプーンの背で全面に広げる。卵が半分固まったところで、フライ返し2本を使って皮ごと裏返す(卵の面が下になる)。
蒸したもち米の半量(約150g)を皮の上に広げ、木べらで押さえて厚さ1cmに整える。その上に具の半量を煮汁ごと散らし、もう一度軽く押さえる。
皮の四辺を内側に折りたたんで四角い包みにし、フライ返しで裏返す。鍋肌からラードの残り15gを回し入れ、中弱火で3分、底面がきつね色になるまで焼く。もう一度裏返して2分焼く。
まな板に取り出し、6〜8cm角に切り分ける。万能ねぎ10gを散らして完成。皮はパリッと、中のもち米はしっとりという二層の食感が出ていれば成功。2枚目も同じ手順で焼く。
本場と日本の違い
- まず名前が紛らわしい。日本の中華食材店で「豆皮」として売られているのは干し湯葉(腐皮)で、この料理とは一切関係がない。武漢の豆皮は緑豆とうるち米を挽いた漿を焼いたもので、大豆製品ではない。材料を買いに行くときは、乾物売り場ではなく製菓材料や中華食材の乾燥豆のコーナーを見ることになる。
- 老通城の店では直径1mを超える鉄鍋を使い、漿をひしゃくで一気に広げて一度に24切れ分を焼く。武漢市人民政府の記事によれば、選別・製粉・もち米の加工・皮を焼く・仕上げ焼きまで工程は全部で50。家庭のフライパンで2枚焼く本レシピは、その工程を圧縮したものと考えてほしい。
- 具の中身は店によって違う。老通城は前肩肉・タン・心臓周りの肉と、雲夢のもち米・随州の花菇・南昌の冬筍を使い、「豆皮の中に豆も豆腐干も入っていない」ことを看板にしている。一方、武漢の家庭やほかの店では豆腐干や搾菜を加えるのが一般的で、今回の配合は後者の家庭式を採った。老通城の味に寄せたい場合は、豆腐干40gと搾菜20gを外して豚肩肉を150gに増やすとよい。
- 皮の緑豆比率は本場ほど高い。クロスチェックした家庭向けレシピでは、うるち米に対する緑豆の割合が13%のものから45%のものまで開きがあった。緑豆が多いほど香りは本格的になるが、粘りが減って破れやすくなる。本レシピは中間の30%(緑豆30g:米70g)を採り、もち米10gを混ぜて破れにくくしている。専用の大鍋と慣れがあるなら緑豆を45gまで増やすと店の香りに近づく。
- 武漢では豆皮は「おかず」ではなく朝の主食で、熱干麺と並ぶ「過早」の定番。夜に食べるものではないという感覚が強く、老通城でも午前中に売り切れることがある。
参考ページ(写真)
下厨房の「武汉名早餐【三鲜豆皮】,在家有个平底锅就能做」レシピページに、米浆の濃度・もち米の広げ方・折りたたみ方の手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/104544882/
代用可能な食材
- 皮なし緑豆→皮つきの緑豆30gを一晩浸け、手で揉んで浮いた皮を流し捨てて使う。緑豆粉(挽いた粉)25gを水で溶いて代用してもよい(ミキサー不要になるが香りは弱くなる)
- うるち米→米粉60gで代用可。浸水不要で、水140mlに直接溶かして使う(もち米10gの代わりに白玉粉10gを混ぜる)
- 冬筍→水煮たけのこ80g(本レシピはこれで計算している)。生のたけのこが手に入る季節なら、下茹でしたもの80g
- 花菇→一般的な干し椎茸8gで問題ない。生椎茸で代用する場合は40g使い、戻し汁の代わりに水100mlを使う
- 豆腐干→厚揚げ40g(熱湯を回しかけて表面の油を落としてから角切り)、または木綿豆腐を重しで30分水切りしたもの40g
- 搾菜→高菜漬け20g(塩気が近い)。塩気の強い銘柄を使う場合は生抽を15mlに減らす
- ラード→食用油40mlで代用可。仕上がりは軽くなり、もち米の艶は出にくくなる
- 生抽→濃口醤油18mlで代用可(製法も味も別物なので、風味は変わる)
- 老抽→たまり醤油5ml(色付けが目的なので、色の濃い醤油であればよい)
- 黄酒→日本酒10ml
保存・アレンジのコツ
- 米浆は冷蔵で1日もつ。時間が経つと下にでんぷんが沈むので、使う前に必ず底からよく混ぜ直す。分離したまま焼くと皮が硬くなる。
- 具(臊子)は冷蔵で4日、冷凍で1か月保存できる。多めに作っておけば、朝は米浆を焼いてもち米を蒸し直すだけで済む。
- 蒸したもち米は冷蔵すると硬くなるが、蒸し器に戻して5分蒸せば元に戻る。電子レンジを使う場合は霧吹きで水をかけてからラップをして温める。
- 焼き上げた豆皮は当日中に食べきるのが基本。残った場合はラップをせずに冷蔵し、翌朝フライパンにラード5gを引いて中弱火で両面2分ずつ温め直すと、皮のパリッとした食感が戻る。
- 具にむきえび50gを加えると、1950年代の老通城の記録に残る「鮮むきえび入り」の構成に近づく。えびは最後に加えて1分だけ火を通す。
- 牛肉で作る「牛肉豆皮」も武漢では定番。豚バラ肉100gを牛もも肉100gに替え、油を15mlに増やすとパサつかない。
出典
- 武漢市人民政府「武汉"豆皮大王"创立94年全国仅一家店,一份豆皮有50个步骤」
- 武漢市人民政府「武汉三鲜豆皮成了"世界的味道"」
- 武漢市商務局「老通城豆皮老而弥新,创造汉派美食奇迹」
- 武漢市商務局「金灿灿的老通城豆皮,油香四溢夏不腻」
- 中文維基百科「豆皮」
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本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。