湖北料理・鄂菜排骨藕汤

排骨蓮根スープ(排骨藕湯、排骨藕汤)レシピ本場湖北・武漢の配合を徹底解説

白濁したスープに輪切りの蓮根と骨付きスペアリブ、青ねぎが入り、湯気の立つ土鍋の排骨蓮根スープのイラスト
地域
湖北・武漢
分量
2人分
公開

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武漢の食卓には、ある不文律がある。「無湯不成席(スープのない食卓は成立しない)」——もてなしの席に汁物が一椀もなければ、それはまだ「席」とは呼べない、と湖北の人々は言い切る。数あるスープの中でも別格の地位を占めるのが排骨藕汤(別名・莲藕排骨汤)だ。武漢の「十大名菜」を選ぶ市民投票では14万票を超える支持を集めて堂々の1位に輝いたと伝えられ、地元では「湖北第一汤」の異名まで持つ一杯である。

主役は骨付き豚あばら肉と蓮根だが、この一杯を本場たらしめているのは実は蓮根そのものだ。湖北省は全国の蓮根流通量の8割を担う一大産地で、なかでも洪湖・巴河一帯で育つ蓮根は、澱粉質をたっぷり含み穴の数が多い「粉藕(フェンオウ)」と呼ばれる品種。「世界に九つ穴の蓮根があるのは巴河だけ」とまで言われるこの蓮根を長時間煮込むと繊維がほろほろとほどけ、スープそのものが乳白色に濁っていくのが最大の特徴で、日本でおなじみのシャキシャキ系レンコンとはそもそも別物と考えたほうがいい。

湖北の家庭には、土鍋(铫子)を使って弱火のまま何時間もかけて煮込む「煨汤」という調理文化が根づいており、排骨藕汤はその代表格。小雪の頃になると各家庭から漂う藕汤の匂いが「一家煨汤十家香(一軒が汤を煮れば十軒が香る)」と歌われるほど、武漢の冬の風物詩になっている。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

  • 排骨骨付き豚あばら肉、ぶつ切り400g
  • 蓮根皮をむいた正味重量、乱切り350g
  • 生姜薄切り15g
  • 料理酒下ゆで用15ml
  • 水850ml
  • 塩14g(小さじ2と1/2)
  • 小ねぎ(万能ねぎ、小口切り)仕上げ用5g

作り方

  1. 蓮根は皮をむいて乱切り(滚刀块。転がしながら斜めに切る)にし、変色を防ぐため使う直前まで水にさらしておく。生姜は薄切りにする。

  2. 排骨は水から鍋に入れ、料理酒15mlを加えて中火にかける。沸騰したら3〜4分ゆでてアクを出し切り、ざるに上げて流水で表面のアクや汚れを洗い流す。

  3. 鍋(できれば土鍋や厚手の鍋)に下ゆでした排骨・生姜・水850mlを入れて強火にかける。沸騰したらふたをして弱火に落とし、1時間じっくり煮込む。

  4. 水気を切った蓮根を加え、さらに40〜50分煮込む。蓮根の角がほろほろと崩れ始めるくらいまで柔らかくなったら、塩14gを加えて溶かし、5分ほど煮て味をなじませる。

  5. 器に盛り、小ねぎを散らして完成。

本場と日本の違い

  • 本場では洪湖・巴河産の「粉藕」という、穴が多く澱粉質豊富な蓮根を使うため、長時間煮込むとスープ自体が白濁するのが特徴。日本の一般的なレンコンはシャキシャキとした食感の品種(脆藕系)が主流で、同じように煮込んでもここまでは白濁しにくい。
  • 湖北の家庭では鉄鍋を避け、土鍋(铫子)を使うのが伝統的な作法とされる。鉄イオンでスープの色や風味が損なわれるのを防ぐためと言われている。
  • 武漢では市民投票で「十大名菜」1位に選ばれるほどの国民的スープだが、日本の中華料理店ではほとんど見かけない、本場でこそ日常的に味わえる一皿という位置づけ。

参考ページ(写真)

下厨房の「排骨莲藕汤」レシピページに、排骨の下ゆでと蓮根の乱切りの手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/174801/

代用可能な食材

  • 洪湖・巴河産の「粉藕」→日本ではほぼ入手困難。一般的な日本のレンコンで代用可だが、白濁感は出にくいので、蓮根の切れ端をすりおろして加えるととろみと白濁感が近づく。
  • 排骨(スペアリブ)→骨付き豚バラブロックでも代用可。

保存・アレンジのコツ

  • スープは粗熱を取ってから冷蔵で2〜3日、冷凍なら2週間程度保存可能。食べる際は再加熱する。
  • クコの実やナツメを一緒に煮込むと、彩りと自然な甘みが加わり、本場でも人気のアレンジ。
  • 圧力鍋を使う場合は、下ゆで済みの排骨・蓮根・生姜・水を入れて加圧25分程度でも同様に仕上がる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。