湖北料理・鄂菜荆州鱼糕
荊州魚糕レシピ本場湖北・荊州の配合を徹底解説

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「魚を食べても魚が見えない」。湖北省・荊州の魚糕(ユィガオ)は、清の乾隆帝がそう評したと伝えられる、真っ白な蒸し魚のテリーヌだ。見た目はかまぼこに近いが、魚のすり身に豚の背脂をたっぷり練り込むのが最大の違い。地元では「魚には肉の味があり、肉には魚の香りがある」と言われる。
由来には諸説ある。澎湃新聞に掲載された非物質文化遺産の紹介記事によれば、舜帝の妃・女英が創ったという伝説があり、春秋戦国時代には楚の荘王が気に入って宮廷の宴の一品目に据えたとされる。一方、湖北省文化・観光庁の紹介では、戦国時代の楚の都・紀南城の魚屋が、夏場に売れ残った魚を無駄にしないために考え出したのが始まりという話も紹介されている。いずれも伝承の域を出ないが、「4000年以上の歴史」をうたうほど、荊州の人々にとって誇りの味であることは確かだ。
荊州では今も「酒がなければ宴にならず、糕がなければ席にならず(無酒不成宴、無糕不成席)」と言われ、婚礼や祝宴に欠かせない。「魚糕」の音が「年年有余、歩歩高昇」に通じる縁起物でもある。2009年には「荊州魚糕制作技芸」が湖北省の省級非物質文化遺産に登録された。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。
本場の配合
材料(20×15cmの流し缶1台分・6〜8人分)
魚のすり身
生姜水
- 生姜(薄切り)30g
- 熱湯200ml
仕上げ
- 卵黄2個分(40g)
- サラダ油(型に塗る用)5ml
作り方
生姜30gを熱湯200mlに浸し、30分置いてから生姜を取り出し、冷蔵庫で冷やしておく(生姜水)。
豚の背脂150gは3mm角のさいの目に切る。細かくしすぎず、粒を残すのが食感のポイント。
魚の身500gは包丁で細かく叩くか、フードプロセッサーにかけてなめらかなペースト状にする。筋が残っていれば取り除く。
大きなボウルに魚のペーストと卵白3個分を入れ、同じ方向に混ぜる。冷やした生姜水200mlを4回に分けて加え、そのつど水分を吸わせるように混ぜる。
黄酒15ml・長ねぎ20g・白胡椒1gを加えて混ぜ、コーンスターチ100gを加えてさらに混ぜる。背脂を加え、最後に塩9gを加える。
塩を入れてから一方向に10〜15分しっかり練る(ボウルに叩きつけてもよい)。生地が重くなり、へらで混ぜにくくなるほど粘りが出れば完成。
流し缶の内側にサラダ油5mlを薄く塗る(または蒸し布を敷く)。生地を流し入れ、水で濡らした包丁やへらで表面を平らにならし、厚さ3cm前後に整える。
湯を沸かした蒸し器に入れ、強火で35分蒸す。
蓋を開けて表面の水気と脂をキッチンペーパーで軽くふき取る。溶いた卵黄の半量を刷毛で表面に塗り、強火で3分蒸す。残りの卵黄を塗り重ね、さらに3分蒸す。
取り出して完全に冷ましてから型から外し、1cm厚さに切り分ける。温かく食べる場合は切ってから5分ほど蒸し直す。
本場と日本の違い
- 日本のかまぼこやはんぺんとの最大の違いは、豚の背脂を魚の3割近くも練り込むこと。脂の粒が蒸されて溶け、しっとりとしたコクになる。砂糖やみりんは使わず、味付けは塩・生姜・ねぎ・胡椒だけで甘みはない。
- でんぷんの量が多いのも特徴。参照したレシピでも魚に対して5%程度から3割以上まで幅があり、今回は中間の2割とした。ぷりぷりと弾むかまぼことは違い、ふんわりした中に弾力がある食感で、本場では「二つに折っても切れない」のが良い魚糕とされる。
- 表面に卵黄を塗って蒸し、黄色い層を作るのも荊州式ならでは。白と黄色の断面が、祝いの席の一品目を飾る。
- 本場では草魚や青魚、頭の大きな胖頭魚(コクレン)など淡水魚を使う。日本ではタラなど海の白身魚で作るとよい。
参考ページ(写真)
美食天下の「湖北名菜-----【鱼糕】」レシピページに、すり身の練り方から卵黄を塗って蒸す工程まで、手順写真が掲載されています。
(https://home.meishichina.com/recipe-153246.html)
代用可能な食材
- 草魚・青魚:生のタラやスケトウダラの切り身500gで代用できる。市販の無塩冷凍すり身を使う場合は、手順3を省いてそのまま使う。
- 豚の背脂:豚バラ肉の脂身150gで代用可(赤身が混ざるとやや色がつく)。
- コーンスターチ:片栗粉100gで代用可(ややもっちりした食感になる)。
- 流し缶:耐熱のバットやパウンド型でもよい。厚みが3cmを超える場合は蒸し時間を10分延ばす。
保存・アレンジのコツ
- 完全に冷ましてからラップで包み、冷蔵で3日、切り分けて冷凍すれば1か月保存できる。食べる前に蒸し直すと食感が戻る。
- 荊州では宴席で蒸して出すほか、スープや火鍋の具、炒め物にも使う。薄切りにして青菜ときくらげと炒めたり、鶏ガラスープで肉団子と一緒に煮たりすると、魚糕の甘い香りが引き立つ。
出典
- 澎湃新聞「舌尖上的非遗 | 鱼糕飘香千年——荆州鱼糕」
- 澎湃新聞「非遗名录 | 品鱼不见鱼 香润嫩爽口——荆州鱼糕」
- 湖北省文化和旅游庁「荆州鱼糕」
- 美食天下「湖北名菜-----【鱼糕】」レシピ
- 下厨房「荆州鱼糕」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。