湖北料理・鄂菜洪山菜薹炒腊肉

洪山菜薹と腊肉の炒め(洪山菜薹炒腊肉)レシピ本場湖北の配合を徹底解説

皿に盛った紫色の茎の菜薹と腊肉の薄切り、赤唐辛子の輪切りの炒め物のイラスト
地域
湖北(武漢)
分量
2人分・目安
公開

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武漢市洪山区。この一帯で育つ紫色の茎を持つ菜薹(アブラナ科の花茎野菜)は、「洪山菜薹」として1700年以上の歴史を誇る湖北の名物野菜である。文献には「正月采苔」の記載があるとされ、三国時代には呉の統治者がこの菜薹をこよなく愛したことから「孝子菜」と呼ばれた逸話も伝わる。唐代には宝通寺(当時の東山寺)の僧侶が寺の周辺で栽培を始め、宋代には地方官が朝廷への献上品として都に送るようになった。

明代には朱元璋がこれを「楚菜之首(湖北料理の筆頭)」と評し、清代の康熙帝・乾隆帝は「金殿御菜」と称賛したという。乾隆帝が選んだとされる「江南四大名菜」のひとつに数えられたとも伝わる。地元には「塔影钟声映紫菘」という言葉があり、宝通寺の宝塔の影が映り、鐘の音が届く畑(塔影田と呼ばれる)で育った菜薹こそが最高品質とされてきた。北の洪山が風を防ぎ、南の南湖が温暖湿潤な気候をもたらす「九嶺十八凹」の地形が、この野菜特有の甘みと歯切れのよさを生み出しているといわれる。2005年には国家地理標志産品に登録され、核心産地はわずか80.13ヘクタールに厳しく限定されている。

旬は11月から出回り始め、1〜2月が最も味の乗る最盛期。この時期の武漢の食卓には、燻製香る腊肉(中華ベーコン)と合わせた「洪山菜薹炒腊肉」が欠かせない一皿として並ぶ。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分・目安)

メイン

  • 紫菜薹洪山菜薹、なければ紅菜苔や茎ブロッコリーで代用400g
  • 腊肉(中華ベーコン)薄切り80g

香味野菜

  • にんにくみじん切り3片
  • 生姜せん切り1片
  • 乾燥赤唐辛子好みで、種を取って輪切り1〜2本

調味料

  • 塩腊肉の塩気を見てから加減するひとつまみ
  • 鶏がらスープの素好みで省略可小さじ1/4
  • 食用油腊肉から脂が出にくい場合のみ小さじ1

作り方

  1. 下ごしらえ。菜薹は根元の硬い部分を切り落とし、手で折れる長さのところで4〜5cmに折るか切る。茎が太い部分は縦半分に割いて火の通りを均一にする。腊肉は薄切りにする。

  2. 腊肉の脂を出す。油をひかずに冷たいフライパンに腊肉を並べ、弱火でじっくり炒める。脂が透き通り、パチパチと脂が染み出してくるまで3〜4分焼く。菜薹を炒めるのに十分な量の油が出るのが目安。

  3. 香味を加える。にんにく、生姜、乾燥唐辛子を加え、香りが立つまで30秒ほど炒める。

  4. 菜薹を強火で炒める。菜薹を加え、火を強めて1〜2分、手早く炒め合わせる。生食できる野菜のため、炒めすぎず茎のシャキッとした歯ざわりを残す。

  5. 味を調える。腊肉の塩気を見ながら塩をひとつまみ加え、鶏がらスープの素を加えてさっと炒め合わせたら火を止める。

本場と日本の違い

  • 主役は野菜、腊肉は脇役。 一見「肉料理」に見えるが、本場では菜薹の香りと歯ざわりを引き立てるために腊肉を少量だけ使う。腊肉を主役級に多く入れると、菜薹本来の風味が埋もれてしまう。
  • 油は足さず、腊肉から出る脂だけで炒める。 サラダ油を先に熱してから肉を炒める日本式の炒め物とは逆で、冷たい鍋に腊肉を置いて弱火でじっくり脂を引き出すのが本場の技法。この脂の香りこそが料理の骨格になる。
  • 強火・短時間が鉄則。 菜薹は生でも食べられる野菜のため、炒めすぎると茎の食感がしんなりしてしまう。強火で1〜2分だけ、という短時間勝負が本場の感覚である。
  • 本物の「洪山菜薹」は産地が極めて限定的。 地理標志で保護された核心産地は80.13ヘクタールしかなく、市場に出回る「紫菜薹」の多くは近縁の栽培品種。日本で入手する場合も、紫色の茎を持つ菜薹や紅菜苔で代用するのが現実的である。
  • 旬の短さが価値を作る。 最盛期は1〜2月のみで、それ以外の時期は味が落ちるとされる。日本の促成栽培野菜のように年中同じ味を期待する料理ではない。

参考ページ(写真)

下厨房の「洪山菜苔炒腊肉」レシピページには、腊肉から脂を出す工程から菜薹を強火で炒め上げるまでの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/47516/

代用可能な食材

  • 洪山菜薹→紅菜苔(紫菜苔)400g、または茎ブロッコリー(スティックセニョール)400g
  • 腊肉→ベーコン80g(脂身の多いブロックタイプを薄切りにして使うと近い風味になる)
  • 乾燥赤唐辛子→省略可(本場でも入れない家庭は多い)

保存・アレンジのコツ

  • 菜薹は日持ちしないため、購入後は2〜3日以内に使い切るのが本場の習慣。
  • 腊肉の代わりに金華ハムの端切れを使うと、より上品な塩味の一皿になる。
  • 残った菜薹の茎は、卵とじや炒飯の具にしても風味を活かせる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。