広東料理・粤菜梅菜扣肉
梅菜扣肉(メイツァイコウロウ)レシピ本場客家の配合を徹底解説

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
発酵させた高菜「梅菜」の風味を豚バラ肉にたっぷり吸わせて蒸し上げる「梅菜扣肉」。客家料理を代表するこのごちそうには、仙女が菜種を授けたという、どこか神話めいた誕生秘話が伝わっています。
伝説によれば、明末の戦乱を逃れて中原から南に移り住んだ客家の人々の中に、卢(ろ)という姓の一家がいました。夫が畑を耕しても生活は苦しく、五人の子どもたちはいつも腹を空かせていたといいます。ある日、卢夫人が川辺で洗濯をしていると、一人の娘が舞い降り、「広く人々を救うために百年かけて育てた菜種」と一包みの種を手渡しました。名を尋ねると「梅」と答えて姿を消したそうです。夫人がその種を蒔くと青々とした菜が育ち、腊月(旧暦12月)には大きく肥えて、鮮やかな甘みのある野菜へと成長しました。食べきれなかった残りを卢夫人が塩漬けにして日干しにしたところ、艶やかな飴色に仕上がり、これが「梅菜」の始まりになったと伝えられています。
やがて客家の人々は、この梅菜と豚バラ肉を重ねて蒸すという調理法を編み出しました。器に伏せて詰めてから蒸し、仕上げに皿へひっくり返して盛り付ける工程が「扣(かぶせる、伏せる)」という料理名の由来です。梅菜の産地として名高い恵州は「中国梅菜之郷」の称号を持ち、梅菜扣肉は塩焗鶏・酿豆腐と並んで「客家三件宝」の一つに数えられる看板料理となりました。ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順、そして日本版との違いを解説します。
本場式の配合
材料(2人分)
作り方
豚バラ肉は塊のまま水から入れ、生姜・長ねぎの青い部分・黄酒を加えて中火で30分茹でる。竹串がすっと通るまで火を通す。
茹で上がった肉を取り出し、皮の面に数カ所フォークで穴を開け、熱いうちに老抽を全体に塗って色をつけ、5分ほど風乾させる。
揚げ油を180℃に熱し、皮を下にして肉を入れ、蓋をして油はねを防ぎながら皮が濃い飴色になるまで5〜6分揚げる。
揚げた肉はすぐに氷水(または茹で汁)に浸し、皮に「虎皮」状のシワが寄るまで冷やす。
梅干菜は水に15分浸して砂を落とし、水気を絞って粗く刻む。
フライパンに油を熱し、梅干菜を中火で水分が飛ぶまで炒め、生抽・砂糖・塩を加えて味を調える。
冷えた豚肉を厚さ0.5cmほどの薄切りにし、皮を下にして器の底に並べる。
肉の上に炒めた梅干菜を敷き詰め、腐乳汁を回しかける。
蒸し器に入れ、強火で50分蒸す。
蒸し上がったら大きめの皿を器にかぶせ、手早くひっくり返して盛り付ける。
本場と日本の違い
- 揚げ工程の有無:本場は必ず豚バラ肉を一度揚げて皮に「虎皮」状のシワを作り、独特の食感を出す。日本の中華料理店では茹でるだけで揚げ工程を省略することも多い。
- 梅菜の質:本場は恵州産など産地にこだわった梅干菜を使うが、日本では入手できる梅干菜の種類が限られ、風味に差が出やすい。
- 調味料の重ね方:本場は腐乳汁・生抽・老抽・砂糖を組み合わせて複雑な旨味を作るが、日本式では市販の合わせだれで簡易的に味付けされることがある。
- 「扣」の技法:本場は器に肉と梅菜を伏せて詰めてから蒸し、最後に皿へひっくり返す「扣」の技法が名前の由来にもなっているが、日本ではそのまま盛り付けられることも多い。
- 脂身の量:本場は肥瘦相間(赤身と脂身が層になった)の五花肉を使い脂身の甘みを楽しむ料理だが、日本では脂身を控えめにした部位でアレンジされることがある。
参考ページ(写真)
百度百科「梅菜扣肉」の詞条ページに、豚バラ肉を煮る・揚げる・蒸す各工程の写真が51枚掲載されています。 https://baike.baidu.com/item/%E6%A2%85%E8%8F%9C%E6%89%A3%E8%82%89/347632
代用可能な食材
- 梅干菜:入手困難な場合、干し高菜の粗みじん切りで代用可(風味はやや異なる)
- 豆腐乳・腐乳:入手困難な場合、味噌小さじ1+砂糖ひとつまみ(約0.5g)で代用可
- 老抽:入手困難な場合、生抽に濃口醤油を少量足して代用可
保存・アレンジのコツ
- 蒸す前の状態(肉と梅菜を器に詰めた状態)で冷凍保存が可能。食べる際は凍ったまま蒸し時間を15分ほど延長する
- 余った煮汁は次回の煮込み料理の下地として再利用できる
- 辛いものが好みなら、梅干菜を炒める際に刻んだ唐辛子を少量加えると風味にアクセントが出る
出典
- 梅菜扣肉(广东客家菜) 百度百科(起源・歴史(梅仙女伝説)、複数レシピの配合クロスチェック、参考写真ページ)
- 美食天下「梅菜扣肉」线线3896(梅干菜の分量・蒸し時間のクロスチェック)
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。