安徽料理・徽菜毛豆腐

毛豆腐レシピ本場安徽・黄山の配合を徹底解説

白い菌糸に覆われた角切り豆腐に焼き色がつき、小皿の唐辛子だれを添えた皿の毛豆腐のイラスト
地域
徽菜(安徽・黄山)
分量
2人分
公開

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「豆腐に、あえてカビを生やす」——そう聞いて眉をひそめた人ほど、実際に食べると驚くのが安徽省黄山(徽州)の名物・毛豆腐だ。表面をびっしりと覆う白い産毛のような毛の正体は「毛霉菌」というカビの菌糸で、これが大豆のタンパク質を分解してアミノ酸を作り出す。揚げ焼きにすると外はカリッと、中はとろりとした独特のうま味が生まれる、徽菜(安徽料理)を代表する一皿だ。

この毛豆腐の誕生には、明の太祖・朱元璋にまつわる伝説が語り継がれている。よく知られるのは、貧しかった若き日の朱元璋が雇い主の家で隠されていた豆腐を見つけたところすでに白い毛が生えており、もったいないので油で炒めて食べてみたら意外にも美味しかった、というエピソード。もう一つ、後に皇帝となった朱元璋が戦に敗れて徽州付近の廃寺に逃げ込んだ際、腹を空かせた部下が寺で見つけた変質した豆腐を炭火で焼いて差し出したところ大いに気に入り、天下統一後にわざわざ軍の料理人に作らせて兵士に振る舞った、という説もある。ただし学術的には、この料理が文献に登場するのは明の万暦年間(16世紀後半)で、進士・李日華の随筆に「黟県の人々は夏から秋にかけて豆腐を醸し、色が変わって毛が生えたら拭き取って食べるのを好む」という記述が最古とされ、朱元璋の逸話は後世の創作という見方も強い。

真偽はともあれ、山がちで川魚も畑も限られる徽州で、大豆と発酵の力を使って保存食と滋養を両立させた庶民の知恵であることは間違いない。ただし本場の発酵毛豆腐は日本ではまず入手できず、同じカビを家庭で安全に育てるのも極めてハードルが高い。ここから先は、複数の中国語レシピを比較して割り出した、日本の家庭でも作れる代用版の配合と手順を公開する。

本場式の配合

材料(2人分)

  • 毛豆腐本場の発酵豆腐。入手困難なため木綿豆腐で代用300g
  • 豆板醤15g(大さじ1)
  • 生抽15ml(大さじ1)
  • 老抽5ml(小さじ1)
  • 生姜(薄切り)8g
  • 長ねぎ(ぶつ切り)10g
  • 乾燥唐辛子(丸ごと、種を軽く取る)5g(2〜3本)
  • にんにく(みじん切り)8g
  • 砂糖3g(小さじ1弱)
  • 食用油(揚げ焼き用)45ml(大さじ3)
  • 水200ml

作り方

  1. 毛豆腐(または代用の木綿豆腐)はしっかり水切りし、1個あたり5cm角程度の食べやすい大きさに切って、キッチンペーパーで表面の水気を拭き取る。

  2. フライパンに食用油45mlを中火で熱し、豆腐の全面をこんがりと色づくまで揚げ焼きにする(各面2〜3分ずつ)。焼き色がついたら一度取り出す。

  3. フライパンの油を大さじ1ほど残し、にんにく・生姜・長ねぎ・乾燥唐辛子を弱火でじっくり炒めて香りを立たせる。

  4. 豆板醤を加えて炒め、赤い油(紅油)を引き出す。

  5. 生抽・老抽・砂糖を加えて混ぜ合わせ、水200mlを注いで沸騰させる。

  6. 焼いた豆腐を鍋に戻し入れ、中火〜弱火で8〜10分煮て味を含ませる。

  7. 最後に強火にして汁気を軽く煮詰め、とろみがついたら火を止めて器に盛る。

本場と日本の違い

  • 本場の毛豆腐は毛霉菌を接種し、17〜18℃・湿度90%前後の環境で数日から数週間かけて発酵させたもの。表面の白い毛の下でアミノ酸が豊富に生成され、独特の風味とねっとりした食感が生まれる。この工程は温度・湿度の管理が難しく衛生的なリスクも伴うため、日本の家庭で同じものを再現するのは現実的ではない。
  • 本場の毛豆腐自体にすでに強い発酵の風味があるため、味付けはシンプルでも十分美味しくなる。今回の代用レシピでは、豆板醤の香りと揚げ焼きの香ばしさでその厚みを補っている。
  • 「油で揚げ焼きにしてから醤油ベースのたれで煮る」という調理の型自体は、発酵させていない普通の豆腐でも問題なく再現できる。複数のレシピで共通して確認できた手順である。

参考ページ(写真)

下厨房の「红烧毛豆腐」レシピページに、豆腐を揚げ焼きにしてから煮詰めるまでの手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/254228/

代用可能な食材

  • 毛豆腐→木綿豆腐(しっかり水切りしてから揚げ焼きにすると、発酵豆腐に近い香ばしさと食感が出せる)。発酵由来の風味そのものは再現できないため、豆豉を5g程度刻んで豆板醤と一緒に炒めると、コクと発酵香をわずかに補える。
  • 乾燥唐辛子→鷹の爪や一味唐辛子で代用可
  • 豆板醤→一般的な豆板醤で問題なく代用可(本レシピの分量は市販の一般的な豆板醤を前提としている)

保存・アレンジのコツ

  • 煮詰めたあとの状態なら冷蔵で2〜3日保存可能。食べる直前に温め直すと味がなじんでより美味しい。
  • 辛さを強めたい場合は、仕上げに花椒1g程度を効かせると本場らしい風味に近づく。
  • 仕上げに小ねぎやパクチーを散らすと彩りと香りが加わる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。