安徽料理・徽菜徽州刀板香
徽州刀板香レシピ本場安徽の配合を徹底解説

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安徽省黄山市、かつての徽州府・歙県に伝わる刀板香。塩漬けにした豚肉をタケノコと一緒に蒸し上げ、まな板(刀板)に盛りつけて食卓に出すこの料理には、明代の武将にまつわる有名な逸話が残っている。
主人公は兵部尚書(国防大臣に相当する官職)を務めた胡宗憲。倭寇(日本の海賊)討伐で名を馳せた歙県出身のこの武将が、久しぶりに故郷へ帰り、かつての恩師を訪ねたときのことだという。恩師の妻(師母)は急な来客をもてなすため、家にあった塩漬け豚肉を山でとれたタケノコの上に平らに並べ、まな板ごと蒸籠に入れて蒸し上げた。蒸し上がった肉を薄く切り分けたとき、刀・まな板・肉・タケノコの四つの香りが同時に立ちのぼり、居合わせた人々を驚かせたという。この逸話にちなんで「刀板香(まな板が香る)」という名がついたと伝えられている。
蒸すときに使う板そのものにも意味がある。上質な樟(クスノキ)の木の板を使うことで、蒸気にクスノキの清涼な香りが移り、余分な脂は木の板に吸い取られる。「塩漬け肉の鹹香、木の板の芳香、タケノコの清香」という三つの香りが揃って初めて本物の刀板香になる、と地元では語り継がれている。近年では徽州料理を代表するブランド料理として、専門のチェーン店が全国に展開されるまでになった。
ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。
本場式の配合
材料(2人分・目安)
メイン
- 塩漬け豚バラ肉咸肉。なければベーコンブロックで代用300g
- 筍皮付きの生タケノコ、または水煮タケノコ400g
香り・仕上げ
- 長ねぎ小口切り、飾り用5g
- 竹の葉または笹の葉あれば。蒸すときに肉の下に敷く1〜2枚
- 蒸し皿として、木製のまな板や木の板(あれば樟の木)1枚
作り方
下ごしらえ。塩漬け豚肉は表面の塩やほこりを軽く洗い流す。筍は皮付きのまま使う場合は先端を斜めに切り落とす。
一緒に下茹でする。鍋にたっぷりの水を沸かし、塩漬け豚肉と皮付きの筍を一緒に入れる。肉に8割ほど火が通ったら(竹串がすっと通る程度)、肉だけを取り出す。
筍だけをじっくり煮る。筍は鍋に残したまま弱火にし、2時間以上かけてじっくり煮る。皮付きの場合はここで皮をむき、食べやすい大きさに切り分ける。
肉を温め直す。筍を煮た鍋(筍のゆで汁)に、取り出しておいた豚肉をもう一度戻し入れて温め直す。
薄切りにする。肉が温まったら取り出し、熱いうちに5mm厚さに薄く切る。
盛りつけて蒸す。木の板(またはまな板・蒸し皿)に竹の葉を敷き、その上に薄切りにした豚肉と筍を交互に並べる。蒸気の上がった蒸し器に入れ、5〜6分蒸す。
仕上げ。長ねぎの小口切りを散らして、板ごと食卓に出す。肉の脂とタケノコの香りが合わさった湯気を楽しみながら取り分ける。
本場と日本の違い
- 「板」自体が調理器具であり演出でもある。 木の板に盛って蒸すことで、木の香りが肉に移り、余分な脂が板に吸われて油っぽさが和らぐ。皿に盛って蒸す一般的な蒸し料理とは、この一点が決定的に違う。
- 味付けはほぼ「塩漬け肉の塩気」だけ。 醤油やその他の調味料をほとんど加えず、塩漬け肉自体の塩気とタケノコの甘みだけで完成させる。日本の角煮のように醤油や砂糖で濃く味付けする料理とは方向性がまったく異なる。
- タケノコは「付け合わせ」ではなく主役級。 皮付きのまま長時間煮込んだタケノコは、肉の脂を吸って香り高く仕上がる。刀板香は肉料理でありながら、タケノコの存在感が味の決め手になっている。
- 名前の由来が具体的な歴史人物に結びついている。 明代の武将・胡宗憲の逸話に基づく命名で、単なる調理法の説明ではなく、来客をもてなすための即興料理として生まれたという物語性が料理の価値を支えている。
- 薄切りにするタイミングが重要。 肉は完全に冷めてから切るのではなく、温かいうちに薄く切ることで、切り口から脂と香りが立ちやすくなる。
参考ページ(写真)
下厨房の「刀板香:这块安徽最有名的肉,非常美颜!」レシピページには、豚肉と筍を一緒に茹でる工程から木の板に盛り付けて蒸すまでの手順写真が掲載されている。 https://m.xiachufang.com/recipe/103016718/
代用可能な食材
- 咸肉(塩漬け豚肉)→豚バラブロック300gを塩大さじ2ですり込み、冷蔵庫で2〜3日置いた自家製塩漬け肉で代用可
- 春筍(生タケノコ)→水煮タケノコ400g、または乾燥筍干(干しタケノコ)40gを水で戻したもの
- 樟の木の板→耐熱の木製プレート、または蒸し皿に笹の葉を敷いたもので代用可
- 竹の葉→クッキングシートで代用可(香りは劣るが焦げつき防止の役割は果たせる)
保存・アレンジのコツ
- 咸肉は冷蔵で1週間ほど日持ちするため、多めに仕込んでおいて必要な分だけ切り出して使うと便利。
- タケノコの煮汁は旨みが強く出ているため、捨てずにスープや炊き込みご飯の出汁として活用できる。
- 現地では地衣(岩に生える食用地衣類)や里芋と一緒に蒸すアレンジも人気で、素材を変えつつ「肉と山の幸を一緒に蒸す」骨格は共通している。
出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。