安徽料理・徽菜黄山烧饼

黄山焼餅(蟹殻黄)レシピ本場安徽・黄山の配合を徹底解説

白ごまをのせた丸い焼餅を皿に並べ、割った一つから梅干菜と豚肉の黒っぽい餡がのぞく黄山焼餅のイラスト
地域
徽菜(安徽・黄山)
分量
10個分
公開

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手のひらに収まる小さな焼餅なのに、かじると何十層もの薄い生地がパリパリとはがれ、中から梅干菜(からし菜の干し漬物)と豚の脂の香りがあふれ出す。安徽省南部・黄山のご当地焼餅だ。

別名は「蟹殻黄」。丸く平たい形がカニの甲羅に、焼き色がカニみその黄色に似ていることからそう呼ばれる。さらにこの焼餅には、皇帝にまつわる名前が二つもある。料理サイト香哈網が紹介する伝承では、1357年、朱元璋(のちの明の初代皇帝)の軍が徽州の覆船山に駐屯した際、地元の僧が行軍の携行食としてこの焼餅を作ったという。明を建てた朱元璋はその功を忘れず「救駕焼餅(皇帝を救った焼餅)」と名づけた。後には乾隆帝が江南巡幸の折に食べて気に入り、「皇印焼餅」の名を授けたとも伝えられる。いずれも伝承の域を出ないが、それだけ土地の誇りを背負ってきた焼餅だということだろう。

伝統的な作り方では、菜種油を塗り重ねて層を作った生地で餡を包み、表面に飴糖(麦芽水飴)を塗ってごまを振り、炭火の炉の内壁に貼り付けて焼き上げる。ちなみに「蟹殻黄」の名は上海など江南一帯の焼餅にも使われていて、その発祥はいまだに謎とされている。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した、家庭のオーブンで作れる黄山焼餅の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(10個分)

水油皮(外側の生地)

  • 中力粉150g
  • 菜種油45g
  • ぬるま湯60ml
  • 水飴10g
  • ベーキングパウダー2g

油酥(層を作る油生地)

餡

  • 梅干菜(乾燥)60g
  • 豚の背脂または脂の多い豚バラ肉100g
  • 小ねぎ(小口切り)10g
  • 砂糖3g(小さじ1)
  • 粉唐辛子1g(小さじ1/2)
  • 塩1.5g(小さじ1/4)

仕上げ

  • 水飴10g
  • 水(水飴を溶く用)10ml
  • 白ごま10g

作り方

  1. 餡を作る。梅干菜はたっぷりの水に30分浸けて戻し、2〜3回水を替えて砂を洗い流す。固く絞って細かく刻む。豚の背脂は3mm角に切る。ボウルに梅干菜・背脂・小ねぎ10g・砂糖3g・粉唐辛子1g・塩1.5gを入れてよく混ぜ、10等分しておく。

  2. 水油皮を作る。ボウルに中力粉150g・ベーキングパウダー2gを入れ、菜種油45g・ぬるま湯60ml・水飴10gを加えて菜箸で混ぜ、なめらかになるまで手でこねる。ラップをかけて20〜30分休ませる。

  3. 油酥を作る。菜種油50gを小鍋で煙が出る手前まで熱し、中力粉100gを入れたボウルに注いで手早く混ぜる。とろりとしたペースト状になったら、完全に冷ます。

  4. 2の生地を台にのせ、麺棒で30×20cmほどの長方形にのばす。3の油酥を全体の2/3に塗り広げ、塗っていない1/3を折り重ね、さらに反対側を折って三つ折りにし、端を閉じる。

  5. 4を軽くのばして再び三つ折りにし、もう一度長方形にのばしてから、手前からきつく巻いて棒状にする。

  6. 5を10等分に切り分け、切り口を上にして手のひらで押しつぶし、直径9cmほどにのばす。1の餡を1/10量ずつのせ、周りの生地を寄せて包み、閉じ目をしっかりつまむ。

  7. 閉じ目を下にして手で押さえ、直径7〜8cm・厚さ1cmほどの平たい円形に整える。オーブンシートを敷いた天板に並べる。

  8. 仕上げ用の水飴10gを水10mlで溶き、7の表面に刷毛で塗って、白ごま10gを振る。

  9. 220℃に予熱したオーブンで20〜25分、表面がこんがりとカニの甲羅のような黄金色になるまで焼く。網に取って粗熱を取る。

本場と日本の違い

  • 焼き方:本場では木炭の炉の内壁に生地を貼り付けて焼く。熱が直接当たるため、焼き面が香ばしく、層がさらに薄くはぜる。家庭のオーブンでは高温・短時間で、できるだけ近い焼き上がりを目指す。
  • 日本で知られる中華菓子との違い:黄山焼餅は中華パイ(酥餅)の一種で、油酥を折り込んだ幾重もの層が特徴。日本でなじみのある甘い月餅やパイ菓子と違い、梅干菜と豚の脂の塩気が主役のおかず系だ。
  • 上海の蟹殻黄との違い:上海など江南の蟹殻黄は、発酵させた生地に油酥を合わせてふっくら丸く焼き上げ、餡と皮の間に空洞ができるのが特徴とされる。黄山焼餅は平たく焼き締め、梅干菜と豚脂の餡を詰めるのが定番だ。

参考ページ(写真)

下厨房の「黄山(屯溪)烧饼」レシピページに、油酥の折り込みから包み方、焼き上がりまでの手順写真が掲載されています。

(https://m.xiachufang.com/recipe/103288668/)

代用可能な食材

  • 梅干菜:中国食材店や通販で「梅干菜」「霉干菜」として売られている。手に入らなければ、高菜漬けを刻んで水気を固く絞ったもの(60gの乾燥梅干菜に対して150g)で代用可。その場合は塩を入れない
  • 豚の背脂:脂の多い豚バラ肉の粗みじん切りで代用可
  • 菜種油:サラダ油で代用可(本場の香ばしさはやや弱くなる)
  • 水飴:はちみつを同量の水で溶いたもので代用可

保存・アレンジのコツ

  • 焼き上がって完全に冷めたら、1個ずつラップして冷凍で1ヶ月保存できる。食べる時は凍ったままトースターで5〜6分焼くと、パリッとした食感が戻る
  • 本場でも餡に砂糖を効かせる甘め派と、粉唐辛子を効かせる辛口派がある。粉唐辛子を3gに増やせば辛口に、唐辛子を抜いて砂糖を6gにすれば甘めに仕上がる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。