広東料理・粤菜萝卜牛腩

蘿蔔牛腩(大根と牛バラの柱侯醤煮)レシピ本場広東の配合を徹底解説

土鍋に煮込んだ角切りの牛バラ肉と大根を盛り、青ねぎの小口切りをのせた蘿蔔牛腩のイラスト
地域
粤菜(広東・香港)
分量
4人分
公開

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香港や広州の麺店の店先で、大鍋の中でぐつぐつと煮えている牛バラ肉と大根。蘿蔔牛腩は、牛腩麺やご飯のせとしておなじみの、広東語圏の庶民の味です。

味の決め手は「柱侯醤(柱候醤とも書く)」という佛山生まれの醤です。中文版ウィキペディアや佛山の地元情報サイトによれば、清の嘉慶年間、佛山の祖廟の近くで牛雑(牛もつ)の屋台を出していた梁柱侯という料理人が、大豆の醤に独自の副材料を加えた合わせ醤で牛腩や牛雑を煮込み、評判を呼んだのが始まりとされます。梁柱侯はのちに料理店「三品楼」の料理長となり、その醤は彼の名を取って柱侯醤と呼ばれるようになりました。牛腩を煮た残り汁で鶏を煮たところ評判になり、そこから醤の配合が固まった、という話も伝わっています。つまり柱侯醤は、もともと牛腩を煮るために生まれた調味料なのです。

本サイトでは以前、トマトとじゃがいもで牛腩を煮る家庭料理「番茄土豆炖牛腩」を紹介しました。同じ牛腩の煮込みでも、あちらがトマトの酸味と甘みを生かすのに対し、蘿蔔牛腩は柱侯醤と南乳のコクに陳皮・八角の香りを重ね、最後に大根に煮汁を吸わせる、広東らしい「醤香」の一皿です。

ここから先は、中国語の複数レシピを比較して割り出した本場の配合と手順を公開します。

本場の配合

材料(4人分)

作り方

  1. 牛バラ肉は4cm角(麻雀牌くらい)に切る。鍋に牛肉とかぶるくらいの水を入れて強火にかけ、沸騰後3分ゆでてアクと血を抜き、流水で洗って水気を切る。

  2. 陳皮はぬるま湯に10分浸してやわらかくし、内側の白いわたを包丁でこそげ取る。八角・桂皮・香葉・白こしょうはお茶パックに入れる。

  3. 柱侯醤・南乳・ピーナッツバターを小さなボウルに合わせ、南乳をつぶしながらよく混ぜておく。

  4. 厚手の鍋にサラダ油15mlを中火で熱し、生姜と長ねぎを1分炒めて香りを出す。3の合わせ醤を加えて30秒炒め、焦がさないように香りを立たせる。

  5. 1の牛肉を加えて醤を全体にからめながら2分炒める。

  6. 香辛料のパック、陳皮、オイスターソース、老抽10ml、花雕酒30ml、氷砂糖25g、熱湯1200mlを加えて強火で沸騰させる。アクを取り、ふたをして弱火で2時間煮込む。

  7. 煮込んでいる間に大根の皮を厚めにむき、3〜4cmの乱切りにする。別鍋でたっぷりの水から5分下ゆでして、えぐみを抜く。

  8. 牛肉に竹串がすっと通るようになったら、香辛料のパックを取り出し、大根と塩3gを加えてさらに30分煮る。

  9. 最後にふたを外して中火で5分ほど煮詰め、煮汁にとろみとつやが出たら器に盛り、青ねぎを散らす。

本場と日本の違い

  • 牛腩の部位:広東・香港では、ろっ骨の間の肉で牛の風味が最も濃いとされる「坑腩」や、筋の多い「筋腩」を使い分ける。日本のスーパーの牛バラ(カルビ用)は脂が多いので、ブロックで買える場合は赤身の多いものを選ぶと本場の食感に近づく。
  • 醤の組み合わせ:本場の家庭レシピでは柱侯醤だけでなく、南乳(紅腐乳)とピーナッツペーストを合わせる配合がよく見られる。柱侯醤の甘じょっぱさに、南乳の発酵のコクとナッツの香ばしさが加わる。
  • 香辛料の使い方:陳皮・八角・桂皮・香葉などの香辛料は「ほのかに香る」程度に抑えるのが広東流。四川や湖南の煮込みのように香辛料や唐辛子を前面に出すことはしない。
  • 大根は後入れ:大根は最初から入れず、牛肉がやわらかくなってから加えて煮汁を吸わせる。煮崩れず、中まで醤の味がしみた大根が主役の一つになる。

参考ページ(写真)

美食天下の「牛腩萝卜」レシピページに、合わせ醤の準備から大根を加える仕上げまでの手順写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-45740.html)

代用可能な食材

  • 柱侯醤:中華食材店や通販で瓶入りが手に入る。入手できなければ、甜麺醤40g+赤味噌20g+すりおろしにんにく5gで近い風味になる
  • 南乳(紅腐乳):白い腐乳20g+赤味噌5gで代用可
  • 花雕酒:紹興酒や黄酒、なければ日本酒で代用可
  • 氷砂糖:同量の上白糖か三温糖で代用可
  • 牛バラ肉:牛すね肉でも作れる。すね肉の場合は煮込み時間を30分ほど長くする

保存・アレンジのコツ

  • 冷蔵で3日程度保存可能。ひと晩おくと大根に味がさらにしみておいしくなる。表面に固まった脂は取り除いてから温め直す
  • 大根を入れる前の段階(手順6まで)で小分けして冷凍しておくと、1ヶ月ほど保存できる。解凍して大根を加えて煮れば完成する
  • ゆでた中華麺や米粉(ビーフン)にのせて煮汁をかければ「牛腩麺」「牛腩米粉」に。ご飯にのせれば「牛腩飯」になる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。