ペルー中華(チーファ)Lomo saltado

ロモ・サルタードレシピペルー中華(チーファ)の配合を徹底解説

皿に牛肉と赤玉ねぎ、トマト、黄色い唐辛子の炒め物、白いご飯、フライドポテトを盛ったロモ・サルタードのイラスト
地域
ペルー中華(チーファ)
分量
2人分
公開

この記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みます。

ペルー料理の代表格として必ず名前が挙がるロモ・サルタード。牛肉・赤玉ねぎ・トマトを強火で炒め、醤油と酢で味をつけて、フライドポテトと白いご飯を添える——ひと皿に"炒め物とポテトとご飯"が同居する、なんとも不思議な料理です。

実はこの料理、中華料理そのものではありません。スペイン語版ウィキペディアによれば、19世紀末のペルーの料理書にはすでに「lomito de vaca(牛ヒレ肉の料理)」「lomito a la chorrillana」といった前身が見られ、ペルーの伝統的なクリオーヨ料理(スペイン系の在来料理)に根を持つ一皿です。ペルーの研究者グロリア・イノストローサによれば、牛がペルーに持ち込まれたのは1538年で、牛肉料理が庶民に広まるまでには長い時間がかかりました。

そこに決定的な変化をもたらしたのが、1849年から契約労働者(クーリー)としてペルーに渡った広東系の移民です。ペルー紙エル・コメルシオは、彼らが持ち込んだ中華鍋が、揚げ物中心だった料理を強火で"炒めて炎を上げる"料理へと変えたと解説しています。料理名の「サルタード(saltado)」は「炒めた」という意味(saltear=炒める。語源は"跳ねる")で、味の決め手はペルーで「シジャオ(sillao)」と呼ばれる醤油。つまりロモ・サルタードは、クリオーヨ料理と中華の炒め技法が出会って生まれた、ペルーならではの融合料理なのです。

ここから先は、ペルーのスペイン語レシピを比較して割り出した、ペルー式の配合と手順を解説します。

ペルー式の配合

材料(2人分)

牛肉と下味

  • 牛ロース肉またはもも肉のステーキ用。1cm幅×5cm長さの棒状に切る300g
  • にんにく(すりおろし)1片(5g)
  • 塩1.5g(小さじ1/4)
  • 黒こしょう0.5g(小さじ1/4)
  • クミンパウダー小さじ1/4(0.5g)

炒め用

  • サラダ油大さじ2(30ml)
  • ピスコ(ペルーのぶどう蒸留酒)大さじ1(15ml)
  • 赤玉ねぎ太めのくし切り8等分1個(150g)
  • アヒ・アマリージョペルーの黄唐辛子。種を除いて細切り1本(40g)
  • 赤ワインビネガー大さじ1と1/2(22ml)
  • トマト種を除いてくし切り8等分1個(150g)
  • 醤油大さじ2(36g)
  • パクチー(粗みじん切り)5g

付け合わせ

  • じゃがいも(メークインなど)1cm角の棒状に切る2個(300g)
  • 揚げ油500ml
  • 塩(ポテト用)1.5g(小さじ1/4)
  • 温かいご飯300g

作り方

  1. 牛肉ににんにく・塩1.5g・黒こしょう・クミンをもみ込み、10分置く。

  2. じゃがいもは水にさらして水気をよく拭き、160℃の揚げ油で5分揚げて取り出す。油を180℃に上げて2分二度揚げし、カリッとしたら塩1.5gをふる。

  3. 中華鍋(または大きめのフライパン)を強火で煙が出るまで熱し、サラダ油大さじ2を入れて牛肉を重ならないように広げる。1分触らずに焼き付けて焼き色をつけ、30秒あおるように炒める。

  4. 火を止めてピスコを鍋肌から回し入れ、再び強火にかけてアルコールを飛ばす(炎が上がることがあるので、顔を近づけず換気扇の火災に注意する)。

  5. 赤玉ねぎとアヒ・アマリージョを加え、赤ワインビネガー大さじ1と1/2を回し入れて強火で40秒炒める。玉ねぎは芯が少し残るくらいでよい。

  6. トマトと醤油大さじ2を加え、20〜30秒だけ炒め合わせる(トマトの形が崩れないうちに止める)。パクチーを散らして火を止める。

  7. 器に盛り、2のフライドポテトを上にのせるか添え、白いご飯を型抜きして横に盛る。鍋底の汁もご飯にかける。

本場と日本の違い

  • 中華料理ではなく"中華技法のペルー料理":ロモ・サルタードはペルーのクリオーヨ料理の前身(lomito de vaca など)に、広東系移民がもたらした中華鍋の強火炒めと醤油が組み合わさって現在の形になった料理。チーファ(ペルーの中華料理店)でも出されるが、ペルーの一般的な食堂や家庭料理の定番でもある。
  • 日本・中国の牛肉炒めとの違い:日本の中華料理店の牛肉とピーマンの炒め物(青椒肉絲)やオイスターソース炒めは、下味に片栗粉をまぶし、仕上げもとろみでまとめるのが基本。ロモ・サルタードは片栗粉もオイスターソースも使わず、醤油+酢のさらりとした汁を出し、その汁をご飯とポテトに吸わせて食べる。
  • 酢とアヒ・アマリージョが"ペルー側"の味:赤ワインビネガーの酸味と、フルーティーな黄唐辛子アヒ・アマリージョの香りは中華にはない要素。ピスコで香りをつけるのもペルーならでは。
  • ご飯とポテトの"炭水化物ダブル":付け合わせにご飯とフライドポテトの両方を添えるのがペルー流。日本の感覚では驚くが、汁を吸ったポテトこそがこの料理の醍醐味とされる。

参考ページ(写真)

Buenazo(ペルーのレシピメディア)のロモ・サルタードのレシピページに、手順写真と仕上がりの写真が掲載されています。

(https://buenazo.pe/recetas/platos-de-fondo/lomo-saltado-ingredientes-preparacion-61)

代用可能な食材

  • アヒ・アマリージョ:日本では冷凍品やペースト(瓶詰め)が輸入食材店・通販で手に入る。なければ黄パプリカ1/2個(60g)+青唐辛子1/2本で近づける
  • ピスコ:白ワインまたはブランデー大さじ1で代用可(省いてもよい)
  • 赤ワインビネガー:米酢大さじ1と1/2で代用可(酸味がややまろやかになる)
  • パクチー:苦手な場合はイタリアンパセリまたは青ねぎで代用可
  • フライドポテト:市販の冷凍フライドポテト300gを表示どおり揚げてもよい

保存・アレンジのコツ

  • 炒め物は作りたてが一番。残った場合は冷蔵で翌日までに食べきる
  • 残ったロモ・サルタードは、ペルーでは豆ご飯を焼き固めた「タクタク」にのせて食べることもある。ご飯と混ぜて焼きめしにしてもよい
  • 牛肉を鶏もも肉に替えると「ポジョ・サルタード(pollo saltado)」になる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。