北京天津料理・京津菜老北京炸酱面

老北京ジャージャー麺レシピ本場北京の配合を徹底解説

麺に黒い肉味噌をのせ、きゅうりやもやしなど細切りの具を添えた白い器の老北京ジャージャー麺のイラスト
地域
京津(北京・天津)
分量
2人分
公開

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「炸酱面虽只一小碗,七碟八碗是面码儿」——北京の年配の人々の間で語り継がれてきた言い回しです。小さな一杯の麺に対して、実に7〜8皿もの副菜(面码儿・小碼儿)を彩りよく並べて楽しむのが本場流だと知ったら、驚く方も多いのではないでしょうか。

老北京炸酱面のルーツは、清代に北京・東四隆福寺街にあった隆盛飯店(通称「灶温」)が作っていた「凉烂肉面」に遡るとされます。豚肉を醤で煮込んだ卤(ルー)に黄花菜やキクラゲを加え、麺を井戸水で三度冷やして食べる料理だったといい、そこから今の炸酱面へと変化していったと伝えられています。庶民の食卓に本格的に定着したのは意外にも新しく、1959〜61年の食糧難が明けた1960年代、小麦粉の供給がようやく安定してからのこと。北京っ子にとって炸酱面は「ようやく白い麺を心置きなく食べられるようになった」豊かさの象徴でもあったのです。

日本でも「ジャージャー麺」として親しまれていますが、実は本場のものとはかなり別物。豆板醤ベースの甘辛い肉味噌をイメージする方が多いはずですが、本場・北京の炸酱は塩気の強い黄醤(黄豆醤)が主役で、甜面醤はあくまで香り付けの脇役。副菜の数も味の設計思想も、想像以上に違います。

ここから先は、実際に中国語の複数レシピを比較して割り出した、本場の分量と手順を解説します。

老北京ジャージャー麺の本場式配合

材料(2人分)

炸酱(肉味噌)

  • 豚バラ肉皮なし、5mm角の粗みじん切り150g
  • 黄醤黄豆醤。手に入らなければ代用可食材の項を参照60g
  • 甜面醤(テンメンジャン)30g
  • 黄酒(醤を溶きのばす用)45ml
  • サラダ油大さじ1(12g)
  • 長ねぎ(みじん切り)30g
  • 生姜(みじん切り)10g
  • にんにく(みじん切り)1片(5g)
  • 砂糖小さじ1(5g)
  • ごま油(仕上げ用)小さじ1(5g)

麺・面码儿(小碼儿・お好みで7〜8種)

  • 中華生麺(できれば太めの手打ち風)300g
  • きゅうり(細切り)60g
  • 大根またはラディッシュ(細切り)40g
  • にんじん(細切り、さっと下茹で)30g
  • もやし(さっと下茹で)40g
  • 白菜(細切り、さっと下茹で)30g
  • セロリ(みじん切り、さっと下茹で)20g
  • 青ねぎの青い部分(小口切り)10g
  • 茹で枝豆(さやから出したもの)20g

作り方

  1. フライパンにサラダ油大さじ1を中火で熱し、豚バラ肉を入れて脂が透き通り軽く色づくまで5分ほどじっくり炒める。

  2. その間に、黄醤と甜面醤を黄酒45mlで溶きのばしておく(北京では「醤を卸す」と呼ばれる下ごしらえ)。

  3. 1に生姜・にんにくのみじん切りを加えて香りが立つまで30秒炒め、2の溶いた醤を加える。

  4. 弱火にして醤がふつふつと煮立つ状態を保ちながら10〜12分、絶えず混ぜつつ、油が醤の表面に浮いてくるまでじっくり煮詰める(焦げやすいので目を離さない)。

  5. 長ねぎのみじん切りと砂糖を加えてさらに1分混ぜ、火を止めてごま油を回しかける。

  6. もやし・にんじん・白菜・セロリ・枝豆はそれぞれさっと熱湯にくぐらせて冷水にとり、水気をしっかり切る。きゅうり・大根は生のまま細切りにする。

  7. 麺を表示時間通りに茹で、流水でぬめりを取って器に盛る。5の炸酱をたっぷりのせ、6の面码儿を彩りよく盛り付ける。よく混ぜてから食べる。

本場と日本の違い

  • 日本の「ジャージャー麺」は豆板醤や甜麺醤主体で甘辛い味付けが多いが、本場・北京の炸酱面は塩気の強い黄醤(黄豆醤)が主役で、甜面醤は香り付け程度。全体的に「甘さ控えめでコクのある塩味」が本来の姿。
  • 本場では面码儿(小碼儿)を7〜8種類、彩りよく別皿で用意し、各自好きなだけのせて混ぜるのが正式なスタイル。日本の一般的なジャージャー麺はきゅうり1種類程度にとどまることが多い。
  • 本場の炸酱は肉と醤をじっくり10分以上煮詰め、「油が醤の表面に浮く」状態まで仕上げるのが良しとされる。日本版は肉味噌をさっと炒め合わせる程度で仕上げることが多く、コクの出方が異なる。
  • 麺は本場では手打ちの太めの「抻面」や「切面」が主流でコシと小麦の香りを楽しむが、日本では中華生麺や中太麺で代用されることが多い。

参考ページ(写真)

下厨房の「老北京炸酱面」レシピページに手順写真が掲載されています。 https://m.xiachufang.com/recipe/103910564/

代用可能な食材

  • 黄醤が手に入らない場合は、八丁味噌大さじ2+甜面醤大さじ1を混ぜたもので近い風味に代用できる。
  • 五花肉(豚バラ)が無ければ、豚こま切れ肉や豚ひき肉でも代用可(脂身が少なければサラダ油を少し足す)。
  • 心里美萝卜(紅芯大根)など特殊な野菜が無ければ、ラディッシュや貝割れ大根で代用できる。

保存・アレンジのコツ

  • 炸酱は多めに作って清潔な瓶に入れれば冷蔵で1週間ほど保存可能。ご飯や冷奴にかけても美味しい。
  • 面码儿は数種類を冷凍の茹で野菜ミックスで代用すれば、忙しい日でも準備の手間を減らせる。

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。