爆肚(北京式ゆで胃袋)レシピ本場北京の配合を徹底解説

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加熱時間は、わずか数秒。北京の爆肚(バオドゥ)は、細切りにした羊や牛の胃袋を煮えたぎる湯にくぐらせ、引き上げた瞬間にごまだれで食べる小吃だ。「爆」は強火で一気に火を通すことを指し、羊の胃袋なら散丹は5秒、肚板は7秒、肚領や蘑菇は8秒と、部位によって秒単位で湯通しの時間が決まっている。数秒長すぎるだけで、胃袋は縮んで硬くなり、歯切れのよさが失われてしまう。
爆肚は清の乾隆年間にはすでに記録があるとされ、漢代の文献に見える「瀹腹(ゆでた胃袋)」をその原型とみる専門家もいる。北京では回族が営む店が多く、爆肚馮・爆肚楊・爆肚石・爆肚満などの老舗が名を連ねた。爆肚馮は清の光緒年間、山東・陵県出身の馮立山が後門橋で始めた店と伝わる。京劇の梅蘭芳や馬連良も贔屓にし、作家の梁実秋は留学から帰国した日、荷物を駅に預けたまま爆肚を食べに走り、「生涯でいちばん痛快な食事、五十年たっても忘れられない」と書き残した。老北京には「要吃秋,有爆肚(秋を食べるなら爆肚)」という言い回しもあり、立秋を過ぎると爆肚を食べる習わしがあった。
面白いのは部位の細かさだ。羊の胃袋だけで、肚仁・肚領・散丹・蘑菇・葫蘆・食信など9つに分けられ、いちばん柔らかい肚仁は普通の部位の2〜3倍の値がつく。客は部位を指定して注文し、それぞれの歯ざわりを食べ比べる。
京津(北京)の小吃の中でも、素材と火加減だけで勝負する潔い一皿。日本の焼肉店のセンマイ刺しとは、火の入れ方もたれもまったく違う。ここから先は、中国語の複数の配合を比較して割り出した、本場のごまだれと湯通しの手順を公開する。
本場の配合
材料(2人分)
胃袋
- 牛センマイ(白センマイ・ボイル済み)300g
- 湯通し用の湯2000ml
ごまだれ
薬味
- 辣椒油10ml
- にんにく(すりおろし)5g
- 水(にんにく汁用)5ml
- 長ねぎ(みじん切り)15g
- 香菜(ざく切り)20g
作り方
センマイを流水で洗い、ひだの間に残った汚れを指で落とす。水気を拭き、幅7mm・長さ6cmほどの細切りにする。
ごまだれを作る。ボウルに芝麻醤40gを入れ、水30mlを小さじ1ずつ加えながら、そのつどよく混ぜてヨーグルト状にのばす。一度に水を入れると分離するので少しずつ加える。
腐乳10gをスプーンの背でつぶし、腐乳の汁10mlと混ぜてから2に加える。生抽10ml・陳醋15ml・韭菜花10g・蝦油5mlも加えてなめらかになるまで混ぜ、小鉢2つに分ける。
にんにく5gに水5mlを加えてにんにく汁を作る。3の小鉢それぞれに、辣椒油5ml・にんにく汁5ml・長ねぎ7g・香菜10gをのせる。
大きめの鍋に湯2000mlを沸かし、強火で沸騰を保つ。センマイの半量を網じゃくしに入れて湯に沈め、8秒で引き上げる。ひだの縁が少し縮れれば火が通った合図。牛のセンマイは羊の散丹より厚みがあるため、散丹の5秒より少し長くしている。
湯をよく切ってすぐに皿に盛り、ごまだれにつけて熱いうちに食べる。湯が再び沸騰してから残りの半量も同じように湯通しする。
本場と日本の違い
- ゆで時間は「秒」で数える。 本場の老舗では、散丹(羊のセンマイ)は5秒、肚板は7秒、肚領・葫芦・蘑菇は8秒と部位ごとに時間が決まっている。家庭向けの牛センマイのレシピでも、8〜10秒で引き上げるものが多い。日本の焼肉店のセンマイ刺しのようにゆでて冷ますのではなく、湯通しした直後の温かいうちに食べる。
- たれは芝麻醤をベースにした複合だれ。 醤油・酢・芝麻醤・腐乳・蝦油・韭菜花を合わせ、ねぎ・香菜・にんにく汁・ラー油をのせるのが北京の定番。老舗の中には数十種類の材料でたれを仕込む店もある。一方で、羊の胃袋の香りを隠さないよう腐乳や韭菜花を入れず、芝麻醤・ごま油・醤油・米酢に薬味だけを合わせる流儀もあり、配合は店ごとに諸説ある。
- 羊の胃袋が本流。 北京の爆肚は羊の胃袋を9つの部位に、牛の胃袋を肚仁・百葉・百葉尖・厚頭の4つの部位に分けて出す。日本で手に入りやすいのは牛のセンマイ(百葉)で、これは本場でも定番の部位。
- 「爆」でも油は使わない。 北京の爆肚は沸騰した湯にくぐらせる「水爆肚」で、同じ「爆」の字でも油で炒める料理ではない。工程がシンプルなぶん、鮮度と火加減で差がつく。
参考ページ(写真)
牛頓百科の「爆肚」のページに、盛りつけた爆肚とごまだれの写真が掲載されています。
(https://www.newton.com.tw/wiki/爆肚)
代用可能な食材
- 白センマイ:黒センマイ(皮付き)を使う場合は、塩と酢でもみ洗いしてから一度さっとゆで、黒い皮をこすり落としてから同じように湯通しする
- 芝麻醤:日本の白練りごまで代用可
- 腐乳:白味噌10gで代用可(発酵香は弱くなる)
- 韭菜花:刻んだニラ10gに塩0.5gを混ぜたもので代用可(風味は異なる)
- 蝦油:ナンプラーで代用可
- 陳醋:黒酢で代用可
保存・アレンジのコツ
- ごまだれは冷蔵で3日保存できる。使う前に水を小さじ1ほど足して混ぜ直すと、なめらかさが戻る
- 湯通ししたセンマイは時間がたつと硬くなるので、作り置きせず食べる分ずつ湯通しする
- 牛のミノ(第一胃)を細切りにして一緒に湯通しすると、センマイとの歯ざわりの違いを食べ比べられる。ミノは厚みがあるので、湯通しの時間をセンマイより2〜3秒長くする
出典
- 維基百科「爆肚」
- 牛頓百科「爆肚」
- 牛頓百科「爆肚馮」
- 牛頓百科「水爆肚」
- 牛頓百科「北京爆肚」
- 北京旅游网 何大斉「老北京爆肚儿:技艺有三绝」
- 新京報「好吃|寻味“尖叫菜”之爆肚,北京小吃中的“讲究菜”」
- 北京旅游网「北京必吃美食:爆肚儿」
- 下厨房「老北京特色~水爆肚 by 娜娜食堂」レシピ
- 下厨房「老北京水爆肚 by 楠木的木」レシピ
- 下厨房「爆肚、涮肉必备芝麻酱小料 by 元蔚君」レシピ
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。