北京天津料理・京津菜锅巴菜

鍋巴菜(天津式煎餅のあんかけ)レシピ本場天津の配合を徹底解説

細長く切った緑がかった煎餅に茶色いとろみ汁をかけ、香菜をたっぷりのせた鍋巴菜のイラスト
地域
京津(天津)
分量
2人分
公開

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「鍋巴」と聞くと、中華料理のおこげを思い浮かべる人が多いはずだ。ところが天津の朝の定番「鍋巴菜」に、ご飯のおこげは一粒も入っていない。正体は、緑豆の粉で焼いた薄いクレープを柳の葉の形に切り、茶色いとろみ汁(卤)に浮かべ、ごまだれ・腐乳・ラー油・香菜をのせたもの。地元では「嘎巴菜(ガーバーツァイ)」と呼ばれる。

名前の由来として有名なのが、老舗「大福来」の伝承だ。清の乾隆帝が南巡の途中で天津の煎餅屋に立ち寄った際、店主の郭八が煎餅をちぎって碗に入れ、ごま油と塩と香菜を加えて熱湯を注いで出した。料理名を尋ねられた店主が自分の名「郭八」を答えたところ、皇帝が「鍋巴(グオバー)」と聞き違えて「鍋巴菜」と名付けた――という話で、店の創業を乾隆22年(1757年)とするが、光緒年間の創始とする記事もあり、あくまで伝説の域を出ない。大福来の鍋巴菜製作技芸は、2009年に天津市の無形文化遺産に登録されている。

本サイトで紹介した「煎餅果子」とは実は兄弟の関係にある。どちらも百年余り前に山東から伝わった煎餅が天津で改良されたものとされ、同じ緑豆の生地を、卵と揚げ生地で巻けば煎餅果子、刻んで卤に浸せば鍋巴菜になる。天津人は、これに芝麻焼餅を添えて朝食にするのが定番だ。

ここから先は、中国語の複数の資料・レシピを比較して割り出した、家庭で作れる本場の配合と手順を公開する。

本場の配合

材料(2人分)

鍋巴(緑豆の煎餅)直径24cm×4枚分

  • 緑豆粉60g
  • 上新粉(米粉)40g
  • 水150ml
  • サラダ油(焼き用)5ml

卤(とろみ汁)

  • サラダ油15ml
  • 香菜の根3株分(6g)
  • 八角1個(2g)
  • 生姜(みじん切り)5g
  • 醤油20ml
  • 十三香1g
  • 水600ml
  • 豆腐干(香干。薄切り)50g
  • 塩2g(小さじ1/3程度)
  • 片栗粉25g
  • 水(片栗粉用)50ml
  • ごま油5ml

小料(トッピング)

作り方

  1. 鍋巴を作る。緑豆粉と上新粉を混ぜ、水150mlを少しずつ加えてだまのない生地にし、15分おく。

  2. フライパン(直径24cm前後)を中火で温め、キッチンペーパーでサラダ油を薄くのばす。弱火にして生地の1/4量を流し入れ、フライパンを回して薄く広げる。縁が浮いてきたら裏返し、さらに1分焼く。同様にして計4枚焼く。

  3. 焼いた煎餅は網にのせて30分ほど置き、表面を乾かして少しこわばらせる(本場ではこの「乾いた煎餅」を鍋巴と呼ぶ)。4枚を重ねて半分に切り、さらに幅1.5cmの斜め切りにして柳の葉形にする。

  4. 小料を用意する。芝麻醤に水20mlを少しずつ加えて混ぜ、とろりとのばす。腐乳はつぶして漬け汁10mlと水10mlでのばす。

  5. 卤を作る。鍋にサラダ油15mlを中火で熱し、香菜の根・八角・生姜を入れて30秒ほど炒め、香りを立たせる(香菜の根で炝鍋するのが天津の老舗の流儀)。

  6. 醤油20mlを鍋肌から加えて香ばしさを出し、水600ml・十三香・豆腐干・塩2gを加える。沸騰したら中弱火で5分煮て、香菜の根と八角を取り出す。

  7. 片栗粉25gを水50mlで溶き、鍋をかき混ぜながら少しずつ回し入れる。再び沸騰して、透明で重たいとろみがつくまで1分ほど煮る。火を止めてごま油5mlを加える。

  8. 碗に3の鍋巴を半量ずつ入れ、熱い卤を注いで軽く混ぜ、1分おいて鍋巴を柔らかくする。

  9. 芝麻醤だれ・腐乳だれ・辣椒油・香菜の順にのせ、全体を混ぜながら食べる。

本場と日本の違い

  • 「おこげ」ではない:日本で「鍋巴」といえば米のおこげ(おこげ料理)だが、天津の鍋巴菜の鍋巴は緑豆の煎餅を乾かしたもの。サクサク感ではなく、卤を吸ったもちっとした柔らかさを楽しむ。
  • 煎餅果子との違い:生地はほぼ同じ緑豆主体だが、煎餅果子は焼きたての生地に卵を落として甜面醤・腐乳・馃箅儿と巻いて食べる「手で持つ朝食」。鍋巴菜は生地を刻んでとろみ汁に浸す「碗で食べる朝食」で、卵も揚げ生地も使わない。
  • 卤は「素」:老舗の卤は肉を使わず、八角・香菜の根・醤油・香辛料だけで香りを出し、豆腐干を煮含めたものを添える。日本の中華あんかけのように鶏がらスープのうま味で押す味ではなく、香辛料と発酵調味料(腐乳・芝麻醤)の重なりで食べさせる。
  • 4種の小料は欠かせない:芝麻醤・腐乳・辣椒油・香菜の4つは「どれか一つ欠けても鍋巴菜にならない」とされる。日本のあんかけ料理のように仕上げを省略しないのが本場流。

参考ページ(写真)

美食天下の「天津卫嘎巴菜(锅巴菜)」レシピページに、煎餅を乾かして切る工程から小料をのせた仕上がりまでの写真が掲載されています。

(https://home.meishichina.com/recipe-191470.html)

代用可能な食材

  • 緑豆粉:中華食材店の「绿豆面」、韓国食材店の緑豆粉(녹두가루)が使える。入手できなければ、皮なし緑豆(脱皮緑豆)をミルで挽いてふるったもので代用可
  • 上新粉:本場では大米(うるち米)や小米(粟)の粉を合わせる。上新粉がなければ中力粉40gで代用可(食感はややもっちり寄りになる)
  • 豆腐干:水切りした木綿豆腐を薄切りにし、フライパンで両面を焼き固めたもので代用可
  • 香菜の根:入手できなければ長ねぎの青い部分10gで炝鍋する(天津らしい香りはやや弱くなる)
  • 芝麻醤:白練りごまで代用可
  • 腐乳:白味噌5g+水10mlで代用可(発酵の香りは弱くなる)
  • 十三香:五香粉1gで代用可

保存・アレンジのコツ

  • 焼いて切った鍋巴は、しっかり乾かしてから密閉袋に入れれば冷蔵で3日、冷凍で2週間保存できる。凍ったまま碗に入れ、熱い卤を注げばよい
  • 卤は冷めると固まるので作り置きせず、食べる直前に作るのが基本。残った卤は水50mlを足して温め直す
  • 天津では卤に豆腐脳(おぼろ豆腐)を合わせる食べ方もあり、同じ卤をおぼろ豆腐にかければもう一品の朝食になる
  • 芝麻焼餅(ごまの焼餅)やごま付きのパンを添えると、天津の朝食の組み合わせになる

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成・翻訳したものです。